吹けよ風!打てよアレン!!

カープと趣味の日記

2017年のカープを振り返る(野手編)

2017年広島東洋カープ成績

143試合88勝51敗4分

勝率.633

 

前回は、「投手編」としまして「明らかに数字が軒並み落ち込んだものの最低限の部分では耐えた先発陣を、大幅に数字が良化したリリーフ人が助けた」という話を書きました。

しかし、そのリリーフ陣も単独の数字では圧倒的とまでは言えませんでした。

というより、これだけでは優勝はおろかAクラスすら難しかったとすら思えます。

そうなると、その破壊力で相手チームのみならず、投手陣に降り掛かった問題を吹き飛ばしてしまった野手陣の存在こそ優勝の大きな原動力という事になってきます…。

実際に援護率は昨年を大きく上回る(4.56→5.24)という驚異的な数字というのも前回書きました。

では、今回はその打線に関する数字で更に考えてみたいと思います。

 

2017年広島東洋カープ野手陣の主な成績

 

打率.273(リーグ1位)

打点705(リーグ1位)

本塁打152本(リーグ1位)

 

盗塁112(リーグ1位)

盗塁死40(リーグ1位)

犠打116(1位)

 

OPS.769(リーグ1位)

NOI.486(リーグ1位)

得点圏打率.297(リーグ1位)

 

三振数1114(リーグ1位)

 

失策68(リーグ3位タイ) 

 

改めて見ても、リーグ1位がほとんど皆無だった投手陣とは対象的にいずれをおいても軒並みリーグ1位という素晴らしい数字が残されました。

昨シーズンも野手の成績が軒並みリーグ1位を独占しはしましたが、今季はそれを更に継続したような形。

まず、打撃の主要3部門だけを見ると本塁打(153→152)と打率(.272→273)こそは大きな変化はないものの、打点(649→705)は大幅にアップしています。

しかし、OPS(.765→.769)とNOI(.484→.486)は微増に留まっている為、走者をいかに出して長打をいかに多く打ったかという点においては昨年に比べて大きく飛躍したという風には見えません。

しかし、それでも打点がアップしているという理由を挙げるならば、普段はセイバーメトリクスであまり顧みられない数値である得点圏打率(.264→.294)でしょうか。

「運が絡む」という部分で個人の成績を見る観点では確かに参考にしにくい部分がある数字ではある得点圏打率ですが、チーム全体で実に3割近い数値という凄まじい数字はさすがに無視できません。

また、盗塁数(118→112)は田中広輔が盗塁王に輝いたにも関わらず、微減している一方で、犠打数(91→116)は大幅に増加。

加えて、盗塁死(58→40)はリーグ1位ながらも昨年に比べて減っているので出塁率の高さのわりに盗塁企図数は減っているという事になります。

にも関わらず得点が増えているという事は、チーム全体で「如何に得点圏で走者を返すか」といういわゆる「ケース打撃」が打線全体で出来ていたという事でしょう。

これは得点を増やす事で大事だったのは「伝統の機動力野球」というお題目に囚われる事などではなく、むしろ得点圏で如何に走者を返す振る舞いが出来たかという事の証左とすら思えます。

 

また、個人の成績に目を向けますと、驚異的なチーム全体の数字の割に主なタイトル獲得者は最多安打丸佳浩と、前述の盗塁王の田中広輔のみと意外に多くありません。

しかし、主要部門を見ると、ランクインする投手が皆無に近かった投手陣に比べて野手陣は打撃主要3部門10傑の中にいずれもリーグで一番多くの選手がランクイン(いずれも3人)しています。

また、90打点以上を記録した選手が減った(3人→2人)になった一方で、40打点以上は増加(6人→8人)。

実際に個々の数値を見れば、丸佳浩(90→92)や、鈴木誠也(95→90)が微増微減の一方で、田中広輔(39→60)、松山竜平(41→77)、ブラッド・エルドレッド(53→78)、安部友裕(33→49)と全体的に打線の中枢に入るような選手たちが好機で得点に繋げられるケースが増えた印象を受けます。

今季は、昨年4番でMVPに輝いた新井貴浩が低調で、代わって4番に座った鈴木誠也も8月末に負傷離脱となりながらも、最終的には松山竜平安部友裕がカバーする形で最後まで打線の威力は衰えなかった事に象徴されるように打撃に関しては「特定の個への依存」が極めて少なかったとも言えそうです。

 

また、守備に目を向けますとゴールデングラブ賞にリーグ最多タイとなる3人(菊池、丸、鈴木)が選出された一方で、失策数(68→67)で前年から微減ながらリーグ3位タイ。

田中広輔のリーグ1位となる失策数(16)が響いた形になりますが、驚異的なRFを誇った彼の守備範囲を考えるとさほど問題になる数字とは言い難いでしょう。

むしろ、この田中広輔、菊池、丸とセンターラインを固める選手がいずれも大崩れも故障もせずにチームに君臨し続けた事が相次ぐ4番の離脱でもチームが混乱しなかった一番の要因にすら思えます。

