吹けよ風!打てよアレン!!

カープと趣味の日記

「クリス・ジョンソンという時代を私達は生きた」(カープ2020)

気づいたら知らない間に日本シリーズが終わっていた11月26日。

この日付けで正式にカープ球団よりクリス・ジョンソンと来季契約を結ばないという発表がありました。

シーズン最終戦直後に意図的な(としか思えない)球団関係者の不自然なリークを「大本営」こと中国新聞が大々的に報じた影響もあり半ば退団は既成事実化していたとはいえ、改めて現実のものとなると寂しいもの。

とはいえ、最終年となった今季の成績は0勝7敗で、外国人投手としては開幕から7連敗はリーグワースト記録と共に日本ワースト記録にも並ぶという散々なもので年俸や年齢を考えても退団は妥当な判断であったのも確かです。

しかし、同時にクリス・ジョンソンがここまで私達カープファンと歩んでくれた道のりは大変誇らしいものであり、その栄誉がたかが1シーズン程度の低迷で曇るようなものではありません。

 

思い起こせば彼が来日した2015年。

「リーグ優勝」という言葉すらとうの昔に忘れていた当時の私達の前に姿を表した最初のマウンドは衝撃的でした。

この年、爆発的な破壊力でリーグを制覇したスワローズ打線相手に僅か1安打でしか走者を許さず、終わってみればプロ野球史上初の初登板で準完全試合での完封勝利。

あの試合から始まる彼の広島での物語の序章を球場で見ることが出来たのは私にとって生涯の誇りです。

その後も圧巻の投球を続けて最優秀防御率のタイトルを獲得し、前任者であるブライアン・バリントンを遥かに超える活躍を見せてくれました。

開幕前後は兎角、黒田博樹の電撃的な復帰ばかりが話題となったシーズンではありましたが、投球の内容と結果では明らかに彼が上回っていたと思えます。

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そして前田健太が抜けた2年目の2016年。

開幕投手も努めるなどシーズン前の下馬評は圧倒的に最下位という評価が多くを占めたチームの投手陣を牽引して四半世紀に及んだ敗北の歴史に終止符を打った偉業に大きく貢献してくれました。

あの年は、最終的にはシーズン終盤の快進撃であわやリーグ最速に迫るスピードでの優勝となったシーズンではありましたが、中盤までは先発ローテーションを組むのも難儀する状況で決して最初から順風満帆ではありませんでした。

そんな中で開幕投手からマウンドで黙々とクレバーにイニングを消化し続けるジョンソンの「木鶏」とも賞すべき不動の姿が同僚やファンに勇気を与え続けたこそ迎えた快挙と言えるでしょう。

当時の私も、ホークスファンの友人から「カープ今年は調子いいけど今のエースって誰?」と聞かれて迷わず黒田や野村祐輔には目もくれず「ジョンソン」と答えた記憶があります

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また、この年は個人でも最多勝こそ野村祐輔に譲ったものの、外国人投手としては故ジーン・バッキー以来52年ぶり史上2度目となる(外国人左腕としては初)の沢村賞に輝く栄誉にも輝きカープのみならず球史にも大きく名を刻む事にもなりました。

余談ですが、バッキーも日本での最終シーズンはジョンソンと同じく0勝7敗という記録で何となく奇縁を感じます。

 

その後の彼の残した偉業はもはやカープファンなら小学生から老人まで誰でも知っている事でしょう。

2017年シーズンこそはコンディション不良と故障により低迷したものの2018年は見事に復活して3連覇に大きく貢献し、2019年も安定した投球を見せて球団史上、自身とコルビー・ルイスの二人しか達成していない外国人投手の2年連続二桁勝利を2度記録。

積み上げた勝ち星は自身の背番号の前任者であるバリントンの「40」を大きく上回る「57」と圧倒的かつ不世出の記録となりました。

また、外国人投手としては球団史上初かつ球団25年ぶりの日本シリーズでの開幕投手も務めるなど、鈴木誠也新井貴浩らを筆頭に大舞台にめっぽう弱い選手が多かったチームにあって、ポストシーズンでの安定感も特筆すべきものである事も忘れがたいです。

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これらの投手としての偉大な記録や記憶だけでなくグランド内外でも一人のアスリートとしてその人格は大変尊敬に値するものでした。

