吹けよ風!打てよアレン!!

カープと趣味の日記

『絵本太功記』(歌舞伎観劇記)

1月某日

歌舞伎座 壽初春歌舞伎

『絵本太功記-尼崎閑居の場-』

 

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すっかり年末年始の気分も消えた1月末に今年最初の歌舞伎座

今回は夜の部の最初の幕なので幕見席のチケット販売から、開場までたっぷり1時間30分もある。

さすがに長いのでどうしたものかと友人にLINEをしたら返ってきた答えが「築地でも言ってみれば?」。

言った当人は冗談のつもりだったのだろうが、そういえば私は築地には行った事がない。

そう思うと途端にいいアイデアだと思えて、うっかり用もないのに築地市場の跡地に立ち寄ってみた。

そこにあったのは巨大な解体現場と化した市場跡地と取り残されたように佇む場外市場。

土曜日だったこともあり、決して賑わっていないわけではない。

けれども、かつて…というより、つい最近まで世界屈指の人口密集地帯の食を支えた栄華は過去になったようで何とも寂しい気持ちにもなってくる。

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で今回、観劇した話もそういった類の話と無理やりこじつけてみる。

ちなみに「太閤記」ではなく「太功記」。

しかも、主役は豊臣秀吉ではなく、その秀吉にあえなく討たれた明智光秀

「梶原平三」といい「時平の七笑い」といい、巷間では敵役になる人物を掘り下げて主役に据えるという手法を江戸時代の歌舞伎の作者たちが考えていた事には驚かされる。

もっとも、両者とも徳川家が支配した江戸時代では芝居の主人公にするのを憚られて名前は変名だけれども…。

 

築地の栄光の歴史は80年以上の長きに渡ったが、光秀が織田信長を討ち秀吉相手に敗死するまではたったの13日。

この舞台は、その光秀が最後を迎えるまでの13日間を1日1段の要領で描いたものだが、今となっては今回見る十段目以外はほとんど上演されないという。

 

中村吉右衛門丈演じる武智光秀の隈取は助六や鎌倉権五郎などとは違う青色がかった物。

主役であるにも関わらずどちらかといえば、清原武衡などの「国崩し」を彷彿させるのは謀反を起こして天下を取ろうとした彼の行為への暗喩か。

物語は無道を極めた小田春永(織田信長)を討ったものの、その行為を家族から非難された末に誤って母親を殺害してしまい、初陣を飾った息子・十次郎にも死なれてしまう光秀の悲劇を描くというもの。

特に絶望的な戦いに挑む十次郎と、十次郎を思いながらも健気に尽くす許嫁・初菊の悲恋は、義太夫節の哀切を伝えるかのような音色もあって切なくなってくる。

戦後直後にこの舞台を見て出征した若者を思い出して涙する観客が多かったというが、確かにわかる気もする。

最後は勇壮な絵面見得で幕となるものの、光秀の破滅が刻一刻と迫る予感が漂うある少々重たい雰囲気の舞台だったかと思う。

 

ところでこの光秀。

本能寺の変を引き起こした理由は未だに不明で様々な説が存在する。

陰謀論の類に至ってはそれこそ百花繚乱の如く存在するのはよく知られるとおりだ。

しかし、ある歴史学者の本を最近、読んだところ学術的な観点で見れば彼が本能寺の変を起こした理由は正直、どうでもいい部類の話なのだそうだ。

つまり、彼が何故このような行為を働いたかという動機よりも重要なのは彼の行動によって天下統一目前だった織田信長の政権が崩壊し権力の空白が生まれたという結果という事。

そうである以上は、歴史という大きな流れのなかではその理由がよく分からないまま謀反を起こした家族の肖像なんてもっとどうでもいい話。

実際に、こういうやり取りが光秀の家族にあった事は勿論、史実ではない。

そもそも天王山で決戦するのに尼崎くんだりまで光秀が来る時点で、明らかにおかしい。

しかし、一方で光秀という人物は一夫多妻が当然だった時代に珍しく側室をもたなかった現代人の感覚で言えば家族思いにも思えるエピソードも存在するのも確か。

そういう人物であるうえに、あれだけ日本を揺るがす事件を引き起こしたにも関わらず、謎が未だに多いというミステリアスさもあってこういう複雑な魅力あるキャラクターとして描かれたのかと思うと、歌舞伎の丸本物は楽しい。

