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カープと趣味の日記

『選手とは去るもの、出ていくもの』(カープ2018-2019)

残念な事に、2018年11月30日は多くのカープファンにとって痛恨の出来事が起こった日と記憶される事となってしまいました。

 

兼ねてからFA宣言をしていた主砲・丸佳浩があろう事か同一リーグで今季、クライマックスシリーズでも対戦した読売への移籍を表明。

 

丸に関しては言うまでもありませんが、2年連続のリーグMVP含む攻守に渡る大車輪の活躍で前人未到のリーグ3連覇に貢献してくれた選手です。

というより、2015年シーズン以降、前田健太が抜けて、翌年には黒田博樹が抜けてと戦力の先細りが顕著だったカープが3連覇出来たのは間違いなくいわゆる「タナキクマル」の強固なセンターラインがチームに君臨していたからに他なりません。

また、丸といえば伝統的に早打ちを好むこのチームにあって抜群の選球眼で高い出塁率を誇る異色の選手でもありましたので、その他球団への流失は攻守の大きな範囲に渡って痛手としか言いようがありません。

 

もっとも、この事態でこれまでのように球団を責める事は出来ないでしょう。

一昔前と違い、今のカープは安定的に勝てているうえに観客動員においても日本でもっともチケット入手が困難ともいえるほどの人気球団です。

また、球団が丸に提示した条件もFA残留を認めたうえでこれ以上は出せないと言って良いぐらいのギリギリまで出した好条件と言えるもの。

むしろ、相手球団が提示した条件は明らかに過大とも言える代物だったと言った方が良いでしょう。

これだけやって彼が残留しないとすれば、それはもう仕方ない事です。

かつて新井貴浩大竹寛などが移籍した時にもそうでしたが、やはりこの球団にとって選手とは「出ていくもの」もしくは「裏切るもの」と考えるべきなのだと改めて感じざるを得ません。

 

もっとも、3連覇という大きな果実を我々に捧げてくれた以上は、丸を恨むのは筋違いというものです。

もはや、我々には彼を応援する義理など当然ありませんが、大きな成果を挙げた選手へのリスペクトはどういう形になっても残り続けて然るべきなのです。

一方で、「より良い条件の球団に選手が移籍できたのは良い事」という正論ぶった意見にも私は、賛同するつもりもありません。

結局のところ、今回の事例などは「資金力のある一部の球団が選手を好き勝手に選手を取れるうえに、年俸の高騰を招いているだけ」という現状の我が国のFA制度が欠陥制度である事を改めて示しただけにしか見えなのですから。

 

丸の抜けた大きな穴を完全に埋めるのは来シーズン中では恐らく不可能でしょう。

しかし、だからこそ常に新たな戦力を様々な手段を駆使してスカッドに加え続ける努力を球団が見せる事に期待したいと思います。

 

所詮、私達にとって、彼ら選手は「カープの選手であってもカープのファンではない」という事。

そういう割り切りが球団にも我々ファンにも改めて必要という事ではないでしょうか。