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カープと趣味の日記

サビエル・バティスタ選手との契約解除について

カープ球団より発表がありましたサビエル・バティスタ選手への契約解除につきまして本日付けで下記のメールを球団事務所宛に送付しましたのでここにその全文を公開致します。

カープファンの間でも多くの意見で割れていた問題でもあるうえに、今更遅いとは思いましたが書かずにはいられませんでした。

同時にこれが今回の問題に対する私の見解でもあります。

 

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株式会社広島東洋カープ 代表取締社長 松田元
株式会社広島東洋カープ 常務取締役球団本部長 鈴木清明

 

平素より大変お世話になっております。

 

本日、広島東洋カープ球団様より公表されたサビエル・バティスタ選手に対する契約解除につきまして、広島カープというチームを心から愛する一ファンとして意見と嘆願をさせて頂きたくメールさせて頂きました。

 

先に結論から申し上げますとバティスタ選手の契約解除という決定に対しましては公平性と合理性を著しく欠いたものであり、到底納得できるものではありません。
よってここにバティスタ選手への契約解除について再考頂きたいと嘆願致します。

 

去る2019年8月にドーピング検査においてバティスタ選手の検体より陽性反応が出たのは衆知の通りであり、その後の出場停止による処分により球団、チームメイトに多大なる損害を与え、他球団含めた多くのファンに不信感を与え球団のイメージを貶めた事もまた事実であります。
また、彼の犯した過失は重大なものであり本人、球団ともに非難を受けるのは当然の事とも受け止めてはおります。

 

しかしながら、本人は故意の摂取を否定しており、NPBにおける調査においても故意の摂取は認定されていません。
また、陽性反応が出た成分は、あくまで筋肉増強剤等の副作用を抑える成分があると言われる「クロフェミン」であり筋肉増強剤自体は検出されておりません。
そもそもバティスタ選手のような元来、体格とパワーに恵まれた選手が筋肉増強剤に頼るという事自体が客観的に不自然ですし、成績を挙げる為なら動体視力を補強する薬物や興奮剤などを摂取している事の方が自然な考えですが、勿論それらの薬物も検出されておりません。
つまり、彼はプロのアスリートであるにも関わらず禁止薬物に相当する物質を摂取してしまうという過怠を働いたうえで重大な事象を引き起こしてしまったものの、かつてMLBなどで問題になった競技の公平性を毀損するような行為を働いていないのは明白です。
また、バティスタ選手のような育成契約から叩き上げで努力を続けてきた寡黙で真面目な好青年が他球団の選手やファンを欺くような事をするとは未だに信じられません。
そうであるにも関わらず、「クロフェミン摂取の原因が突き止められなかったから」というだけの理由で上記のような決定を球団は下してしまいました。
「原因が突き止められない」という事は「故意でない事を立証出来ない」という意味でしょうが、司法の上では「推定無罪」が原則である我が国においてこのような人権への意識も薄弱な理由で選手の契約を一方的に解除する事に大変な憤りと悲しみを感じます。
むしろ、球団がバティスタ選手との契約継続の可否を考えるうえで重要なのは「故意である事を立証できたかどうか」という視点であり、「悪魔の証明」に等しい反知性的にも似た考えに基づいて、このような重大な判断を決めたという事は球団のコンプライアンスのうえで重大な瑕疵になると憂慮します。

勿論、上記の彼の過ちにより多大な損害は多大なものであると同時に、再契約をするうえでの球団の人気面などでのリスクは重々承知しております。
また、残念な事に一部のファンには無知と悪意から来る憶測を真に受けてバティスタ選手をまるで犯罪者のように見る憎悪に満ちた意見が散見されるのも確かです。
しかしながら、それについてもこれまでの経緯と再発防止への施策を丁寧に説明すれば良いだけの事ではないでしょうか。
むしろ、このように労力を惜しんだ挙げ句不十分な説明でトカゲの尻尾切りと形容されるような形で幕引きを図ろうとするなら、バティスタ選手に肯定的否定的問わず多くのファンから球団への不信をますます招くだけになる事も予想され、そちらの方の損害の方が将来的に禍根になると危惧します。

 

思えば、2017年の一軍デビュー以来、恵まれたパワーとセンスで多くのファンに驚きと喜びを与えて続けてくれたバティスタ選手。
前人未到のチーム3連覇に貢献したその素晴らしい成績は勿論、メジャーへの夢破れて故郷のドミニカに帰郷した青年が日本の広島で努力の末にチャンスを掴むという大きな夢と希望に溢れた彼の野球人生に胸を熱くさせたのは私だけではないでしょう。
個人的な球場観戦でも2017年の夏に神宮球場の夜空に上がった彼の本塁打の鋭い弾道が頭上を通過したのを見上げた時の夢のような心持ちは未だに忘れる事ができません。
また、日本で得た収入で故郷の家族に家をプレゼントするなど家族を愛する心優しき好青年でもあったバティスタ選手。
それをこのような残念な形でファンに別れを告げさせるのはあまりに悲しすぎます。

何より、彼は間違いは犯したものの誰も意図的に傷つけていないし、欺いてもいないのです。

そんなバティスタ選手をどうか私達ファンから取り上げるような事はしないで頂きたいと心から願います。

 

改めまして、広島東洋カープ球団様におかれましてはサビエル・バティスタ選手に対しまして今一度、寛大かつ公平なご配慮のうえでその契約等について再考頂きたくお願い申し上げます。