一方で、同じセンターラインでも捕手の盗塁阻止率の低さにはやや不満が残ります。

會澤翼(.263)、石原慶幸(.240)といずれもリーグの規定では下位の成績で今季は、カープが盗塁数を減らしたにも関わらずリーグ1位に輝いている事からわかるようにリーグ全体での盗塁への意識が大変低かった事に救われている印象。

そうである以上は、ここは大きな改善が必要な部門とも言えそうです。

 

 

以上攻守に渡って、いくつかのデータで今季のカープを眺めてきました。

全体で見れば、故障者や離脱者の存在がもろに出て、課題や懸念点が多い投手陣(特に先発)と、故障者がいたにも関わらず、総花式に評価されるような凄まじい成績を残した野手陣と対象的な感想が出てきます。

バランスが大きく偏っている…とまでは言えませんが、先発投手陣の成績の落ち込みぶりを見るとやはり打線の恩恵は昨年以上に大きかったと言わざるを得ません。

これは、長いスパンで修正を繰り返しながら進めるレギュラーシーズンならともかく短期決戦では不利になりかねない要素。

そうである以上、この辺りの問題が大きく出てしまったのが、今季のあの忌まわしいプレーオフでの惨劇だった…とすら思えてきます。

 

今季は2年連続の優勝という球団史に残る果実を得る事に成功し、来季は球団史上では前人未到のリーグ3連覇に挑む事になるカープ

しかし、前回と今回の数字を紐解くと、たんなる現状維持だけで留めていては、それは大変難しいように思えます。

特に先発投手陣に関しては大幅な改善が急務と言えるでしょう。

また、総花式と言いながらも打線も打線であれだけの数字な訳ですから、テコ入れなしで来季も維持できるかは疑問です。

 

それに対するチーム全体の戦力アップという観点での答えが来年春までにどれくらい出るのか?

 

不安ではありますが、楽しみでもあります。

 

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2017年のカープを振り返る(投手編)

2017年広島東洋カープ成績

 

143試合88勝51敗4分

勝率.633(1位)

 

 

ちょっと遅い話題ですが、去る11月20日にNPBアワードの発表があり、リーグ連覇を成し遂げたカープからはリーグ最優秀選手として丸佳浩が選出されたとのニュースがありました。

これで、球団史上初の平成生まれの最優秀選手が誕生したばかりか、外野手からの選出も1980年の山本浩二以来の快挙となりました。

また、ゴールデングラブ賞に3人(菊池、丸、鈴木)が受賞したのに続いて、ベストナインに至っては実に5人もの選手(會澤、菊池、田中、丸、鈴木)が選出され、なんとベイスターズと共に野手部門を独占。

11月23日のファン感謝デーや、同じく25日に2年連続で挙行されたの優勝記念パレードで、ファンもその喜びを多く分かち合った事でしょう。

 

思えば、あろうことか3位のチームに実に14.5ゲーム差をひっくり返される形で日本シリーズ進出を阻まれ、最後はプロ野球史上最悪の汚点を残す形で終了した2017年のカープ

しかし、一方でレギュラーシーズンでは球団史上2度目のリーグ連覇を37年ぶりに成し遂げたばかりか、勝率も昨年を僅かに上回って球団記録を更新とするという輝かしい記録を残したシーズンでもありました。

昨年、やはり結果的には圧倒的な成績で優勝を飾ったものの黒田博樹が現役引退し、主戦クラスの先発投手が2年連続でチームを去るという形で迎えたのが今シーズン。

下馬評では優勝候補に挙がっていたものの、連覇を予想できるほどであったとも思えません。

そう考えると、レギュラーシーズンだけを切り取れば素晴らしい結果を残したと言えるでしょう。

では、何故今季、このチームはこのように連覇という果実をもぎ取る事が出来たか?

ちょっとデータをつまみ食いしながら、軽く考えてみたいと思います。

 

2017年広島東洋カープ投手陣の主な成績

 

防御率3.39(リーグ3位)

WHIP1.28(リーグ3位)

奪三振数1035(リーグ4位)

与四球476(リーグ3位)

 

先発防御率3.71(リーグ4位)

QS率58.4%(リーグ2位)

 

リリーフ防御率2.77(リーグ2位)

HP数140(リーグ3位)

 

昨年は前田健太が抜けた穴を見事にカバーし25年ぶりの優勝を演出した投手陣。

一方で、上でも書きました黒田博樹が現役引退。

これは「カープの連覇は難しい」という意見の根拠として挙げられてはいましたが、一理あるとかと思います。

主に、球団史に残るレジェンドが抜けるという心理的な部分もありますが、むしろそれ以上に大きいのは、安定してQS(クオリティスタート)を担保してくれる投手が抜けたという純粋な戦力という観点からです。