来日初年度から夫人(当時は確か婚約者でした)と連れ立って、広島生まれの広島育ちである私ですら行かないような県内のスポットを巡り歩いて異郷の地に慣れ親しもうとする姿勢や、クールなグランドでの表情とは真逆で優勝記念の提灯行列に飛び入りで参加したり、うっかり外出中に台風に遭遇して広島港で立ち往生する姿が一般人としてニュース映像に写り込んだりするユーモアはブラッド・エルドレッドの「ママチャリ通勤」共々ファンに親しみを与え続けてくれた広島名物とも呼べるもの。

また、判定に露骨に不満を見せるマウンドでの態度は審判やファンに与える心証のうえでは決して特になるものではありませんでしたが、それも今思い返せばグランドでは自身は勿論、他者にも決して妥協しない彼の高いプロ意識の現れだったのかもしれません。

 

球団歌の4番に書かれた「優勝」という言葉がたんなるジョークでしかなかった2015年の来日初年度から誰もが気楽に「優勝」という言葉を使うのを躊躇う事がなくなった今日まで広島という異国の地を鼓舞し続け多くの喜びをもたらしてくれた彼と共に私達ファンが歩んだ歳月は「カープ3連覇の時代」である共に「クリス・ジョンソンの時代」と呼んでも過言ではないでしょう。

そして、そんな時代を多くのファンと共々生きて行けた事に感謝しかありません。

同時にこの悲しい別れを受けて来季以降の彼がどのような形で野球を続けるのかはまだわかりませんが、これまで以上の栄光が待ち受けている事を祈りたいとも思います。

 

記録を

栄光を

何より「時代」をありがとう。

偉大なる左腕、クリストファー・マイケル・ジョンソンよ。

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11/11(水)●「長い夜の始まり」(カープ2020)

広島東洋カープ2-3中日ドラゴンズ

24回戦(カープ13勝10敗1分)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 柳6勝7敗

敗戦投手 九里8勝6敗

セーブ投手 藤嶋1勝1セーブ

 

本塁打

(C)-

(D)-

 

打点

(C)堂林②

(D)京田①桂②

 

投手

※数字は自責点

(C)九里③

(D)柳②-藤嶋

 

先発、九里は8安打を浴びながらも凌ぐ好投も9イニング目に崩れ3失点。

打線は8回まで散発3安打で3塁すら踏めない拙攻。

最終回に堂林が適時打も及ばず今季最終戦で惨敗し8年ぶりの5位が確定。

菊池涼介二塁手としてシーズン守備率10割のプロ野球記録を達成。

鈴木誠也は球団史上初の年間打率3割が確定。

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12球団で最後まで順位が確定していなかったカープでしたが、この最終戦で惨敗を喫した事により8年前で別れを告げた筈の「定位置」…即ち5位に戻る事となり2013年に初のプレーオフ出場を果たして以降、25年ぶりの優勝に球団史上初の3連覇と続いてきて栄光は幕を閉じ、私達のチームは再び長い夜を迎える事となりました。

 

球団史上初の5シーズン連続3割がかかった鈴木誠也と、二塁手として前人未到の守備率10割がかかった菊池涼介が揃って欠場と、ただでさえ弱いチームが格上相手に「手抜き」を演じた以上、敗北は明らかではありましたが…。

それでも、追いつかない程度の反撃しか出来ない打線に投手の代え時が無茶苦茶なベンチと今季のチームのダメさ加減を煮しめたようなクソッタレな試合になったのは何とも象徴的です。

先発の九里亜蓮は再三に渡ってピンチを招きながらも8回まで1失点に抑えてシーズン最後まで好調を維持し続けたのは本当に立派でしたし感動すらしました。

それだけにそんな彼を無意味に引っ張って試合を台無しにして僅かながらも残っていた4位の可能性を消した佐々岡真司監督以下のベンチの愚行は許しがたいものがあります。

私は佐々岡真司の監督就任直後からその指導者としての資質に疑問を呈し続けて来ましたが…それがこういう形で的中してしまったのは本当に残念です。

また、試合終了後のセレモニーで自身の挨拶もそこそこに今季限りで退団が決まっている小窪哲也を盾にして逃げるような無責任な姿は試合での無様な采配ぶり以上に人間的に許せません。

