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カープと趣味の日記

「挑戦者」で「勝者」(ファーム日本選手権制覇に寄せて)

広島東洋カープ5-2読売ジャイアンツ
2017年ファーム日本選手権
宮崎サンマリンスタジアム

勝利投手 高橋昴
セーブ投手 藤井
敗戦投手 高木勇

本塁打
(C)坂倉③
(G)岡本①

先発、高橋昴は中盤に失点を重ねるも6回2失点で試合を作る。
打線は、今村の前に沈黙も7回に連打で追いつき坂倉の3ランで逆転に成功。
終盤での逆転劇で球団史上初のファーム日本一の称号を掴む。
MVPには坂倉が選出される。
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ファーム日本選手権」。
大変申し訳ないですが、1987年から始まったこのコンペテションは私にとっては存在自体は知っていたもののこれまでいつどこでやるのかよく分からない代物ではありました。
しかし、今季はカープが26年ぶりの挑戦。
やはり注目せざるを得ません。

舞台は相手チームのキャンプ地として名高い準本拠地…というよりその名誉監督様が名付け親の宮崎サンマリンスタジアム
また、相手チームのメンバーを見ると一軍で見た名前がいるだけでなく、今日が引退試合のかつてのタイトルホルダーや、果てはFA移籍してきた選手すらいたのですから非常に難しい試合が予想されました。

一方で、カープは高橋昴也と坂倉将吾という高卒ルーキーバッテリーに試合を託すという冒険に出ました。
いくらファームの主眼が育成の場とはいえ曲がりなりにもタイトルがかかった試合。
さすがにいくら何でも酷ではないかと思えましたが…。
しかし、若い二人はいずれも力を発揮して、私の考えがあまりに浅はかだった事を証明してくれました。
特に素晴らしいのが、先日横浜でプロ初打点を目撃させて貰った坂倉の勝ち越し3ラン。
相手投手の森福充彦は今季不振とはいえ、かつては球界屈指の左殺しともいえる存在だった投手。
そんな投手から高卒1年目にしてあれだけ決定的な当たりを放てるというのは、驚異的と言うしかないでしょう。
勿論、これをもってこれから始まるプレーオフや、日本シリーズでの戦力になるとまでは言えません。
それでも、試合を作った高橋昴也や、最終回で落ち着いた投球を見せた藤井晧哉ともども今後に期待したいものです。

育成があくまで主眼だが、勝利にも拘る。
それこそ、かつてジョー・ルーツが万年下位のお荷物球団の選手たちに語った言葉、「勝利だけが全てではない。しかし勝つことは大事だ。」に通ずる近年のカープ二軍が目指した方向性でした。
今日の若き高卒バッテリーを始めとして、その二律背反する要素を巧みに組み合わせて勝利をした事実はウエスタンリーグ優勝と共に、それが結実した形とも改めて思えます。

近年はいくらか改善されつつあるとはいえ、駅からバスが一日数本しか通らず、ナイター設備もなく、スタンドには時折蛇すら現れるという「秘境」とも呼べる球場での努力から、挑戦者として試行錯誤した末に掴んだ勝者という称号。
二軍とはいえ、これは終生誇りにするべきものでしょう。

本当におめでとう!広島東洋カープ!!