また、黒田以上に大きな痛手だったのは昨シーズン、外国人左腕初の沢村賞に輝き、開幕投手でもあったクリス・ジョンソンの相次ぐ疾病と故障による離脱。

ジョンソンの最初の離脱がシーズン開幕直後でしたから、チームの前途に暗澹たる思いがしたのは私だけではなかったでしょう。

しかも、これらの懸念はある程度は当たってしまいました。

 

実際、今季の投手陣の残した数字を振り返ると、チーム全体での防御率(3.20→3.39)、WHIP(1.26→1.28)はともに悪化。

なかでも特に大きく悪化しているのが、先発の防御率(3.29→3.71)で、ちょっと連覇を達成したチームとは思えないぐらいの悪化ぶりです。

昨シーズンは、最多奪三振を除く先発投手の主要タイトルを野村祐輔クリス・ジョンソンが分けあったうえにジョンソンが外国人左腕として史上初の沢村賞に輝きました。

しかし、今季は途中から先発ローテに入りながら救世主ともいえる八面六臂の活躍を見せてくれた薮田和樹こそリーグ最優秀勝率(.833)のタイトルを獲得しましたが、その薮田を除けばタイトル獲得投手はなし。

それどころか、規定投球回を満たしたうえで勝利数、防御率奪三振ともに5傑に入る投手すら皆無でした。

加えて、与四球(418→476)に至っては、昨年はおろかここ3年で最悪の数字。

黒田の引退とジョンソンの離脱という痛手に加えて加藤拓也や、床田寛樹といった新戦力が軒並み期待外れだった事が、モロに出ていた結果と言えるでしょう。

普通に考えたら破綻しかねないような状況ではありましたが、上手く被害を最小限に食い止める事ができたました。

それは何故か?

 

まず、注目したのがQS率。

上記防御率などのようにやはりこの数字も悪化(62.24%→58.4%)はしているものの、さほど大きな悪化ではありません。

また、複数回勝利を挙げた先発経験投手でQS率が40%以上の投手数(8人→7人)も昨年に比べれば大差はありません。

つまり、先発登板して2回に1回程度は6イニング3失点以内で収められる投手が常時5人以上はいたという事です。

そういう観点で考えると、大きく飛躍した薮田に加えて最終的には不振で終ったとはいえ、昨年の成績を上回った岡田明丈や、内容的には微妙でも何とか試合は作り続けて結果的に復活を果たした大瀬良大地に加えて、年間通しての活躍ではなかったものの昨年の戸田隆矢のようにパートタイムで輝いた九里亜蓮と、中村祐太の存在がやはり大きかったと言えます。

このように2回に1回程度はだいたい試合を作れた事に加えて、昨年から更に大きく飛躍して天文学的な数字を残した援護率(4.56→5.24)も合わさって、勝利数が昨年同様に延びたと推測されます。

つまり、試合を完全に支配出来ないレベルでありながら、ある程度は我慢ができる投手の頭数を揃えられた事が、打線の威力を邪魔せず、防御率などの数字の割には二桁勝利及び、それに準ずる投手が5人も現れるという事象に繋がったのでしょう。

 

ですが、それら以上に注目するべき最大の要素も見逃せません。

 

それは、リリーフ陣の成績。

 今季のリリーフ陣は、昨年活躍した中崎翔太、ジェイ・ジャクソン、今村猛が昨年より数字を落としはしました。

しかし、やはり似たような状況の先発陣がそれに引きずられて上記のように軒並み数字を悪化させているのに反して、リリーフ陣の防御率(3.06→2.77)と大幅に改善。

また、ホールドポイント数(128→140)も増加しています。

これは、先発からの負担が昨年よりも増えた事を示してはいますが、2桁以上のホールドを記録した投手数(3人→5人)が昨年より増加している訳ですから、それ以上に同点、もしくは接戦で投げられる投手の数が増えたと証と言えそうです。

今季は、上記3人の不振に加えて、昨年二桁ホールドを挙げたブレイディン・ヘーゲンズが不振でライアン・ブレイシアの獲得も完全な失敗に終わったというマイナス要素もありましたが、それを中田廉一岡竜司の復活がかなりの大きさで補ったと思えます。

一部のスポーツマスコミには今季のカープ投手陣では中崎、ジャクソン、今村の3人が昨季に比べて数字を落とした為、「リリーフ陣が弱点だった」という意見も見られました。

しかし、上記の通りそれは木を見て森を見ない浅はかな意見と言わざるを得ません(そもそも、チームのセーブ数自体は昨年とさほど変わりませんし…)

むしろ、昨年大活躍した3人が数字を落としても、上手くやりくり可能な投手の人数が増えた事で、リリーフ全体の防御率は改善し、大きく落ち込んだ先発陣を助けたと言えるのです。

 

以上のように、同じく昨年活躍した投手の引退や故障などがありながらも、それを埋める戦力が存在したという点では、先発とリリーフのセクションでは共通の出来事ですが、数字的に見れば、昨年からの既存の戦力が調子を落とした影響がより大きかったのは先発陣であったかと思います。