このようなシーズンの終わり方を見る限りだと、ただでさえコロナウイルス蔓延の影響で球団の経営が大きく揺らぐ事態になっていて満足な補強が困難となる事が予想される来季以降も、彼のような指導者の資質が感じられない人物がチームを率いるとなると低迷を止める事は不可能なように思えます。

そうである以上、この5位という成績を「長い夜の始まり」と見なすのは決して大げさな見方などではないでしょう。

上記の鈴木誠也や、菊池涼介の記録達成は素晴らしいものですが、それ以上にまったく未来への希望の感じられない結末になった以上、今夜ばかりは失望しかありません。

 

11/10(火)○「虚しさ募る試合と『元4番』」(カープ2020)

東京ヤクルトスワローズ3-7広島東洋カープ

24回戦(カープ14勝7敗3分)

明治神宮野球場

 

勝利投手 床田5勝8敗

敗戦投手 奥川1敗

セーブ投手 フランスア2勝3敗19セーブ

 

本塁打

(C)松山9号②

(S)廣岡8号①

 

打点

(C)松山④床田①鈴木誠①堂林①

(S)廣岡①青木①坂口①

 

投手

※数字は自責点

(C)床田①-中田-塹江-島内-フランスア

(S)奥川⑤-星②-長谷川-高梨-寺島

 

先発、床田は7回まで3安打無得点の投球も8回に崩れて降板。

打線は松山の4打点の活躍で序盤から7得点も中盤以降は好機を活かせず。

投手陣が終盤崩れるも序盤のリードを守って逃げ切り今季最後の関東での試合を勝利で終える。

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パ・リーグが一足先に全日程を終了していた事もあり一応、ベイスターズと並んでまだ順位が確定していないとはいえ大盛穂や、田中法彦などの注目の若手選手は軒並みフェニックスリーグに参加すべく既に1軍から離脱しており残ったのは一部を除けばくたびれた中堅選手ばかりという状況。

相手も相手で既に最下位が確定しているチームという事もあり、例え開催を打ち切ったとしても恐らく誰も気づかなかったのではとすら思えるぐらいに楽しみが少ない試合。

正直、そんな寒い中球場に足を運ぶ価値を見出すのが難しい状況で、数少ないフレッシュさを提供したのはドラフト1位ルーキーの奥川恭伸を先発に立てた相手チームでした。

大型新人のデビュー戦となると広島県のチームのくせに江戸っ子並みに初物に大変弱い事で知られるカープ打線ですから昨年のファイターズ戦での吉田輝星との対戦時のように逆に「プロの厳しさ」を教えられる結果になるのではおおいに危惧しましたが…。

結果は、1本塁打4打点を記録した松山竜平の活躍などでそうはなりませんでした。

とはいえ、19安打も放っておきながら7得点は効率が良いとは言い難いですし、5回以降は無得点。

結局、打率などの上辺だけの数字は良くとも肝心の得点は決められない今季を象徴するような結果になりました。

 

一方、これまた終盤に大量リードにも関わらず不安定さを露呈させた投手陣。

先発の床田寛樹は完封ペースで進んだ8イニング目は1死も取れずに降板と、昨年の自身の最終登板の再現を予感させるような結末にはなりましたが、素晴らしい投球を披露してくれましたので問題はむしろその後なのは明らかです。

床田は、今日こそは素晴らしい投球を見せてはいましたが、壊滅的な防御率やWHIPからも明らかな通り9回まで安定して投げられる保証がまったくないレベルの投手。

にも関わらず、ブルペンではほとんど誰も準備させず本来なら左腕を投入したい場面で偶然準備できていたのが中田廉のみというベンチのいい加減さには心底呆れました。

結局のところこのチームは、というよりこのベンチは一時が万事最初から最後までこういう事だったという事です。

一応今季最後のビジターでの試合で4位に望みをつなぐ結果にはなりましたが、攻守共に内容的には虚しい試合だったと言わざるを得ません。

 

ところで、スタメンに定着する以前の2015年以来およそ5シーズンぶりに1番に座った鈴木誠也は最初の3打席で3安打を放って打率が3割に到達したところで交代。

次戦は出場しない見込みだそうなので、これで球団初となる5シーズン連続での3割25本以上の成績を確定させる事となりましたが…そもそも主軸を打つ筈の選手が3割到達の為に1番を打つというのは正直、強烈な違和感があります。

