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カープと趣味の日記

再び異例のシーズンへ(カープ2021年展望)

世界中で猛威をふるった新型コロナウイルス蔓延に伴い、昨シーズンは長期に渡る開幕の順延に史上初の無観客試合など、異例に次ぐ異例の対応を迫られながら何とかシーズンを終えたプロ野球

残念ながら、ウイルスの猛威と恐怖は世界中で継続しており、まるで治まる気配がない状況で開幕を迎える今シーズンにおいても昨シーズン同様に異例の対応は継続されることとなりました。

 

無観客での開幕戦こそは無くなったものの、昨年から続く最大収容人数から50%以下に絞る入場制限は継続となり、2リーグ制以降では初となる延長戦がないシーズンになる事がすでに決定されています。

特に9回での試合打ち切りは延長線に制限を設けた昨シーズンや2011年で引き分けが激増した事からやチームの戦略全体に大きく影響するのは必定な為、ファンの間でも賛否両論を呼んでいるようです。

否定的な意見としては「ウイルス感染と試合時間に因果関係はない」「引き分けが多くなる事により分散退場が困難になりかえって感染リスクが増す」「そもそも早く終わっても会食をする人が増えるだけ」というものでいずれも正論といえますが、これに関しては昨年、様々な措置や制限を受けた際と同様に「仕方ない」で済ますしかないでしょう。

というのも、今季は延期となった東京オリンピック開催の影響により7月半ばから1ヶ月ほどの休止期間も加わる変則的な日程にもなり地域の感染者の状況によっては試合時間の変更も既にいくつかの試合で実施されている状況です。

加えて、既に先行して開幕したJリーグでも発生しているように選手やスタッフの感染に伴う試合の突発的な延期の可能性も考慮すると、シーズン後半になればかなりの過密日程となる事が予想されます。

そうなると感染リスク以前に、出来るだけ試合の時間を短くして選手やスタッフの負担を少なくするという観点では今回の9回打ち切り措置は極めて妥当かと思えるのです。

 

一方、上記の事情に加えて様々な意味で苦しいシーズンとなったのが、我らが広島カープ

初のプレーオフ進出を果たした2013年以降では初となる2年連続Bクラスに終わり3連覇の輝きがあっという間に色褪せただけでなく、他球団同様に新型コロナウイルスの影響により大幅な減収を余儀なくされ球団の収支も実に46年ぶりとなる赤字を記録。

3連覇した時期に貯め込んだ内部留保はあるとは思うので「ただちに」とまでは言いませんが、赤字を補填してくれる親会社のいない「松田商店」ことカープにとって赤字経営とは即ち「死」を意味しますので改めて私達のチームは「我が世の春」から一転して「球団存続の危機」に立ったと言えるでしょう。

世界的なウイルス蔓延などという自身ではどうにもならない事情が事情だけに球団の経営努力だけでは難しい部分もありますが、何とか持ちこたえてくれるのを、及ばずながらグッズの購入などで買い支えながら祈るしかありません。

 

…と、前置き代わりに書いてみただけでも胸が苦しくなるような状況に球団が立たされている中で「優勝の可能性」を論ずる事は昨シーズン同様に無意味な事かもしれませんが、しかしそれでもシーズンは開幕しますし、諦めても試合は終わりません。

なのでとりあえずは今年もその事実に感謝しながらも、チームの現状のスカッドからシーズンの展望を考えてみたいと思います。

 

 2021年開幕戦に臨む広島東洋カープのメンバー

 

投手

11 九里亜蓮

12 大道温貴

13△森浦大輔

14 大瀬良大地

19 野村祐輔

20 栗林良吏

26 中田廉

29 ケムナ誠

36△塹江敦哉

43 島内颯太郎

98 R.コルニエル

 

捕手

27 會澤翼

31△坂倉将吾

40 磯村嘉孝

62 石原貴規

 

内野手

00△曽根海成

 0 上本崇司

 2△田中広輔

 7 堂林翔太

10 K.クロン

33 菊池涼介

61△矢野雅哉

96 A.メヒア

 1 鈴木誠也

 5 長野久義

55△松山竜平

59△大盛穂

63△西川龍馬

※△は左投げもしくは左打ち

 

上記のうち投手に関しては既に開幕投手を務める事が決定している大瀬良大地に加えて九里亜蓮野村祐輔が開幕カードでの先発を務めるようで、2節目以降はそれに森下暢仁、遠藤敦志、床田寛樹が更に加わり先発ローテーションを構成することになるでしょう。

また、今季は昨年に続いて登録人数が31人(ベンチ入りは26人)に増えるため上記の3人を加えた際に2軍落ちとなる選手はいないと思われます。

先発ローテーションに関しては上記の6人に加えてオープン戦では微妙極まりない内容だったものの中村祐太が候補に残っていますから、昨年退団したクリス・ジョンソンの後釜に目されていたカイル・バードが未だ来日できていない中で一応7人の候補を揃える事が出来ました。

しかし、昨シーズンで規定投球回数を記録したのは森下と九里のみで、二桁勝利に至っては森下のみ。

実績があるとはいえ大瀬良と野村祐輔は故障明けで何とか開幕戦に間に合ったという状況でコンディションに不安が残りますし、遠藤、床田、中村祐太に至っては年間通して安定して活躍した経験が十分とは言えません。

何より、この7人に1人でも欠員が出ても、一軍に負けないぐらいに昨シーズンはチーム成績が低迷した二軍から呼べる投手がいないのも気になります。

そもそもオープン戦で矢崎拓哉のような明らかに可能性を感じられないくたびれた中堅投手が普通にオープン戦で先発を務めるレベルですから…。

 

