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カープと趣味の日記

「現実は厳しく」(カープ 2022年シーズン展望)

コロナウイルス蔓延やオリンピック開催による中断などにより2年連続で例年とは異なるレギュレーションでの開催を余儀なくされてきたプロ野球

今季は延期も中断もなく通常の日程に復したうえで3年ぶりに延長12回制も復活となります。

また、何よりも大きいのは観客動員に関してもほぼ制限なしでの開幕を明日迎える事でしょう。

特に動員制限の影響で2年連続での赤字計上を余儀なくされ存亡の危機にあるカープとそのファンにとっては何よりの事かと思います。

感染者が減少しているとはいえ、ウイルスの感染状況は再び増加する可能性は高いでしょうし、鳴り物応援入りのあの賑やかな非日常空間が戻る事はないでしょうが…とにかく私たちとしては観戦マナーを守ったうえで感染対策を出来る範囲で続けて行くしかありません。

 

一方で、純粋に競技面だけでカープを見るとどうでしょう?

 

2022年開幕戦に挑むメンバー

投手
14 大瀬良 大地
18 森下 暢仁
20 栗林 良吏
21 中﨑 翔太
24 黒原 拓未△
36 塹江 敦哉△
41 矢崎 拓也
43 島内 颯太郎
45 松本 竜也
98 R.コルニエル

△は左投

捕手
22 中村 奨成
27 會澤 翼
31 坂倉 将吾△
40 磯村 嘉孝

内野手
0 上本 崇司
2 田中 広輔△
7 堂林 翔太
33 菊池 涼介
51 小園 海斗△

外野手
5 長野 久義
37 野間 峻祥△
38 宇草 孔基△
50 中村 健人
52 末包 昇大
55 松山 竜平△
59 大盛 穂△
63 西川 龍馬△

△は左打ち

まず先発陣を眺めますと4シーズン連続で開幕投手となった大瀬良大地に最多勝右腕の九里亜蓮、それにナショナルチームでは主戦投手も務めた森下暢仁と3本柱に、昨年終盤から充実の床田寛樹を加えてなかなかの陣容。

また、さほど人材が多いとは言えず競争も盛り上がらなかった5番手、6番手についても玉村昇悟と遠藤敦志が何とかそれなりの結果を見せて定数は満たして何とか最低限のノルマは達成できたかと思います。

5番手以降については今後も流動的にはなるでしょうが、一応このチームで唯一まともなセクションの一つと言えるでしょう。

 

一方、ブルペンについては昨年新人王を獲得したばかりでなく日本を代表するクローザーにもなった栗林良吏に繋ぐ継投パターンが昨年に続いて未だに未確定のまま。

オープン戦では島内颯太郎と中崎翔太が結果を残して8回を任せる投手の有力候補ではありますが、左のセットアッパーに関しては結局、最後まで左打者が苦手という弱点を克服できなかった森浦大輔が二軍落ちした事で事実上、塹江敦哉のみ。

キャンプ時から全くパッとせず現状では期待外れに終わっている黒原拓未にこれまたノーインパクトな松本竜也の新人二人が入っているのは期待の大きさより層の薄さ故でしょう。

そもそも、オープン戦で全く活躍してない矢崎拓也やロベルト・コルニエルが名を連ねている時点でそれは分かるというものです。

加えて肝心の栗林もオープン戦では昨季の総失点に匹敵する4失点を喫するなど明らかな不調なのも気になります。

上記の通り、今季は延長12回制に復す事で継投の判断が難しくなりますが、延長12回制のなかった一昨年や昨年ですら先発を引っ張りすぎたリリーフを挙句逐次投入するという愚を犯し続けたベンチがこの状況を更に悪化させる事も予想され危惧しかありません。

そういう意味では比較的充実している先発陣が他チームに比べて大きなアドバンテージになるとはさほど思えないです。

 

 

先発とリリーフ陣で戦力の偏りが気になる投手陣に対して、野手陣に関してはここ10年で攻守ともに最悪と言えるほどの悲惨な状況です。

メジャー移籍を果たした鈴木誠也が抜けた事で四番を務められる選手がいなくなり長打力が大きく低下した事は勿論ですが、その穴を埋める以前に一塁、三塁に加えて外野も1枚除いて安定して任せられる選手がいません。

三塁に関しては昨年、様々な偶然が重なり飛躍のきっかけを掴んだ林晃汰がオープン戦通じて低調な打撃が祟ってあえなく開幕一軍から漏れてしまった為、ファーストチョイスが本来は捕手であるばかりでなく昨年まで未経験だった坂倉将吾に任せる事になりそうです。

守備を比較すると坂倉の方がいくらか林よりは上というのが、首脳陣の評価だそうですがこれだけ様々なポジションを行ったり来たりする事が選手にいい影響を与えるとは思えません。