 

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「前人未到の快挙」の理由・後編(カープ2018回顧)

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「悪化に歯止めがかからない現状」

 

「不甲斐ない投手陣を打線が救った事で3連覇は達成された」という意見に異論があるファンはさほど多くないかと思います。

現に全体的に数字自体は昨年よりも低下しつつも高い出塁率長打率が奏功して得点力の維持に成功した打線に比べると投手陣は悪化に歯止めがかかっていないようにすら見えます。

 

広島東洋カープ2018年投手成績

※()は2017年の数字

※○数字はリーグ内順位

 

防御率4.12⑤(3.39③)

先発防御率4.26④(3.71③)

リリーフ防御率3.87③(2.77②)

WHIP1.41⑤(1.28③)

失点651⑤(540③)

与四球535⑥(476⑤)

完封6⑥(9④)

援護率5.35①(5.25①)

 

 

データを見て感想を言えば「悲惨」の一言。

今季のプロ野球は昨年以上に打高投低のシーズンであるという事は前回書きましたが、リーグ全体で見ても悪い方の成績が目立つ以上、今季は大きく後退したシーズンとしか思えず正直、この程度の投手陣でよくぞ3連覇を成し遂げたものだと関心すらしてしまいます。

特に失点数とWHIP、与四球の悪化については目を覆うばかりです。

これは一重に昨年以上に、ストライクゾーンで勝負が出来るほどの球威がある投手が少なくなったのではと思えます。

 

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「驚異的なフランスアと不可解な中崎」

 

セクション毎の防御率を見ると、昨年は先発が振るわなかった一方でリリーフ陣が数字の上では奮闘したようにみえましたが、今季はどちらも総崩れ。

それもそうでしょう。

今季、途中から支配下登録されたヘロニモ・フランスアを除けば、防御率WHIP共にまともな数字を残したリリーフなど皆無なのは数字を見れば一目瞭然です。

 

広島東洋カープ2018年主なリリーフ

ヘロニモ・フランスア3勝4敗1セーブ19ホールド

防御率1.66

WHIP1.11

中崎翔太4勝2敗32セーブ6ホールド

防御率2.71

WHIP1.43

一岡竜司5勝6敗2セーブ18ホールド

防御率2.88

WHIP1.21

アドゥワ誠6勝2敗5ホールド

防御率3.74

WHIP1.46 

 

上記4人以外はまったくお話にならない数字が並ぶことになるので割愛しましたが、それでもフランスアと並んで今季の救世主的存在と言われたアドゥワ誠も内容的には正直、平均以下の数値が並びます。

また、中崎翔太に至ってはWHIPが1.43というクローザーとしては考えられない天文学的な数字となっており、これで優勝決定まで無敗だった事実が超常現象だったかのように思えるレベル。

自身100セーブ達成時にファンに「胃薬を忘れずにお願いします。」とコメントした自他ともに認める「劇場型」のクローザーはセイバーメトリクス泣かせの投手でもあるようです。

これに、平凡極まりない一岡竜司の成績も加味して考えるとフランスアの存在が今季のブルペンでは一層際立っていた事が分かります。

一方で、8月に月間登板数「18」という21世紀にもなってあり得ない記録を達成するなどシーズン途中加入の投手としては異例ともいえる登板数を刻んだ割にはホールド数が一岡と同じくらいなのは気になります。

これは要するに得点差関係なく登板する機会が圧倒的に多かった証左でしょう。

これまでカープが「左腕不毛の土地」とも言えた最大の理由はこれまでの歴代首脳陣が「使える左腕がいたら潰れるまで使い回す」という方針を頑なに貫いたからに他なりませんが、残念ながら現首脳陣もその轍から抜け出せなかったようです。

更にいえば、来季から1軍投手コーチに配置されるのは現役時代にベンチからのメチャクチャな起用に耐え続けた経歴がある佐々岡真司

正直、改善されるとは思えません。

願わくば、本当に僅差の場面以外でフランスアが投げないように済む左腕が登場すればよいのですが…。

 