確かに上記の記録は素晴らしい記録ではあるのですが、21歳にして日本人選手としては球団史上初の全試合4番出場を果たし最高出塁率のタイトルも確定させた村上宗隆に比べると見劣りがします。

勿論、鈴木誠也自体は素晴らしい選手ですし私達のチームにとっては唯一無二の存在である事は変わりありませんが…。

結局4番としての活躍がさほど見られなかった今季や、球団記録を達成したこの5年間で30本塁打以上は1度のみで100打点に至っては1度も到達していないという事実を見ると、他球団で若くして4番を勤め上げている上記の村上や読売の岡本和真などと比較して随分と小ぢんまりした凡庸な選手になってしまったように思えます。

何より打線中軸として走者を返す仕事から開放されて1番打者としてのびのびと打つ今日の彼の姿を見ると余計に記録を達成した喜び以上にやはり虚しさの方が募ります。

11/07(土)●「掴み続けた19年間」(カープ2020)

広島東洋カープ0-2阪神タイガース

24回戦(カープ8勝13敗3分)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 秋山11勝3敗

敗戦投手 中村祐3勝4敗

セーブ投手 スアレス3勝1敗25セーブ

 

本塁打

(C)-

(T)大山28号①

 

打点

(C)-

(T)木浪①大山①

 

投手

※数字は自責点

(C)中村祐②-菊池保-中田-ケムナ

(T)秋山-能見-エドワーズ-スアレス

 

先発、中村祐太が6回2失点の好投を見せるとリリーフ陣も無得点。

打線は、2塁すら踏めない散発3安打の拙攻で終始沈黙。

貧打による惨敗で連勝が7で止まり、石原の引退試合を飾れず5年ぶりのシーズン負け越しも確定。

引退試合の石原は8回守備から登場し現役最終打席はライトフライに終わる。

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今日の試合は19年間に渡って在籍し、長らく主力捕手としてチームの低迷期からリーグ3連覇まで屋台骨を支えた石原慶幸引退試合となりました。

ここまで積み上げた1620試合出場と1022本の安打数はいずれも捕手としては球団記録であり、2009年には球団史上捕手としては33年ぶりとなる二桁本塁打を記録。

2009年~2014年に記録した6シーズン連続サヨナラ打及び2018年に記録した38歳8ヶ月での1000本安打達成はプロ野球記録でもあります。

また、打撃だけでなく守備においても多くの評論家や指導者から絶賛されたキャッチング技術も素晴らしいものでした。

デニス・サファテの160km近い豪速球から林昌樹の漫画のように鋭い変化を見せたスライダー、果てはフルタイムナックルボーラーであるジャレット・フェルンデスの予測不能な軌道の投球まで捕球するというまさに球界屈指と呼べるものでした。

 

いずれも素晴らしい足跡ですが、それら以上にファンの記憶に残っているのは有名な「打席からジャンプしてのスクイズ失敗」や、ボールを見失って咄嗟に砂を掴んで進塁を防いだいわゆる「一握の砂」「併殺打崩れのどさくさに紛れて歩いて3塁へ進塁」「サヨナラ打撃妨害」など多くのファンを爆笑もしくは困惑させたプレーの数々かもしれません。

特に2006年2007年に記録した「スクイズ失敗」は当時がYou tubeニコニコ動画などの動画共有サイト黎明期であった事もあり、14年も前のプレーであるにも関わらずネットミームとしてカルト的な人気を誇っており今回の引退記念グッズの図柄にも採用されたぐらいです。

また、プロ野球史上3例しかない打撃妨害でサヨナラ負けを記録した捕手など恐らく世界中探しても彼ぐらいで今後も現れる事などないでしょう。

今回の引退を見て改めてそれらの映像を確認しましたが、「こんな話のネタが尽きない面白い選手が19年間も応援しているチームにいたのか」という気持ちにもなりました。

 