そして、その先発陣以上に悲惨なのが昨シーズンで救援失敗が相次ぎ低迷の戦犯とも呼べたリリーフ陣。

2003年の永川勝浩以来となるルーキーでのクローザーに指名されたドラフト1位右腕栗林良吏を筆頭に森浦大輔、大道温貴と12球団最多の3人のルーキーが登録されましたが、いずれもオープン戦全体で見れば比較的安定していたもののまったくの未知数です。

特にクローザーに抜擢されて以降の試合ではほとんど投げていない栗林はオープン戦最終戦では不安定な投球に終始しただけに大きな懸念が残ります。

また、そのオープン戦では特に素晴らしい投球を連発して大きなインパクトを残した森浦にしてもご存知の通りカープというチームは開闢以来「左腕不毛の土地」で、春先に活躍してもシーズンが始まった途端に消えてしまう若手の事例に枚挙の暇がない現実がある以上は、こちらもまた過度な期待は禁物でしょう。

更にいえば彼ら若手を引っ張る筈の実績のある投手がブルペンには皆無なのも気になります。

勿論、塹江敦哉やケムナ誠と昨シーズン活躍した投手はいないことはありませんが、防御率などの諸数値を見るといずれもボロボロで他の上位チームなら1軍で最後まで試合に出られたか疑問といえるレベルだけに大型新人たちを引っ張れるだけの実力があるとは言えないでしょう。

そう考えると、今シーズンもカープファンは7回以降にため息をつく試合が多くなるかもしれません。

上記の通り、今季は延長戦が一切行われませんから勝ちパターンが盤石なチームほど有利になる事が予想されるだけにそれは暗い未来を連想させます。

 

投手陣に加えると比較的3連覇時代の役者が残っている野手陣ですが、オープン戦では12球団最低の打率を記録するなど貧打を極めてむしろ投手陣以上に不安視されているのが現状。

もっともオープン戦期間中にも書きましたが、ある程度実績のある選手に対してはオープン戦での結果を気にするのは無意味な事も確かです。

オープン戦終盤に何とか実戦復帰した鈴木誠也堂林翔太などのコンディションは気になるところですが、これに関しては開幕戦では見違えるほど良くなっている事を祈るしか無いでしょう。

 

むしろ、心配なのは新戦力の台頭がまったくなく現行のメンバー以外では人材が枯渇している状況でしょう。

オープン戦通じて何人かの若手や中堅が試されましたが、故障明けでコンディションが万全でない西川龍馬や、昨年オフにFAでの移籍に失敗し、明らかにキャリアの下り坂にある田中広輔がまったくポジションを脅かされる事態にならなかった事からもその深刻さは分かるというものです。

特に内野手の質と層の薄さはより深刻で開幕戦での出場が予想されるメンバー以外でスタメン出場に耐え得るほどの能力が期待できる打者はかなり妥協に妥協を重ねて甘めに見積もっても「ドミニカの迎祐一郎」「二軍とオープン戦の王様」ことアレハンドロ・メヒアぐらいのもの。

また、投手3人に次いで12球団最多の4人目となる開幕1軍登録されたルーキーとなった矢野雅哉も守備は素晴らしいですが、打力は明らかに1軍レベルにありません。

更にいえば、12球団の新外国人選手では唯一、早めに来日しその真面目かつ真摯な練習態度と素晴らしいパーソナリティとは裏腹にオープン戦では本塁打2本以外は音無しで打率も消費税以下の壊滅的な数字を残しているケビン・クロンは明らかに日本の野球に対応できておらずまったく期待できません。

若手の中で唯一見るに耐える結果を残した石原貴規が會澤翼、磯村義孝、坂倉将吾に続いて異例の捕手として4人目の開幕1軍入りを果たしましたが、これは本人への期待もあるでしょうが、それ以上にあまりに内野の層(特に1塁と3塁)を解消する為に苦肉の策として磯村に1塁を守らせるなどのオプションへの備えかと思います。

 

上記、駆け足で攻守のスカッドを眺めてみましたが、残念ながら全体的に見て非常に苦しいシーズンになりそうな予感が漂います。

またそれだけでなく、無意味に先発投手を引っ張り続けるなど、その優しすぎる性格が災いしてか思い切りの悪さが目立つ佐々岡真司監督を始め、明らかに指導者の資質に欠ける面子が揃うベンチもこの事態に拍車をかけそうなのも不安の種です。

その中で唯一の朗報といえば昨年、再三に渡り3塁コーチズボックスで走塁指示のミスを連発していた廣瀬純コーチが1塁コーチズボックスと入れ替わりになったことぐらいでしょうか。

彼のあの判断の遅さと落ち着きの無さはプロの指導者としてはあまりに致命的で試合の勝敗以前に、選手の大怪我を誘発するのではと心配をたえずしていましたが…どうやら球団側もそれは認識してくれていたようでなによりです…。

 

と、シーズン開幕前夜から随分と悲観的な文章を並べてしまいましたが…。

チームがこういう状況でも50%の上限で発売された本拠地戦のチケットは全試合早々に完売しましたし、シーズンチケットも誰も手放さなかった事で新規販売もありませんでした。

上限の50%といえどもそれが完売となれば少なくとも年間動員100万人前後を漂っていた低迷期よりも動員数以上の数字です。

高校生の頃にガラガラの市民球場を見ることが当たり前だった私にとっては昨年の低迷に加えてコロナウイルス蔓延に伴う快適とは言い難い観戦を強いられたうえでのリスクも顧みずに球場での観戦を渇望するファンがこれだけいるのは大きな驚きですし、そのブランドロイヤルティには改めて感謝と感動にたえません。

難しいでしょうが、せめてカープには多くの不便も困難もものともせず来場するこれらのファンを最低限ガッカリさせないようなシーズンを送ることは期待したいとは思います。

かなり後ろ向きではありますが…。

 

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