 

「層が薄くなりつつある先発」

 

昨年のカープは軸とされた野村祐輔クリス・ジョンソンがあまり振るわなかった代わりに薮田和樹が大躍進を遂げ、内容的には微妙ながらそれに引っ張られた岡田明丈や、大瀬良大地でローテーションを編成した形。

一方、やはりローテーションの軸でありながら昨年以上に振るわなかった野村祐輔と、それなりの活躍を見せたクリス・ジョンソンに昨年の薮田以上の大躍進を見せた大瀬良とこころまでは昨年同様でしたが、薮田が「野球以外の部門で活躍の場を求めてしまった」のを始め、今季はそれに続く投手がなかなか見当たらず5人目以降の先発投手に至っては最後まで暗中模索が続きました(一応、最後になって九里亜蓮が出ましたが…。)。

広島東洋カープ2018年主な先発

大瀬良大地15勝7敗

防御率2.62

WHIP1.01

クリス・ジョンソン11勝5敗

防御率3.11

WHIP1.28

野村祐輔7勝6敗

防御率4.22

WHIP1.39

 この先発陣の層が薄くなった事が昨年以上の投手成績の悪化に繋がっているように思えます。

やはり、前田健太黒田博樹のように自身の成績や圧倒的なキャプテンシーで他者を引っ張れるエースが存在しない事がここに来て影響しているのかもしれません。

一応、それでも年間二桁もしくはそれに準ずる成績を残した投手だけでも6人程度はいる訳ですから頭数はいるように思えます。

しかし、大瀬良のように躍進した投手がしっかりと来季も活躍して地歩を固める事が出来なければ今度こそ崩壊してしまうのは容易に予想出来てしまうのも確かです。

単なる主戦から脱却したエースの登場は不可欠でしょう。

 

 

「これまで通りの援護は期待出来ない以上は…。」

 

ここまで見てきた通り、一部で奮闘した投手が各セクションには存在しましたが、全体的に見れば今季のカープの投手陣の成績はおよそ優勝チームに相応しいとは思えない…というより一歩間違えれば下位への低迷も考えられるぐらいに酷い成績だったとしか言いようがありません。

正直、「維持」が目標である打線とは異なり来季の投手陣にとっての目標は「再建」と考えるべきと思えるぐらいです。

それでもこのチームが優勝できたのは一部の奮闘した投手が負担に耐えた事と、異常な数値を稼いだ援護率の高さに他なりません。

しかし、その高い援護率をもたらした打線も核となる丸佳浩が流出した事で「再建」側に回ってしまう可能性も出てきました。

つまり前回、現有の戦力の足し算だけでは丸の穴を埋めるのは不可能と断じましたが、その分投手陣が早く再建を進める必要があるという事です。

それが不可能なら今季は打線の援護により猶予を貰えた形の投手陣が理由での崩壊が現実となってしまう可能性は残念ながら高いように思えます。

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参考にしたサイト様

・「日本野球機構」様

http://npb.jp/

・「データで楽しむプロ野球」様

http://baseballdata.jp/         

・「プロ野球データFreak」様

https://baseball-data.com/

・「Baseball LAB」様

http://www.baseball-lab.jp/

・「野球データノート(2018年)」様

http://npb.sakura.ne.jp/index.html

 

 

「前人未到の快挙」の理由・中編(カープ2018回顧)

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「それでも打撃が貢献している」

 

前回書きましたが、今季のカープは投手陣の成績が軒並み悪化するという状況にも関わらず、3連覇という形で快挙の上積みが出来ました。

そうなると、その要因を昨年以上に投手陣を援護した打線に求めるのは自然な考え。

実際、丸佳浩鈴木誠也を核とする中軸は破壊力抜群でしたし、松山竜平による初の規定打席への到達や、野間峻祥の躍進などもありましたので、投手陣の落ち込みも加味すると、まるで昨年以上に打線の活躍が目立ったようにも思えます。

しかし、数字を眺めると実情はどうだったでしょう。

広島東洋カープ2018年シーズン主な打撃成績

※()は2017年の数字

※○数字はリーグ内順位

 

打率.262③(.273①)

本塁打175本②(152本①)

得点721①(736①)