そうである以上、先発陣に関してはこのまま放置すれば、来季以降は大きな弱点となってチームの足を引っ張る要素になるとも言えます。

実際、勝利数のわりにイマイチな数字の内訳を見れば、今季に関しては、先発陣は一部を除けば「優勝に貢献した」というより「何とか足を引っ張らなかった」という程度だったようにも思えてしまう訳ですから。

 

参考にさせて頂いたデータサイト様

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「雪暮夜入谷畦道(直侍)」(歌舞伎観劇記)

2017年11月某日

歌舞伎座 吉例顔見世興行「雪暮夜入谷畦道(直侍)」

 

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今月、2回目の歌舞伎座は前回と同じ昼の部での演目です。

同じ昼の部なら前回、行った時に一緒に見れば良いじゃないかと思うかもしれませんが、休日に幕見で連続観劇となると集中力を持続するのが最近、難しくなってきたので…。

今回見るのは「雪暮夜入谷畦道」いわゆる「直侍」、前回見た近松半二による丸本物である「奥州安達原」と異なり河竹黙阿弥による世話物です。

河竹黙阿弥と言えば、「白浪五人男」や「三人吉三」などで知られる怖いけれど魅力あふれる悪党と、あの七五調のセリフ回し。

この「直侍」もそんな黙阿弥の魅力が満載の作品とは聞いていました。

随分前に、元ネタが同じで微妙にストーリーがリンクしている「河内山」は、中村吉右衛門のを見た事がありますが、恥ずかしながら「直侍」は見るのは初めて。

しかも、新しくなってから歌舞伎座で世話物の名手たる尾上菊五郎による「直侍」も実は初めて。

非常に楽しみではありました。

 

チケットを購入すると、時間がかなりあったのでせっかく黙阿弥の作品を今から見るのだからと、「河竹家の石灯籠」が移設されている屋上庭園へ。

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庭園は、平日昼間のせいか人影はまばら。

おまけに日当たりが良くコートを着ているのが暑いくらいでなかなか長閑に過ごせました。

そんな感じですから「五右衛門階段」を見るといつも以上に、周りがオフィス街なのが嘘みたいに感じます。

その「五右衛門階段」を下りて歌舞伎座ギャラリーでは久しぶりに既に鬼籍に入った歴代の名優たちの写真と再会。

思えば、ここに先程の石灯籠が移設された…すなわち歌舞伎座が建て替えられた前後にも多くの名優が世を去ったのが改めて分かります。

石灯籠の解説を書いた河竹登志夫も何年か前に亡くなりました。

イヤホンガイドで何とも言えないタイミングで解説してくれた声が懐かしいですね…。

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さて、ちょっと寄り道しましたが時間が来たので幕見席へ。

今日は平日昼なのでちょっとだけ空席がありました。

興行元には悪いですが、のんびり見るにはこれぐらいがちょうど良いですね。

やはり歌舞伎座幕見は平日に限ります。

 

さて、この「直侍」。

私もあまり知らなかったのですが、主人公である片岡直次郎(尾上菊五郎)もヒロインの三千歳(中村時蔵)も実在の人物なのだそうです。

これは上記の「河内山」と同じで、実在の犯罪者をモデルにしてそこに「実は義賊であった」などの設定を加味されていくというわりと歌舞伎ではよくある人物造形です。

しかし、「河内山」と「直侍」では決定的な違いがあります。

「河内山」の河内山宗俊がズル賢いながらも義に厚く、格上である筈の大名やその家臣たちにも引かない勇気を持つ快男児の話である一方で、「直侍」は自身の犯した罪の為にヒロインと引き裂かれて懊悩する男の悲劇であるという事。

この辺り、やりようによっては救いのない物語になってしまいますが…。

しかし、七五調の小気味よいセリフ回しに大規模な舞台転換や清元などの演出と、時にコミカルで時に色気のある菊五郎もあってそれだけで終わらせなかったように思えます。

罪を犯した事を三千歳に告白して、一緒になる約束をした起請文を返そうとする直次郎。

とても、切ない場面ですが清元やクドキをそこに組み合わせるのは、たんなる悲しいだけの悲恋の物語では終わらせないという事でしょうか。

また、丸本物等と違いこの作品では耐えず登場人物たちが動き回っていて途中で清元節も加わるのですが、それでもしっかりとメインである直次郎と三千歳が見せ場では観客の視線を集めさせている工夫はさすがです。

 

特に面白く感じたのは、「入谷大口家寮の場」での清元に対して、直次郎が「隣の部屋は何をやってるんだい?」という風な感じのちょっとメタなセリフを言う場面。

筋書きによれば、これは「余所事」といって、偶然、隣室で清元節の練習をしているところに直次郎がやってきているという趣向なんだそう。

そう考えると、今舞台を俯瞰している自分も大口屋に偶然やってきた人物になったかのようにも思えてくるわけですからより立体的に作品を味わえてくるというものです。

 