しかし、個人的には、上記の事柄以上にもっとも印象的なのは現役時代前半から中盤にかけて長らくチームも本人も続いた苦しい時期の記憶。

特にリード面においては球場で彼に対する汚い罵声や野次を聞かない日がないと言えるぐらいでした。

彼が入団した当時のカープといえばまさに「一面の焼け野原」と言えるぐらいに投手陣がボロボロだった時期。

言い方は悪いですが、プロとは名ばかりとすら思えるリードのしようもないクズ投手が大変を占めていたチームにあってそれを彼が守り立てないといけない苦労は並大抵の事ではなかったでしょう。

その後、前田健太の台頭や外国人投手たちの活躍をきっかけにしたチームの投手陣の質や層が向上し、彼自身も25年ぶりのリーグ優勝に貢献したうえで自身初のゴールデングラブ賞を獲得するようになって以降は上記のような野次はパタリと止まり、むしろ會澤翼などと比較して称賛されるケースが増えたようにすら思えます。

長らく続いた苦労と努力がキャリア終盤になって花開き報われて良かったと思える以上に真逆のキャリア中盤までの状況との落差を見て割り切れない不条理さも個人的には感じます。

私が、投手が打たれる度に安易に捕手のリードを批判するような風潮を嫌う理由はこの辺りで、これは我々ファンとしてもおおいに反省するべき事ではないかと思う次第です。

もっとも、打撃に関してはまったく最後まで期待しておらず彼がスタメンの試合では彼の打席をトイレタイムにしていたような私がそのような偉そうな事を言える義理はないでしょうのでしょうけれど…。

 

今日のプロ最終打席はライトフライに終わり、結果的に昨年晩夏の神宮球場でトイレに行く途中の通路で目撃した本塁打が彼の現役最後の本塁打になってしまいました。

試合自体も打線が二塁すら踏めない無様な打撃で5試合連続QSを記録した中村祐太の頑張りを台無しにするなど結果も内容も散々でした。

しかし、上記の通り苦労の方が大半だった現役生活を「幸せでした」と淀みなく言い切った引退スピーチはそれらを吹き飛ばすぐらいに素晴らしいものでしたし、セレモニー後に見せた盟友クリス・ジョンソンとの固い抱擁には目頭が熱くなりました。

また、完封目前の秋山拓巳を下げて石原の最後の打撃に同い年で今季退団が決まっている能見篤史をマウンドに送り出した矢野燿大監督以下の阪神タイガースの粋な計らいは感謝の念に耐えません。

 

キャリア前半中盤までのチームと自身の苦難からリーグ3連覇に貢献して報われたキャリア終盤の栄光まで。

最後は感動的なセレモニーと多くのファンからの惜別の声に彩られた石原が数え切れない球種と共にそのミットで掴み続けた19年間で私達に運んでくれたのはとても綺麗で見事な大輪の花だっという事かと思えます。

コロナ禍の球場で唄う事が出来なかった彼の応援歌の歌詞のように。

 

南の夜空に赤く

輝く一番星

広島に夢を運ぶ石原慶幸

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11/05(木)○「去りゆく日々に思いを馳せて」(カープ2020)

広島東洋カープ5×-4読売ジャイアンツ

24回戦(カープ9勝12敗3分)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 ケムナ1勝1敗

敗戦投手 田口5勝6敗1セーブ

 

本塁打

(C)長野10号①

(G)坂本18号②

 

打点

(C)松山②長野①會澤②

(G)坂本②岡本①丸①

 

投手

※数字は自責点

(C)薮田②-中村-中田-塹江②-島内-フランスア-ケムナ

(G)サンチェス②-桜井-大江-高梨②-田中豊-田口①

 

先発、薮田は5回まで無失点も6回に同点弾を浴び5回1/3を2失点で降板。

打線は序盤に松山の犠飛と長野の本塁打で先制も以降は終盤まで沈黙。

4番手塹江が勝ち越しを許すも8回に會澤の適時打で追いつき延長10回に松山のサヨナラ打で今期最後の読売戦を制する。

ケムナはプロ入り初勝利。

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試合前に25年ぶりの優勝を成し遂げた2016年と2連覇を成し遂げた2017年に選手会長を勤めた小窪哲也自由契約と退団が発表されました。

規定打席に届く事すら一度もなかった事から分かる通り数字の上ではお世辞にも名選手とは言い難い選手ではありましたが、アマ時代の各年代から主将を勤め続けてきたそのキャプテンシーは球団屈指であり、あの3連覇も精神的支柱として役割を果たした彼がいなければ考えられないほどです。