出塁率.349①(.345①)

長打率.431①(.424①)

盗塁数95①(112①)

犠打数109①(115①)

得点圏打率.256⑤(.297①)

 

 

今季のカープの打撃成績を眺めると、打率と本塁打以外は全体的に見て、昨年同様にリーグトップを維持はしています。

しかし、前年度と比較するとほとんどの数値で前年度を下回ってもいて「投手が不甲斐なかった分、今季は昨年以上に打線が頑張った」とも言い難い部分もあることも分かります。

単純に前年度比較するのは意味がないようにも感じますが、リーグ全体では今季は昨年以上に打高投低の傾向にあった訳ですから数字自体の低下はやはりチーム全体の打撃の破壊力は数字的には陰りが見られたとも思えてきます。

とは言うものの、打率と本塁打数が低下してはいても、それでも得点数は2位のスワローズ(658得点)と70得点以上。

やはり優勝の最大の原動力は打線であるという事に疑いの余地はありません。

 

 

「スモールボールのチームではない」

 

では、何故カープはこれだけ圧倒的な得点力を3年連続で維持する事に成功したのか?

今季の得点力の維持の成功を考えるうえで注目すべきなのはやはりというべきか昨年同様に、出塁率長打率でしょう。

減少した他の数字と反比例するかのように昨年に比べて数値が良くなっている出塁率長打率

得点自体の減少は15得点程度と軽微なものでしたからこの2つの数値が得点力の維持に大きく貢献したことに疑いの余地はないかと思えます。

特にこれらの数値を押し上げたのは丸佳浩鈴木誠也の二人です。

2018年丸佳浩

出塁率.468①

長打率.627①

 

2018年鈴木誠也

出塁率.438②

長打率.618②

 

 

二人揃って出塁率長打率及びOPSでリーグ1位2位を独占。

特に丸に至っては出塁率が球団記録であるのみならず歴代でもベスト10に入る驚異的な数字を誇りました。

出塁率長打率がずば抜けた選手が2人いるだけで圧倒的な得点数を誇る事が出来るというセイバーメトリクス信者が泣いて喜ぶような結果です。

一方で、未だに「抜け目なく得点を狙う機動力野球復活こそがカープ優勝の原動力」という平成も終わろうとしているのに古臭い価値観にしがみつくメディアも未だに散見されてもいます。

実際に、カープタナキクマルを始めとしてカープは走れる選手が多く野間の人間離れした好走塁を見ればそう考えてしまうのも無理からぬ事ですが。

しかし、その一昔前の価値観である「小狡い野球」を表す数値とも言える盗塁と犠打はどうでしょうか?

カープ2018年盗塁と犠打

 

盗塁数95①

盗塁企図数140①

盗塁成功率.679④

犠打数109①

犠打企図数137①

犠打成功率79.5%④

 

 

いずれも数値の上では1位ではありますが、成功率はリーグ平均以下という結果。

それを踏まえると、「確実に走者を盗塁や犠打で進める事が出来た」というより「とにかく出塁して盗塁や犠打が出来る状況を増やした」事が盗塁数と犠打数の高さに繋がっているという事が分かります。

また、得点圏打率の大幅な低下も鑑みれば今季のカープは「チャンスをしぶとく活かした」わけではなく高い出塁率長打率によって「得点する機会をとにかく増やし続けた」事が得点力の維持に貢献したと言えるでしょう。

それこそ相手チームの投手がうんざりするぐらいに。

従って、やはり今季もカープは俊足の選手が多いにも関わらず「スモールボール」というケチくさい野球の枠にはまらずに「ビッグボール」的なチームだったという事です。

逆に言えば、このような堅実さよりもとにかく機会の分母を増やして殴り続ける戦い方が今季の半ば自滅のように盗塁死を繰り返した日本シリーズに代表されるポストシーズンの弱さに繋がっているとも思えます。

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「丸がいなくなった影響を払拭するのは不可能だが…。」

 

