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カープと趣味の日記

隧道の入り口で(カープ2020-2021)

新型コロナウイルス蔓延に伴う異例かつ異常なシーズンとなった昨季は、カープにとっては新監督を迎えて仕切り直しとなったシーズンでもありました。

しかし、結果は攻守の衰えに加えて、補強の失敗、更には稚拙極まりないベンチワークも合わさって2013年のAクラス入り以来では初の2年連続Bクラスに加えて8年ぶりの5位転落の大惨敗。

3連覇を足がかりに安定して上位を狙えるチームをという目標は儚い夢となったばかりか、むしろ暗黒期という名の長い長いトンネルの入り口に足を踏み入れる事となりました。

そんな、栄光の3連覇からたった2シーズンで無残極まりない転落劇を見せたカープも明日から春季キャンプが始まり例年より短いオフから野球カレンダーの新年を迎えます。

とはいえ、未だにコロナウイルスの猛威が収まらずキャンプ地である沖縄も感染者の増加に歯止めがかからないという社会情勢。

早々に無観客でのキャンプ開催が決定しましたが、最悪の場合はキャンプの中止も視野に入れないといけません。

それに加えて外国人選手の一部が入国の目処すらたたず、キャンプはおろか開幕にすら間に合うのかわからないという補強がドラフトと外国人のみが常のカープとしては最悪の事態。

このように昨年以上に異例かつ異常な状況がキャンプインから頻発しているのですから、例年通りに戦力を確認する事に意味がないかもしれません。

ですが、今回はそれらのイレギュラーな要素をあえて差し引いて考えてみたいと思います。

カープ2020-2021

 

→IN

・投手

カイル・バード△

ドビーダス・ネバラスカス

 

栗林良吏

森浦大輔△

大道厚貴

小林樹斗

行木俊

 

内野手

ケビン・クロン

矢野雅哉

 

 

←OUT

・投手

藤井皓哉

クリス・ジョンソン△

平岡敬

モンティージャ

・捕手

石原慶幸

内野手

小窪哲也

ホセ・ピレラ

※△は左投げもしくは左打ち

※育成契約は除く

 

 

昨シーズンは多少の若手の台頭があったとはいえ、投手陣が過去10シーズンを遡っても最悪とも呼べた出来だっただけにさすがに新戦力には投手が目立ちます。

特にドラフト会議では2006年の宮崎充登以来14年ぶりとなる大卒社会人投手の最上位指名(宮崎は希望枠)となった栗林良吏を始め、実に6名中上位5名が投手という大量指名で、そのうち上位3名は大卒以上とこれまた育成よりも即戦力を狙った2006年を彷彿とさせます。

とはいえ、その2006年ドラフトは上位で指名した大卒・社会人出身投手はほとんど印象に残る活躍を見せる事が出来ず、かろうじて当時は別枠だった高卒ドラフトで前田健太が入団した以外は大失敗と呼べる悲惨なものだった事も覚えているファンもいるかと思います。

さすがに当時とまったく同じ結末になるとは思いたくないですが、昨年は新型コロナウイルスの影響でまともにスカウティングが出来なかった事も鑑みますと過度な期待はできないでしょう。

3連覇の立役者である偉大なる英雄、クリス・ジョンソンが去り陣容が大きく様変わりする外国人投手陣は、カイル・バードと、ドビーダス・ネバラスカスをそれぞれ獲得。

バードは左投げであり同じ背番号を引き継いだ事もあり、K・ジョンソンの後継者…と言いたいところですが、プレースタイルから見るとリリーフ向きといった印象で、かつて在籍したカイル・レグナルトを彷彿させます。

また、「日本プロ野球史上のリトアニア出身選手」となっただけでなく、恐らく球団史上もっとも綴が難読と思われるネバラスカスですが、MLBではほぼリリーフ専任の投手だったようです。

加えて既存の投手はヘロニモ・フランスアと、まったく日本のプロ野球についていけるレベルでないにも関わらず何故か残留しているテイラー・スコットですから、外国人投手はリリーフ向けの人材ばかりが占めます。

新型コロナウイルス蔓延の影響による動員数激減とそれに伴い大幅な赤字となった影響で、高額な投手が雇えなかったからでしょうが、これだけ人材が偏るのはさすがに気にかかります。

ましてや、今季は故障の影響で大瀬良大地と野村祐輔が開幕に間に合うかもすら微妙な状況で、上記の栗林が額面通りの活躍を見せてくれたとしても先発陣は開幕当初からまともにローテーションを組めない可能性が高いように思えます。

 

一方、投手陣が大量補強となった煽りを受けて、野手陣での新規の目立った補強は、昨シーズンはまったくの期待外れで退団したホセ・ピレラに代わって2019年マイナーリーグ本塁打王であるケビン・クロンのみでした。

195cmの長身に加えて高い長打率と3連覇に貢献したブラッド・エルドレッドを彷彿させるような選手で、年俸的に見ても今季外国人補強では一番の大物と考えて良いかと思います。

守備において主なポジションは1塁手ですが3塁も守った経験もある為、松山竜平堂林翔太とポジション争いをする事になりそうです。

もっとも、野手に関して補強がこれだけという事は、衰えが隠せないうえに割高な年俸がネックとなってFA移籍に失敗した田中広輔に頼らざるを得ない遊撃手を始め層が薄い内野陣という課題は今季も克服できそうにありません。

ざっと振り返ってみると今季の補強は投手陣…しかもリリーフ陣偏重というかなり歪な物になったように見えます。

これが今季のみならずそれ以降での禍根とならないか正直、心配になってしまいます。

これだけ大変リスキーな補強に終始した以上は、良い補強だったとは言い難くトンネルの入り口に立って出口を探すのは難しいようにも思えてきます。

 

以上、新型コロナウイルス蔓延に伴う社会情勢を差し引いて考えてみましたが…更にそれを加えると更に事態は深刻です。

上記でも書きましたが、新外国人選手のうちバードとネバラスカスは1月31日現在においてもキャンプインはおろか来日の目処すら立たず、1月に母国ドミニカで新型コロナウイルスに感染していたヘロニモ・フランスアもキャンプへの合流がいつになるか分からない状況。

結果としてまともにキャンプインから参加できるのがクロンとスコットのみですが、さすがに社会情勢に関してはもはや個々の選手は勿論、カープ球団の努力だけで何とかなる代物ではありません。

恐らくは昨年のフェニックスリーグなどでインパクトを残したドミニカ人、ロベルト・コルニエルを早々に支配下登録する事になりそうですが…これに関しては今となっては、何とか万全の状況でチームが開幕を迎える事を祈るしかありません。