また、この作品の最大の特徴であるのは何と言っても本物の蕎麦を舞台で役者が食する事でしょう。

しかも、他の人物たちが蕎麦を食べる時はモグモグと食べるのに対して直次郎は素早く掻き込んで粋な人物である事を示唆しているという趣向。

まあ、西日本出身の私にはモグモグ食べている方が美味しそうには見えるのですが…。

 

それでもありがちな事を言えば、やはりこの舞台を見た後は無性に蕎麦が食べたくなってきます。

しかし、直次郎が食べたのはたんなるかけ蕎麦(天ぷらは売り切れだったので…)に熱燗。

なかなか上級者向きな組み合わせではありますね。

「呉の片隅から世界の片隅まで」(映画「この世界の片隅に」公開1周年に寄せて)

 

これまでロングランを続けていたアニメ映画「この世界の片隅に」が今日で初公開から遂に1周年を迎えました。

その間に2016年のヨコハマ国際映画祭を皮切りに国内外で多くの賞を受賞し、称賛を受けた経緯は今更私が言うまでもないでしょう。

改めてこのような素晴らしい作品に雀の涙程度のクラウドファンディングという形で制作までの経緯を見せて頂けたうえにエンドロールにまで名前を載せて頂けたのは生涯の誇りに思う次第です。

 

この作品の原作を私が読んだのは確か2010年。

改修工事が始まる前の広島駅新幹線口の本屋で上中下3冊を購入して新幹線で読みました。

既に前作の「夕凪の街 桜の国」でこれまで学校の図書館に置いてあった「はだしのゲン」や、「ちょっと怖い絵本たち」でのイメージが広島生まれの私には強かった「ヒロシマ」を違う切り口で描いていた作者のこうの史代先生の事は知っていました。

正直、ミリタリー的な事は好きではありながら戦時下の呉はさほど知らなかった私には「夕凪の街 桜の国」と同じ、むしろそれ以上に強い印象が残りました。

そして「いつかアニメにでもなればなあ…。」なんて考えたのを覚えています。

 

ですから、この映画のクラウドファンディング募集の話を聞いた時は即座に応募しました。

とはいえ、素直に言わせて貰えればクラウドファンディングに参加した当初は「この内容の映画が受け入れられるのだろうか」もしくは「今の日本の映画会社で配給してくれる会社はあるのか?」という疑問はありました。

確かに、荻窪での制作支援者ミーティングで見たパイロットフィルムだと、戦艦大和など原作にはないメカニックな部分も取り入れてはいましたが、あくまで主役は「北條すず」を始めとする戦時下の広島・呉という軍事都市で暮らす人々の生活や思い。

普遍的ではありながら、華々しいとも言い難くある種の高尚さが付きまとうテーマではあります。

ですので参加当初は正直、戦後70年以上も経った今の日本だととりあえず上映出来れば御の字…だとすら思っていました。

 

また、その後のキャストの発表でのんさんの名前を見た時も少々不安には感じました。

というのも大変失礼ながら、俳優さんや声優さんをあまり知らない私には、のんさんには一時期事務所と揉めていた事がメディアにさかんに取り上げられていた女優さんというイメージしかなかったので「女優さんの話題ばかり先行して作品の内容が顧みられなくなるのでは?」と思えたからです。

 

しかし、これらの私のあまりにバカげた不安は全て杞憂に終わり、公開に漕ぎつけた作品は大ヒットで配給会社であるテアトルの興行記録を塗り替えましたし、のんさん演ずる「すず」は、もはやこの人以外では考えられないぐらいのハマリ役となりました。

 

また、この作品によって呉という東洋一の軍港であった都市と、そこでかつて起きた出来事も世間に知れ渡る事となりました。

以外に思われるかもしれませんが、上にもちょっと書きましたが実は広島県出身者でも広島に原爆が投下された事は知っていても、戦時中の呉市の事についてはあまり知らない人が多いのです。

確か、重松清の「赤ヘル1975」という作品でも広島にばかりがクローズアップされて、呉や松山などの周辺で起きた悲劇を軽視しているように見える平和学習に反発する少女が描かれていましたが…実際私が小中学生の頃もそんな感じでした。

ですので、何だか後ろめたい気持ちもそこにはありました。

確かに、原子爆弾と言う人類史上最悪の汚点とも言える兵器が使用されたという事実や、その後の核拡散が進んだ世界の流れから考えからヒロシマナガサキや重要な出来事です。

しかし、被害の過多に関係なく広島以外でも戦時下で起こっていた出来事が改めて分かる機会が多くの人に訪れた作品に出会えた事で、広島生まれで被爆3世の私としては何となくあった後ろめたさに似た感情が取れたような気はします。

勿論、この作品が内包する事象はたんなる私の郷土という場所だけで終わるに留まりません。

この映画に大きく流れるのは、戦時下という特殊でしかし誰にでも起こり得る環境の中で、仕事に行き、家事をこなして明日のご飯を心配するという日常のある種の強さと、それすらも飲み込んでしまう戦争の惨禍の圧倒的な強大さという普遍性かと思います。