ここまで高い出塁率長打率が高い得点力に繋がったと書きましたが、今季シーズン終了後に大変困った事になりました。

上記のように出塁率長打率で大きく打線を引っ張っていた丸佳浩があろう事か読売に移籍してしまったからです。

丸と誠也を除くと、出塁率長打率を共に兼ね備えた選手というはちょっと見当たりませんし、選球眼や出塁率というのは正直、努力よりも才能よりのスキルです。

従って丸流出の影響を完全に払拭するのは事実上不可能でしょう。

しかし、それでも野間峻祥や、西川龍馬のように出塁率長打率も確実にアップは出来ている選手はいます。

また、昨年は1番でありながら驚異的な数字で最高出塁率に輝いた田中広輔のように復活すれば大きな数値を期待出来る選手もいます。

何よりも丸も誠也も故障でチームから離脱した期間が少なくなかったにも関わらずこれだけの数字は残ったのですから…。

出塁率長打率の高さとは端的に言えば、「打てない時でもどうにか塁に出てチームに貢献する能力」であり「打った時は大胆に次の塁を狙う能力」である訳ですから丸が残したこれらの価値観をしっかりと受け継ぐ形での戦い方を来季も期待したいところです。

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参考にしたサイト様

・「日本野球機構」様

http://npb.jp/

・「データで楽しむプロ野球」様

http://baseballdata.jp/

・「プロ野球データFreak」様

https://baseball-data.com/

・「Baseball LAB」様

http://www.baseball-lab.jp/

・「野球データノート(2018年)」様

http://npb.sakura.ne.jp/index.html

「前人未到の快挙」の理由・前編(カープ2018回顧)

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最終的には日本シリーズでの惨敗と、その後の「Brexit」ならぬ「Maruexit」とも呼べる衝撃的な主力の流出という話題で終わりつつあるカープの2018年シーズン。

 

しかし、全体を通して見れば素晴らしい一年であったことは言うまでもありません。

 

何しろ、セ・リーグの歴史の中で読売以外は許されなかったリーグ3連覇という輝かしい事実が残ったのですから。

 

これまた言うまでもありませんがこれは、山本浩二や、今年急逝した衣笠祥雄といったこれまでの歴代レジェンドですらなし得なかった偉業であり、カープというチームを応援してきた私達にとっても大きな誇りです。

その偉大さに比べればその後のポストシーズンの事など些末な事柄に過ぎないと言っても良いくらいでしょう。

 

思えば、2015年のシーズン終了後の暮れ辺り。

私含めたカープファンの大部分は前田健太の移籍もあり、暗澹たる気持ちになっていたでしょうし、多くの物見高い評論家連中もカープのぶっちぎりでの最下位を予想していました。

しかし、結果はどうでしょう?

そこから旧市民球場跡地の優勝記念碑は長い空白を経て追記されたばかりか、碑文を彫るスペースすら無くなり隣に新たな碑を増築するに至りました。

また、球場のキャパを超えるファンが押し寄せてかつて平日は閑古鳥が鳴いていた3塁側内野席含めて球場は連日の満員で、今やカープは我が国のプロスポーツでもっともチケットが入手困難な球団です。

そんな夢のような日々を送れた事には今でも信じられない気分ですし、改めて感謝の気持ちしかありません。

 

しかし、それと同時にこうも思います。

 

「何故、今季もカープは勝ち続ける事に成功し、3年連続で栄冠を勝ち取り旨酒を酌み交わせたのか?」と。

 

実際のところ大まかに数字を見た時点で、それが必然と考えるのが難しいという事実に突き当たってしまいます。

というのも、37年ぶりの2連覇を達成した昨シーズンは、25年ぶりの歓喜を得た2016年と比べてほとんどの数字が下回っていたのですが、今季はそれに輪をかけて数字上は振るわない部分が多かったように見えるからです。

 

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広島東洋カープ2018年シーズン

※()は2017年の数字

※○数字はリーグ内順位

143試合82勝59敗2分(143試合88勝55敗4分)

勝率.582①(.663①)

総得点721①(736①)

総失点651③(540③)

打率.262③(.273①)

本塁打数175本②(152本①)

盗塁数95①(112①)

防御率4.12③(3.39③)

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基本的な数字を見比べて見ても前年度との単純な比較だけをしてみれば軒並み悪化しています。

特に目を覆うばかりなのが防御率

実はチームの輝かしい結果に反比例するかのように2015年以降は悪化の傾向があるのですが、今季は失点数がリーグワースト1位で、防御利率に至ってはなんと一気に4点台にまで転落。

