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カープと趣味の日記

消えた「我が世の春」(カープ2019)

前人未踏の3連覇を経て迎えた広島カープ2019年シーズン。

 

2年連続MVPを獲得した丸佳浩がチームを去ったものの、ファンの期待は高くシーズン前からチケット確保にファンが暴動まがいの騒動を引き起こすなどの異常な盛り上がりを見せてはいました。

しかし、他球団ファンを締め出し子供を蹴とばし老人を押しのけてまで必死の思いで確保したチケットで球場に詰めかけたファンに待っていた結果は無残極まりないものでした。

最終的には4連覇はおろか最後の僅か半月で5ゲーム近くあったゲーム差を逆転されてプレーオフ進出すら逃し監督が退任という最悪の形での幕。

そこに至るまでの内容も快進撃と停滞を交互に繰り返すようなまさにジェットコースターのような浮き沈みの激しいものでした。

4月には負け越し8まで落ちた後に驚異的な巻き返しで5月には貯金14で首位に上がり4連覇の可能性が高まったと思いきや、6月の交流戦最下位を経て7月には球団史上最悪に迫る11連敗を喫し、またまた連勝で巻き返す…と正直、一行で書くと何だかわからなくなるような代物です。

その後は、8月のブルペン崩壊と件の「バティスタショック」をきっかけに勢いを完全に失い最後10試合で僅か3勝と最後は朽ち果てるかのような悲しい結末。

こうして「栄光が途絶えるのはあっという間」という事実を我々ファンに痛いほど見せつけた今シーズンのカープですが、そうなってしまった理由はなんだったのでしょうか。

改めて考えてみたいと思います。

 

 

最初に眺めて見たのは投手成績。

中でも3連覇を果たした昨シーズンですらここ10年で最悪とも呼べる数値が並んでいたに加えて今季は中崎翔太今村猛などの不振でいわゆる「勝利の方程式」が崩壊したブルペン

更に昨年夏場以降で驚異的な投球でチームを救ったヘロニモ・フランスアも不向きなクローザー起用で神通力を失いました。

今季、終盤に逆転される機会が多かっただけにファンから成績が奮わなかったと思われている事でしょう。

先発陣こそ、大瀬良大地とクリス・ジョンソンの2枚看板が二けた勝利を挙げたうえに、床田寛樹、九里亜蓮が奮闘を見せ先発の防御率(3.75)はリーグ1位…というより12球団随一の成績を誇っただけに余計に不振が目立ったかと思えます。

とはいえ実際、救援陣の防御率(3.63)はリーグ3位と平均的な値で決して悪い成績ではありません。

勝利の方程式が崩壊した一方で菊池保則を筆頭に中村恭平、遠藤淳志と開幕前はほとんど期待していなかった投手たちの意外な活躍があった事が大きいかと思います。

もっとも開幕当初から最後まで1軍にいたフランスア含めて年間通して安定した投手は少なかったのも事実。

この辺りは、不振が投手が出てきても代わりに一時的に輝く投手が穴を上手く埋めて微妙なところでバランスを保っていた昨年とは違うという事なのかもしれません。

また、防御率こそは上記のように意外に悪い数字でない代わりに与四球数(513)はリーグワースト5位でそれに引っ張られる形でWHIP(1.34)はリーグ5位と低迷。

昨年に比べれば改善こそはしたものの相対的に見れば相変わらずの低さで無意味に走者を背負う展開が多かった事がうかがえます。

 

とはいえ、それ以上に大きく後退したのは丸の穴を最後まで埋める事が叶わなかった打撃陣かもしれません。

昨シーズンは、丸と鈴木誠也の活躍に引っ張られてリーグで圧倒的な数字を残した出塁率(.349→.324)長打率(.431→.392)は今季はいずれもリーグ3位と平均的な数値に後退。

外野手にコンバートされた西川龍馬の活躍こそはあったものの、野間峻祥長野久義松山竜平はいずれも期待外れの成績で丸の穴を埋めきる事は出来なかった事が改めて示されました。

むしろ、田中広輔が故障の影響で壊滅的な数字を残したり、サビエル・バティスタが不注意により離脱するなど他のポジションにも穴は広がってしまった事がもろに出た形です。

対照的に丸の移籍を経て出塁率長打率共にリーグ1位に躍り出た読売がそのまま優勝した事もなんとも皮肉かつ「不都合な事実」です。

また失策数に関してもリーグ3(83)からリーグ4(88)に後退したのも、固い守備力が3連覇を引き寄せた要因だっただけにやや気になります。

 

駆け足で眺めて見ましたが、今季のカープは投手陣においてはあまりに壊滅的だった昨年に比べて表面的な部分こそ改善したものの、相対的に見ればさほど改善したとは言えない一方で、最大のストロングポイントだった攻撃陣は丸の離脱により大きくその力を減退させました。

結論としてはそれらの要素が重なって「我が世の春の終わり」を告げたと言えそうです。

 

もっとも野球に限らず安定した成果を出したチームがいつまでも同じ状態を維持できる事はあり得ない事で致し方ない事かもしれません。

それだけに緒方監督には一つのスパンを終えたチームをどのように再構成するかの手腕を来季以降も見たかったのですが…退任は本当に残念です。

新たな監督は投手コーチとして表面的な数字だけは改善させたものの、指導者としての資質には十分な疑義がかなり残る佐々岡真司

来季以降は更なる苦難が待ち受けている事は容易に想像できそうです。