それは、呉や広島や日本中の津々浦々に限らず、ドイツでもイタリアでもイギリスでも中国でも朝鮮半島でも起こっていた事であり、場所によってはどこかで今も起こっている事です。

つまり、戦時下の呉の片隅から見えた普遍性は、世界のどこかまさに「この世界の片隅」でも見えるという事。

それがあったからこそ、戦争と言う政治的な観点が問われる事を避けられないテーマを取り上げているにも関わらず左右問わず多くの日本人や海外でもこの作品が支持された理由かと思います。

 

公開から1周年。

現在、日本に限らず世界では戦争と平和に関して多くの議論や対立があります。

そして、それらを解決する手段や論理は硬軟踏まえて一つではありません。

しかし、その選択を一歩間違えたしまった場合の世界になった時を想像し、どこかで妥協してそれを避ける道を探るうえでも是非引き続き日本中、世界中の人に「この世界の片隅に」を見て頂きたいと願わずにはいられません。

 

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制作時のフライヤー。本編では背景がちょっと異なります。

 

CSファイナル第5戦 ●「球史に残る汚点と共に」(カープ2017)

広島東洋カープ3-9横浜DeNAベイスターズ
クライマックスシリーズファイナル第5戦(カープ2勝4敗)
広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)

勝利投手 三嶋 1勝
敗戦投手 野村祐2敗

本塁打
(C)新井1号①
(BY)宮崎2号①桑原1号②筒香2号②筒香3号①梶谷1号②

打線は初回に先制するも以降は新井の1発のみに留まり3得点。
投手陣は野村祐が序盤から逆転を許すと、以降も投手陣が大崩壊。
記録的な大敗で敗れ、プレーオフ敗退が決定。
球史と球団史に汚点を残してシーズンを終える。
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あれから2週間あまりが経ちました。
その間、ドラフト会議と、2年ぶりに「もはや我々には何の関係もなくなった」日本シリーズがあったりもしました。
しかし、未だにこの結果が受け入れがたく気持ちの整理もつきにくいファンもいるかと思います。
私もその一人です。
というか、リアルに体調を崩して試合の翌日は会社を休んだくらいです。
今、この文章を書く為に試合の結果を改めて眺めて見ても怒りと屈辱で手先が奮える思いすらします。
しかし、事実は事実として受け入れなければなりません。

 

優勝チームが3位チームにプレーオフで敗れたのはリーグ史上初。
優勝チームが第1戦目で勝利しながら3位チームに敗退したのは史上初。
球団史上最高勝率のチームが日本シリーズに出ないのも史上初。

 

これ以外に探せば他にもあるかもしれませんが、改めて考えると大惨事以外の何者でもないでしょう。
かくして私たちの愛するチームは球団史上最高勝率で37年ぶりの連覇を成し遂げた栄誉から一転して球団史…いや球史に残る汚点を残す「地球上でもっとも恥ずべき優勝チーム」と
なりました。
何故こんな事になってしまったのか?

 

やはり敗れた要因はあまりに短期決戦に弱い事を昨年の日本シリーズに続いて証明したばかりか、学習能力の無さすら露呈させたチーム全体に求めるべきでしょう。

投手陣は2戦連続で軟弱極まりない投球を見せて所詮は5回程度をチンタラ投げるぐらいがせいぜいであると自ら証明した野村祐輔や、2015年のシーズン最終戦に続いて「チームが危機に陥れば必ず裏切る」という脆さを見せつけた大瀬良大地に代表されるように、1点を争う短期決戦という場で戦うにはあまりに力強さを欠いていました。
また、打線も昨年に続いて短期決戦に調子を合わせてきた田中広輔を例外にして押しなべて準備不足を露呈し、まるで2年前にタイムスリップしたかのような拙攻を見せつけてくれました。
それに加えて、「普段通りの戦い」という言葉を錦の御旗に、昨年の日本シリーズ同様、いざチームに勢いがなくなると何もできず、ただ敗れるのを待つだけだったベンチにも何の進歩も感じられませんでした。
その点、攻守で普段以上の力を出した個々の選手たちの集中力や、レギュラーシーズンでは絶対にあり得ないしやってもいけないような起用法を見せたアレックス・ラミレスのベンチワークなど全ての面においてひと周りもふた周りも相手チームは上を行っていた事を認めざるを得ません。

 

また、一方でこの「大惨事」の要因をプレーオフ制度に求める意見もあるでしょうが、それはあまりに女々しく惨め極まりない意見であり、一切賛同できません。
そもそも、この制度が出来てからこういう事が起こり得るというのは既に分かり切った事でしたし、つい最近までたんなる「ドアマットチーム」だった我々が、この制度から多くの恩恵を受けて来たという事実を忘れてはいけないでしょう。
現在の空前のバブル状態とも言えるカープ人気が高まったのは2008年にプレーオフ出場の可能性が高まったのがきっかけの一つだった筈でした。