ここまで落ち込んだのは遡ると野村謙二郎時代2年目の球団創設期以降では史上最低最悪とも呼べた2010年(4.80)以来です。

思い出して見ると今季、先発陣は大瀬良大地が大躍進し、充実のシーズンを送った一方でその大瀬良以外の二桁勝利投手はクリス・ジョンソンのみで5番手以降の投手に至っては結局、最後まで「行方不明」で終わってしまいました。

また、リリーフ陣に関しても辛うじて中崎翔太が踏みとどまっただけで残りはシーズン通して安定した投手は皆無。

途中で育成から支配下登録されたヘロニモ・フランスアが八面六臂の大活躍を見せなければと思うと正直、ゾッとしてしまいます。

 

こうなると「今季のカープは低調な投手陣を打線が昨年以上に支えて打ち勝った」と考えるのが自然ですが、上記の通り打線に関しても丸佳浩の予想外の量産による本塁打数以外は、2017年を軒並み下回る数字が並びリーグ全体で見ても1位なのが盗塁数ぐらいという結果。

もっとも、それでも得点数自体は1位ですからやはり打線に関してもそれでも破壊力はまだまだ凄まじいものだったと考えて良いかもしれませんが…。

 

このように大まかな数字だけ見ると攻守ともに数字が前年を下回っており、そうである以上は勝率や2位との最終的なゲーム差(今季は7.0)は頷けます。

素直に言えば、新たな戦力の躍動もありましたが、全体で見ればチーム力は徐々に衰退しつつあると言えるでしょう。

では、にも関わらず全体的に見れば、崩壊するどころか逆に勝ち星を重ね続けられた要素は何なのか?

そして、それを更に維持もしくは発展するためには何が必要か?

何回かに分けて少しそれを考えてみたいと思います。

 

(中編へ続く)

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『選手とは去るもの、出ていくもの』(カープ2018-2019)

残念な事に、2018年11月30日は多くのカープファンにとって痛恨の出来事が起こった日と記憶される事となってしまいました。

 

兼ねてからFA宣言をしていた主砲・丸佳浩があろう事か同一リーグで今季、クライマックスシリーズでも対戦した読売への移籍を表明。

 

丸に関しては言うまでもありませんが、2年連続のリーグMVP含む攻守に渡る大車輪の活躍で前人未到のリーグ3連覇に貢献してくれた選手です。

というより、2015年シーズン以降、前田健太が抜けて、翌年には黒田博樹が抜けてと戦力の先細りが顕著だったカープが3連覇出来たのは間違いなくいわゆる「タナキクマル」の強固なセンターラインがチームに君臨していたからに他なりません。

また、丸といえば伝統的に早打ちを好むこのチームにあって抜群の選球眼で高い出塁率を誇る異色の選手でもありましたので、その他球団への流失は攻守の大きな範囲に渡って痛手としか言いようがありません。

 

もっとも、この事態でこれまでのように球団を責める事は出来ないでしょう。

一昔前と違い、今のカープは安定的に勝てているうえに観客動員においても日本でもっともチケット入手が困難ともいえるほどの人気球団です。

また、球団が丸に提示した条件もFA残留を認めたうえでこれ以上は出せないと言って良いぐらいのギリギリまで出した好条件と言えるもの。

むしろ、相手球団が提示した条件は明らかに過大とも言える代物だったと言った方が良いでしょう。

これだけやって彼が残留しないとすれば、それはもう仕方ない事です。

かつて新井貴浩大竹寛などが移籍した時にもそうでしたが、やはりこの球団にとって選手とは「出ていくもの」もしくは「裏切るもの」と考えるべきなのだと改めて感じざるを得ません。

 

もっとも、3連覇という大きな果実を我々に捧げてくれた以上は、丸を恨むのは筋違いというものです。

もはや、我々には彼を応援する義理など当然ありませんが、大きな成果を挙げた選手へのリスペクトはどういう形になっても残り続けて然るべきなのです。

一方で、「より良い条件の球団に選手が移籍できたのは良い事」という正論ぶった意見にも私は、賛同するつもりもありません。

結局のところ、今回の事例などは「資金力のある一部の球団が選手を好き勝手に選手を取れるうえに、年俸の高騰を招いているだけ」という現状の我が国のFA制度が欠陥制度である事を改めて示しただけにしか見えなのですから。