昨年はリーグ2位の打率を誇って飛躍に成功した坂倉ですが、今季は捕手、一塁に加えて三塁と様々な任務を押し付けられる事になり打撃に悪影響を及ぼす事は必至です。

更にいえば、その坂倉が捕手を務める際に代わりを務めそうな選手も田中広輔、上本崇司、堂林翔太といずれもこれから衰える事はあっても成長する事は期待できそうになりロートルのみという酷さ。

同じく、コロナウイルス蔓延により入国規制の影響で新外国人選手のライアン・マクブルームが間に合わなかった影響もあり、今更感しかない松山竜平が開幕スタメンを務める事になるであろう一塁共々完全に世代交代に失敗した事を喧伝するだけのシーズンになりそうです。

 

また、外野に関しても現状で確定しているのは西川龍馬のみで残りはガラポンで決めた方が良いと思えるぐらいに低レベルな選手しかいない状況です。

恐らくオープン戦でスタメン起用され続けた事からドラフト6位のオールドルーキーこと末包昇大が抜擢されるのは確実でしょうが、彼にしてもオープン戦通じての打率は1割台と悲惨なもので正直、一軍のレベルに付いていけていないのは明白かと思えます。

正直、オープン戦前半は4番を任されるなど、どうしてドラフト下位指名に過ぎないこの選手がこれだけ過度なプレッシャーを受け続けなければならないのかが私には理解に苦しみますが…チームを引っ張る姿勢を持つ非常に真面目な選手ですから頑張って適応して貰うしかないでしょう。

 

鈴木誠也が抜けたうえにマクブルームが間に合わなかった4番に関しては更に深刻です。

上記の通りルーキーの末包がオープン戦前半で務めて初戦以外はほぼノーインパクトに終わったうえに後半に入っても松山竜平長野久義というベテラン二人しか務めた選手が皆無という試行錯誤すら許されないほどの人材不足。

シーズンが始まれば開幕戦からは当分の間、ダイエットに成功した事をやたらと連呼され続けている松山が務めるでしょうが、以降は流動的にならざるを得ないでしょう。

これまでの傾向から考えてもマクブルームもすぐにフィットするとは考えられないですから、4番の打順で規定打席に到達する選手は今季現れる事はなさそうです。

 

野手については上記の通り、4番、一塁、三塁、外野2枚と穴だらけである事を言いましたが、これに加えて守備力と走力の低下も見逃せない問題です。

昨シーズンは、エラーと牽制死の山をうんざりするぐらい見せ続けられましたが、その状況は今季も変わらず…というよりやはり稀代のファイブツールプレイヤーであった鈴木誠也が抜けた事でより深刻になったと言えそうです。

しかも今季は上記の通りポジションの穴を埋める為に捕手登録の選手が一塁や三塁、外野を務め、外野手登録の選手が一塁を務めるなど滅茶苦茶な状況。

センターラインである二塁と遊撃手については菊池涼介と小園海斗の存在で辛うじてクオリティーは確保出来そうですが、昨年より守備は悪化する可能性は高いでしょう。

このセクションの責任者といえば何かにつけて思慮の足りなさを「積極性」という言葉で誤魔化したがる事に定評がある河田雄祐ヘッドコーチですが…はっきり言って彼のような人物がこのセクションを司る限りは改善する見込みはないかと思います。

 

過不足はありますが、以上がざっと見た現状のカープです。

大変残念ではありますが、今季も非常に悲観的な予想をせざるを得ません。

評論家のお歴々も軒並みカープに対しては最下位予想が並んでいるようですが、客観的に見れば極めて妥当な評価と呼べるでしょう。

一方、「安仁屋算」なる珍妙極まりない白星予想を毎年挙げている某在広の球団OBはカープの勝利数を108勝を予想したとの事ですが、むしろ108敗する確率の方が現状では遥かに高いとすら思えます。

上記で挙げただけでもクローザーである栗林良吏に繋ぐ継投が未確定である事、鈴木誠也が抜けた事によるチーム長打力の大幅な低下、三塁及び外野2枚が全く埋まらない状況などの問題点が山積みで解決のヒントすらオープン戦では見出せませんでした。

また、開幕一軍に選ばれたメンバーを見ると野手と投手で二人ずつルーキーが選ばれましたが、いずれもオープン戦では低調な出来だった事から、彼らの抜擢は期待の大きさというよりは中堅以下の選手層のあまりの薄さ故としか思えません。

更に言えば、捕手登録の選手が4人も名を連ねますが試合によってはうち3人がスタメンとなる可能性も高くこれまた異常な光景と言えるでしょう。

攻守で至る所に空いた穴とそれ繕う為の無理のある起用を見るにつけてドラフト上位で監督の望むままに投手ばかりを獲得するなど3連覇以降でのチーム編成が大きな失敗に終わっているという印象しか受けません。

そうである以上は、今季は勿論来季以降も現実は厳しいという事を噛みしめる事になるでしょう。

私のような年寄りのファンはそれでもそれなりに楽しめるというものですが…3連覇時に応援するようになってくれた若いファンには非常に辛い毎日となりそうで、開幕する前から大変申し訳ない気持ちしかありません。