また、2013年に勝率5割未満ながらプレーオフに初出場した時の盛り上がりがそれを更に増大させる事となったと言って良いでしょう。
それらの事実を忘れてこの結果だけをもって制度を批判するのなら、勝者であるベイスターズに礼を失するばかりでなく、これまでこのチームが歩んだ歴史を踏みにじる事にすらなりかねません。
また、空きすぎた日程という点もよく言われますが、チームにとってこれが初の優勝チームとして迎えるプレーオフならともかく2年連続である以上はこれまたあまりに言い訳としては無理があります。
何より、結果は結果でありルールはルール。
私自身、こういう試合の感想を最後に、連覇を成し遂げたシーズンを締めくくるのは断腸の思いです。
ですが、そこで惨め極まりない言い訳を並べるより、やはりまずは勝者をリスペクトする事が大事でしょう。


カープファンとしての誇りとして。

「奥州安達原」(歌舞伎観劇記)

 

 201711月某日

歌舞伎座 吉例顔見世興行「奥州安達原-環宮明御殿の場-

 

すっかり秋が深まりつつある11月に久方ぶりに歌舞伎座に行って来ました。

 

この日は天気も良かったので、有楽町駅から晴海通りを歩いて歌舞伎座へ。

と、ふと気づきます。

「なんかやたら警官とすれ違わないか?」と。

それもその筈、この日は某国大統領の来日期間中。

特に悪い事をしている訳でもなくましてや「友達の友達がテロリスト」なんて訳でもないのですが、何となく落ち着かない気分で歌舞伎座へたどり着きます。

 

到着した時は1幕目の「鯉つかみ」の幕見販売開始の少し前。

1幕目幕見の列が捌けてから2幕目の幕見販売時間まで待ちます。

長椅子に座ってぼんやりと晴海通りの喧騒を眺めていると、ふと知らない老婆が話かけてきました。

はて?

平日昼間から歌舞伎座幕見の列に並んでる30男がそんなに珍しいのでしょうか?

しかし、話に応じようとすると、係員が割って入って来たので老婆は向こうへ行ってしまいました。

鳩が豆鉄砲をくらったかのようにキョトンとしている私。

そこに係員が説明するには、たまにあんな風に幕見の席の人に話しかけてチケット譲渡を申し出てくる人がいるそうです。

当然ながら、これはいわゆるダフ屋行為ですから係員が制止するのも当然の事。

まあ、恐らくあの老婆は一緒に行く人が来れなくなって困って申し出て来たのかもしれませんけれども。

長い事、歌舞伎座で幕見していますが、こんな経験は初めてでしたね…。

 

ところで本日、観劇したのは「奥州安達原」。

 

今年の観劇は新歌舞伎の「一本刀土俵入」のみでしたので、かなり久しぶりの丸本物となります。

舞台は文字通り前九年の役の頃の奥州。

前九年の役というと丸本物の舞台としては恐らくかなり古い時代に入るかと思います。

もっとも、「妹背山婦女庭訓」のように蘇我入鹿などが登場する時代を舞台にしながら普通に江戸時代の風俗が登場するのが歌舞伎の「世界」ですからあんまり気にする必要もないでしょうが。

物語のあらすじは省略…というか非常に説明するのが難しい内容です。

というのも、この演目自体が本来のあらすじをかなりカットしたものですので前後の幕を見ないと、話の筋を理解しにくいのです…。

この舞台でのメインの登場人物は演目の別名(「萩袖祭文」)にある通り子連れの瞽女である萩袖(中村雀右衛門)です。

見せ場は舞台上で実際に役者が三味線を演奏するという趣向は珍しいかと思います。

もっとも、この萩袖自体は父である平傔仗直方(中村歌六)と母親である浜夕(中村東蔵)にこれまでの不孝を詫びて泣き、追い返されて途方にくれて泣き、義弟である安倍宗任(中村又五郎)父親殺害を教唆されて泣き…とわりと泣いている場面が多い印象。

それでいて、話がなかなか進まないので現代の映画やアニメに慣れた人にはちょっともどかしいかもしれません。

実際、私の周囲に座っていたのは外国から来られたと観光客と思しき人たちだったのですが、明らかに頭に「?」が浮かんでいるかのようでした。

もっとも、初見で意味はよく分からなくとも義太夫節の哀切溢れるメロディーと、人形浄瑠璃を移殖した名残と言えるその振り付けの妙は現代劇とは異なるプロットの構造を補って余りある丸本物の魅力かと思います。

 

この前の段に起こった(と思われる)環宮失踪の責任を取り直方が、親と夫の板挟みあって萩袖がそれぞれ切腹した直後に、袖萩の夫である安部貞任(中村吉右衛門)が登場。

「思われる」というのが、この演目の前段の説明が一切ないのである程度予想するしかないのです。

というよりこの演目に環宮なる人物自体がそもそも登場しませんし…。

 