 

丸の抜けた大きな穴を完全に埋めるのは来シーズン中では恐らく不可能でしょう。

しかし、だからこそ常に新たな戦力を様々な手段を駆使してスカッドに加え続ける努力を球団が見せる事に期待したいと思います。

 

所詮、私達にとって、彼ら選手は「カープの選手であってもカープのファンではない」という事。

そういう割り切りが球団にも我々ファンにも改めて必要という事ではないでしょうか。

 

「無限のパワー」と「ジャクソンスマイル」に祝福を(カープ2018-2019)

大変残念な結果に終わってしまった日本シリーズから早くも半月ほど。

 

シーズンが終了してファンの注目が集まるのはドラフト含むチームの補強と、一部選手の進退についてかと思います。

中でも今週、特に話題になったであろうニュースはブラッド・エルドレッドと、ジェイ・ジャクソンの退団の件でしょう。

言うまでもありませんが、ジャクソンは25年ぶりの優勝を成し遂げた2016年以来、エルドレッドはチームが優勝はおろか、Aクラス入りからすら見放されていた2012年途中以来からと、長年チームの貢献し続けてくれた功労者です。

勿論、今季の成績と、彼らの年齢や年俸を鑑みれば契約を結ばないという球団の判断は賢明ですし理解できる事です。

しかしながら、功労者が退団するというのはやはりファンとして悲しみを覚えるのはまた別です。

特にこの二人に関しては数字の上でのチームへの貢献は勿論、自身の功績に奢ることのない優れたパーソナリティでもファンに大きな印象を与えていただけに尚更でしょう。

 

上記の通り、どちらも長い在籍年数でしたがエルドレッドに至っては球団記録となるぐらいの長さ。

今だから書きますが、入団当初はあまりに荒削りに見えるそのプレースタイルに「日本での活躍は無理」だと思ってほとんど期待していませんでした。

しかし、それが大きな間違いだと気づくまであまり時間はかかりませんでした。

過去、このチームで活躍した打者であるアンディ・シーツグレッグ・ラロッカなどの例を見れば分かる通りこのチームは資金力の問題から、基本的に活躍してもしなくて外国人選手が在籍できる期間はせいぜい2年から3年が相場。

ましてや、打撃主要タイトル2冠を達成したぐらいの選手がこれだけ長く在籍するというのはほとんど奇跡に近い事です。

むしろ、彼の活躍と献身がこの球団のそういう状況に風穴を空けた要因の一つとすら言えるでしょう。

好不調の波の激しさや、故障の多さから年間通して活躍出来ない事や、時折見せる道具の扱いの粗末さという欠点はありましたが、長所と美点がそれを全て大きく上回りました。

球場にはチャイルドシート付きの自転車で通勤したり、家族を地元の小学校に通わせたり、オフには県南部で釣りに興じるなどまさに広島を愛し広島に愛された「ビッグカントリー」。

チームが絶望的に弱かった時代から主軸として活躍し続けたその貢献度は新井貴浩黒田博樹と同様、むしろそれすら上回るものだと確信しています。

 

ジャクソンの加入はそれまで場当たり的だったブルペンにしっかりとした秩序をもたらしました。

彼の活躍なくして四半世紀ぶりの快挙はなかったのは言うまでもありません。

あの飛び跳ねるように飛び出してマウンドに上がるルーチンと、無事仕事を終えたら、自身への声援を噛みしめるように静かにマウンドを降りると共に見せてくれたあの「ジャクソンスマイル」がもう見られないと思うと寂しい以外の感情が出てきません。

特に印象深いのが2016年9月10日の東京ドーム。

この日の私は優勝が決まるかもしれないというプレッシャーから食事はおろか飲み物すら喉を通らず青白い顔をして内野2階席で試合を見ていたのですが、ジャクソンもプレッシャーからか、いつにもまして不安定な投球。

