14回戦(6勝6敗1分)
勝利投手 アドゥワ6勝3敗
敗戦投手 山崎伊7勝4敗
(C)坂倉①末包①
(G)-
打点
(C)小園①野間②坂倉①末包①
(G)-
投手
※数字は自責点
(C)アドゥワ
(G)山崎伊⑤-平内-田中千
先発アドゥワは5回1死までノーヒット投球を見せて以降も安定。
打線は初回に小園の適時打で先制すると5回表に野間の適時打で追加点。
アドゥワは最終回まで投げ抜きプロ入り初の完封で7連勝。
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本日、広島は79年目の8月6日を迎えました。
今日と言う日は広島で生まれ育った人間にとっては重大な意味を持つ日である事は言うまでもありません。
東京ドームに向かう途中の王子駅近くに設置してある長崎平和祈念像(作者が北区名誉区民)のレプリカや、東京ドームの傍らの戦没プロ野球選手の「鎮魂の碑」などを巡って、いつでも気が向けば愛するチームを応援しに行ける日々が決して当然ではない事を改めて噛みしめます。
また、試合前には野球体育博物館で今年、谷繫元信氏、谷村友一氏と共に野球殿堂入りを果たした黒田博樹氏の、設置されたばかりのレリーフを眺めて、遠い日の故郷で見た雄姿を思い出して涙が溢れて来て止まりませんでした。
もうこの時点で胸がいっぱいなのですが、今日という日を更に劇的にしてくれたのは久しぶりの登板となったアドゥワ誠でした。
上位チームとの対戦含めて今日から9連戦という過密日程かつ今季奮わないドーム球場での試合。
正直、床田寛樹をスライドさせるとばかり考えていたのでこの抜擢は意外でしたし、明らかに荷が重いように感じられました。
しかし、アドゥワは立ち上がりこそ球数を費やしたものの以降は安定した投球で5回1死まで無安打という素晴らしい内容。
無安打投球を続けているうちに待望の追加点も入り、6回表には2016年にこの地で優勝した試合を思い出すような坂倉将吾と末包昇大の2者連続本塁打など援護にも今日は恵まれて更に投げ続けるアドゥワ。
最終的には133球被安打3で9回を投げ抜き自身5年ぶりの完投に加えてプロ入り8年目登板100試合目にして初の完封を飾る事になりました。
ファンからの声援にいちいち律儀に応えるなど大変真面目で真摯な男が見せた最高の結果で、長らく一軍出場すらない不遇な時期もあっただけに本当に嬉しいですし、感動させられました。
何より感動させられたのはそのヒーローインタビューでの言葉。
8年という月日をかけて掴んだ自身のプロ初の完封勝利の喜びよりもまずは、8月6日という日にチームの勝利に貢献できたことを優先させる謙虚さはなかなかできる物ではありません。
また、「打たれても殺される訳ではないので」という鋭い言葉も平和な国でスポーツに打ち込む事が出来る事の大切さをいみじくも語っているかのよう。
終始、無表情でしたがその目には使命に燃える強い意志と思いを感じ取る事が出来ました。
その思いを乗せた133球を私は忘れる事はないでしょう。
79年前に一瞬で廃墟と化した広島の街から決死の思いで何とか脱出する事が出来て戦後は私と同様にカープを応援する事が出来た祖母たちと、それが叶わなかったその姉妹たちに。
広島のある日本がある世界が平和となりますように。