その安部貞任が正体を八幡太郎義家(中村錦之助)に見破られて、「ぶっ返り」を見せるのですが、「ぶっ返り」と言えば同じく中村吉右衛門家のお家芸である「一条大蔵譚」が思い浮かびます。

阿呆を装って賢明な貴人に立ち返るのが「一条大蔵譚」なら貴人を装って荒々しい俘囚の長に立ち返るのがこの演目。

同じ家の芸でもその対比は大変興味深いものです。

 

ただ、私が一番印象に残ったのは結果的には自身の計略の犠牲となった妻である萩袖と、娘であるお君(子役の人なので名前忘れました…)を前に家族への憐憫の情を見せる安部貞任の描写。

既に姿は「ぶっ返り」の後の八幡太郎義家に戦いを挑まんとする荒々しい姿。

父である安倍頼時の仇を討つために家族をも犠牲にする非常な武人が見せる情は胸を打ちます。

安部貞任にそうさせたのは辺境の武人としてのある種の単純さなのか、本来は押し隠している情の深さなのか…。

人によっては解釈が分かれるかもしれません。

まあ、芸談とか詳しく読んでないから本来どういうものかは私が知らないというのもありますが…。

ただ、その「腹」を匂わせるぐらいに留めて決して前面に押し出す訳には行かないのも歌舞伎の奥深さでもあり、現代劇とは異なる難しさなのでしょう。

そう考えると、松竹のHPの説明にある通り安部貞任の「豪快な演技」は確かに魅力ではありますが、全体的に殺伐としたストーリーの中で時折、顔を見せる登場人物の情の機微が私にはより魅力的に感じました。

 

また、上記で何度か書いた以外にも話の筋が分かりにくく唐突な部分が結構あるので、前後の話にも興味が湧いてはきます。

まあ、この辺りがみどり狂言の魅力であり限界なのでしょうか。

そもそもこの話だけだと安部宗任はけっこう酷いキャラクターですし…。

CSファイナル第4戦●「力の差」(カープ2017)

広島東洋カープ3-4横浜DeNAベイスターズ

クライマックスシリーズファイナル(カープ23)

広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)

 

勝利投手 ウィーランド1

セーブ投手 山崎康2セーブ

敗戦投手 藪田11

 

本塁打

(C)1号②

(BY)筒香1号①

 

先発、薮田は初回から不安定な投球で5回に連打を浴びKO

打線は初回に3得点を先制も以降は1安打の拙攻。

再び打てず守れずの展開で惨敗しシリーズ3連敗。

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「力の差」

まさか、144試合を戦った後にこんな事を連想するなんて思いもよりませんでした。

しかしながらそれは事実ですから仕方がありません。

 

藪田和樹は前回登板時に60球程度とはいえやはり中4日は荷が重すぎたとしか言いようがありません。

要所で頑張ってはくれましたが、初回から四球を連発してピンチを招いた末に中盤にスタミナ切れとなりました。

一方、相手は休養十分のジョー・ウィーランドを先発に持ってくる余裕がありました。

こういう点、4番手以降の大瀬良大地や中村祐太ではなく薮田に頼らざる得ない部分で相手チームとの先発陣の力の差を感じざるを得ません。

また、そのウィーランドに対して薮田と曾澤翼はあまりにもナーバスになり過ぎた点も結果的に逆転を招いただけに見逃せません。

確かに、ウィーランドは投手としては打席においてはかなり異常な数字を見せてはいます。

しかしながら、総合的に見れば周囲の野手の方がやはり手強い訳ですから第1打席の安打はともかく、走者なしから連続四球なんてあり得ないでしょう。

どうも、このシリーズにおいては前回の石原慶幸といいこの曾澤といい、完全にチームの穴と化しているようにしか思えません。

ここにおいても、投手の得意なボールをズバズバ投げ込ませてくる相手捕手陣との力の差を感じます。

 

それに加えて、初回に見事な先制攻撃を見せながら以降は、職務放棄のような醜態を見せた打線。

なかなか要所で攻めきれないのは相手も同じ事。

しかし、それでも粘り強く好機を作り続けるという点では明らかに相手が上を行っていました。

また、それに加えて決定的な場面での集中力という点においても、前回のブラッド・エルドレッドや、今日の無死満塁というこれ以上にない好機で無様極まりない岩本貴裕や、小窪哲也とは比較のしようがないぐらい差を感じます。

 

要するにベイスターズとはレギュラーシーズンとは別の短期決戦で勝ち抜く為に必要な要素という点では重要な要素をベンチ・選手両面で力の差があったという事でしょう。

それは日程や勢いというだけを言い訳にする事は出来ない差というものと言わざるを得ません。

 

とはいえ、明日も試合はあります。

明日負ければ今シーズンは終了です。

アドバンテージを許したという事実以上に、上記のように両チームの短期決戦における力の差は歴然としている訳ですから大変厳しい状況です。

しかし、それが短期決戦である以上は挽回もまた早急に出来る側面もある筈。

私はそれに賭けたいと思います。

再び、「頂点のそのまた頂点」を目指す為に。