不安からか、私はほとんど気絶しそうになっていましたが、結果的には無得点に抑えていつもの「ジャクソンスマイル」。

他にも素晴らしい投球を見せて貰えた試合は無数にあるのにも関わらず、投げている最中は多くの不安と憶測を呼びながらも最終的にはファンを笑顔にさせる投手という彼の「らしさ」を一番濃厚に見せてくれたという場面という点で印象に残っています。

全然関係ないですが、この時に近くに座っていたジャクソンのお面を被ったお兄さんが周囲に何故か配っていたハイチュウとうまい棒は今でも記念に保管しています。

このジャクソンも安定感のなさとポストシーズンでの勝負弱さという欠点はありましたが、いずれもそれ以上にもたらしてくれた物の価値を毀損するものではありません。

 

エルドレッドと、ジャクソン…。

共通するのは、いずれも完全無欠な救世主というより欠点も抱えながら長所がそれを大きく上回るタイプの選手だったという事。

そして、この二人のどちらもなくしてカープの四半世紀ぶりのリーグ優勝もリーグ3連覇もあり得なかった事。

改めて感謝すると共にこの二人の前途が素晴らしいものである事を願っています。

そして、何よりこの二人の貢献にファンが感謝する為の機会を球団が作ってくれる事も願わずにはいられません。

日本シリーズ第6戦⚫「栄誉と恥はコインの裏表」(カープ2018)

広島東洋カープ0-2福岡ソフトバンクホークス

日本シリーズ第6戦(カープ1勝4敗1分)

広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)

 

勝利投手 バンデンハーク1勝1敗

セーブ投手 森3セーブ

敗戦投手 ジョンソン1勝1敗

 

本塁打

(H)グラシアル1号①

 

先発、ジョンソンは6イニングを3安打2失点で、リリーフ陣も無失点に抑える。

打線は散発4安打と拙攻を繰り返した末に無得点。

攻守ともに奮わず、為す術なく惨敗でシーズンを終える。

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所用のため広島に帰郷した日曜日の朝。

人通りもまばらな球場のメインゲートの前に立って外から無人のグランドを眺めた後にチケット売り場の日本シリーズ第7戦以降の払い戻しの案内の張り紙を眺めてポツリと呟きました。

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「ああ、これで全部終わったんだな…」と。

 

かくして、私達のチームは日本一を決める舞台でまたしても単なる引き立て役に終わり、日本シリーズに出場した事実という「参加賞」で満足するだけとなってしまいました。

1勝以下でのシリーズ敗退は初出場だった1975年以来で、8個にも及んだ盗塁失敗の数はシリーズワースト記録。

また、これで3連覇しながら一度も日本一になれなかったリーグ史上初のチームという不名誉な記録も達成してしまいました。

確かに勝者と敗者の明暗がくっきり分かれる1対1の舞台である以上は、最高の栄誉と惨め極まりない恥はコインの表裏。

しかし、これはあまりにも酷すぎる惨敗と言わざるを得ません。

今日の試合などはその最たるものでしょう。

クリス・ジョンソンの孤軍奮闘により点差こそは2点ですが、攻守ともにおっかなびっくりなプレーを連発した挙げ句、ミスばかり目立ち半ば自滅したような無様極まりない試合。

その点、相手チームが、シーズン当初からこの日本シリーズの期間まで絶えず故障者の続出に苦しみながら、一人一人の選手がほとんどミスなく、自身の仕事をしっかり果たしたこととは大違いです。

つまり、我々のチームは個々の選手の能力は勿論、ベンチワーク、ひいては球団そのもののあり方に至るまで全ての面において相手に劣っていたと…という事です。

 

従って、「感動をありがとう」とか「惜しかった」というような愚にもつかない言い訳を私は許すことは出来ません。

 

…ここまで書くと、なんと酷いファンもいたものかと思う方もいるかもしれません。

 

勿論、この結果を持ってしても前人未到のリーグ3連覇を果たしここ3年でどこよりも試合に勝ったチームであるという栄誉に疑いの余地は一切ないでしょう。

しかし、結果的にこの栄誉にカスリもしなかった大惨敗という恥ずべき結果は結果として同じように受け止めなければなりません。

 

これから先も何度でも何度でも最後の頂点を目指すつもりがあるのなら…。

 

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