1回戦(カープ1勝)
勝利投手 大瀬良3勝
敗戦投手 美馬2敗
(C)-
(M)-
打点
(C)野間②小園②
(M)-
投手
※数字は自責点
(C)大瀬良
(M)美馬-横山-中村稔-東妻
先発大瀬良は初回から安定した投球で無安打のまま9回を投げ抜く。
打線は序盤の再三の好機を逃しながら4回裏に野間が67イニングぶりの適時打で先制。
大瀬良がプロ野球史上90人目のノーヒットノーランの快挙を達成し、3連勝で首位浮上。
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最後の打者であるグレゴリー・ポランコの飛球が野間峻祥のグラブに吸い込まれた瞬間、解き放たれたような球場の大歓声を聞きながら試合中継を見ているモニター越しに思わず涙が溢れてしまいました。
大瀬良大地。
プロ野球史上90人目102度目、球団史上としては前田健太以来12年ぶり5人目7度目、そしてマツダスタジアムでは開場16年目で初の快挙となったノーヒットノーラン達成です。
かつては最多勝と最優秀防御率の2冠を獲得し3シーズン連続で二けた勝利を挙げたタフネス右腕もここ2年は防御率、勝利数共に不振で昨年は右肘の手術も受けて、今季はさほど大きな期待があったとは言い難かったです。
かくいう私も今の大瀬良はせいぜいQSを達成できるかどうか程度でもはや完投を望む事は出来ないと思っていたのですが…自身の不明を恥じたいと思います。
また、球団史上直近でのノーヒットノーラン達成者である前田健太が記録を達成したのは2012年ですが…。
その翌年のドラフト会議で1位指名されて入団し前田健太に師事した投手が肩を並べる事になったのは何とも感動的です。
最終的には球史と球団史に残る快挙が達成された試合ですが、試合序盤はあまりの拙攻に誰もそんな事は意識しなかったでしょう。
3回まで相手チームの4失策と四球で2度の満塁の好機を作りながら得点できず、無死1塁3塁となった4回裏も大瀬良の犠打失敗と矢野雅哉の考えられない走塁ミスで2死2塁に変えるという失態。
どう考えてもいつものように先発投手の奮闘虚しく援護のないまま敗れるいつものパターンにしか思えなかったのですが、何とか野間のチームとしては実に67イニングぶりの適時打で先制に成功できました。
恐らく私含めて多くのファンはそこで初めて大瀬良が無安打で投げ続けている事に気づいたのではなかったでしょうか?
終盤にも小園がポランコの拙い守備力もあり幸運な形で追加点を挙げる事ができましたが、とにかく打線が大瀬良の頑張りを無駄にしなくて良かったです。
「木鶏」という故事が荘子にあります。
木彫りの鶏の如く泰然自若とし動じない闘鶏、転じて他者に惑わされず衆人の模となる人物を指します。
大瀬良と言えば、打席で死球を受けたにも関わらず相手投手を気遣ったり、打ち込まれてグラブをベンチに投げつけようとして途中で止めたりと投手と言うプロのアスリートの中でも特にエゴイズムを求められるポジションとは思えぬ心優しさを感じさせるエピソードを持つ異質の投手。
そして今日のノーヒットノーランも奪三振は僅かに2ながらバックを守る攻撃面ではかなり頼りない味方を信じて打たせて取る投球で勝ち得た栄光です。
それを見るにつけて、上辺だけの空威張りではない本当の強さというものが何たるかを改めて教えてくれたかのようなその雄姿はまさに木鶏そのもの。
今宵、木鶏足りえた大瀬良大地。
おめでとう!
そしてありがとう!!