ほとんど活躍の場がなかった近年においても球団が契約を続けたのは内野の層が薄い事以上にリーダーとして優れた素質を持つ彼を将来的な指導者として期待していたという側面もあったかと思います。

それだけにこういう形で彼と別れる事になるのは本当に残念。

しかし、本人の強い現役への拘りもあったということですから悔いのないように野球人生を全うして欲しいと思います。

 

今週、引退試合を迎える石原慶幸に続いて3連覇を彩った選手との別れは、チームが初のプレーオフ進出を決めた2013年以来で初の2年連続Bクラスが確定している状況と相まってあの栄光の日々が遠くなっていく事を実感させてくれます。

そんなチームは今日の試合では、既に優勝を決めているチームとの最終戦ではありますが、内容的には先発がQSを果たせず、リリーフも失点し、打線は中盤まで2得点しか出来ず攻守でミスも出るという展開。

おまけに土壇場の場面では名物と化した「3塁コーチズボックスの障害物」こと、廣瀬純コーチのとんでもない走塁指示まで飛び出す始末…。

ここまで書くとどう考えても大差で惨敗するような試合に思えますが、結果は終盤に2点差をひっくり返すサヨナラ勝利ですから、つくづく野球とは分からないものです。

ここまで塁上に走者がいない場面でのみ威勢がいい事に定評のあった西川龍馬や久しぶりに決定的な場面で仕事を果たした松山竜平を始め、今日は中軸もしくは中軸だった選手がここぞで打つ事が出来たからかと思います。

特に5番に座り終盤に2点差を追いつく適時打を放った會澤翼はそれが今季、例え相手が利き腕と逆の腕から投げたとしても打てそうになかった高梨雄平からだという事を見てもまさに殊勲打と言えます。

…と同時にあの薮田和樹ですら試合を作り続けていて相変わらずの安定感を見せた先発陣ともども「それもっと早くやれよ」と言いたくなるのもまた当然の事。

消化試合開始後はこれで2敗しかしていない一方で今更の連勝は7連勝となり、「大本営」こと中国新聞からも「閉幕ダッシュ」と揶揄されるほどの椿事には称賛や喜び以上にチームが石原や小窪が輝きを見せた去りゆく日々を思いを馳せて今に対する虚しさが募りますね…。

11/04(水)○「苦しみの果てでの輝き」(カープ2020)

広島東洋カープ5-1読売ジャイアンツ

23回戦(カープ8勝12敗3分)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 遠藤5勝6敗

敗戦投手 高橋1勝3敗

 

本塁打

(C)長野9号①

(G)-

 

打点

(C)西川①長野③會澤①

(G)岡本①

 

投手

※数字は自責点

(C)遠藤①

(G)高橋①-ディプラン②-田中豊-大竹-横川

 

先発、遠藤は安定した投球を続け9回に失点を喫するもプロ入り2度目の完投。

打線は中盤まで拙攻で1得点のみも終盤に長野の3打点の活躍で突き放す。

9回を投げぬいた遠藤の好投が光り引き分け挟んで今季初の6連勝。

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今季、開幕から先発ローテーションを守ってはいるものの勝ち星はおろか、試合をまともに作れる事すら希少で防御率初め壊滅的な数字が並んでいた遠藤敦志。

消化試合が始まる前後から息を吹き返したかのように好投を見せ始めていたものの、単純に森下暢仁などの一部例外を除いてまともな先発投手が皆無なチーム事情からローテーションを守っていたことだけで果たして躍進したと言えるのかが疑問…というような事を前回彼が登板した試合の感想で書いた気がしますが…。

今日の彼はそんな厭味ったらしい疑義を見事に吹き飛ばしてくれるような素晴らしい投球を見せてくれました。

シーズン通して絶望的に悪かった立ち上がりを凌ぐとその後は散発4安打しか許さず時折訪れたピンチもしっかりと抑えて8回1/3まで無得点の好投。

惜しくも9回表に内野ゴロの間に失点を喫してプロ初完封は逃しましたが、今季2度目の完投勝利で一時は絶望的だった5勝目と年間100イニングにも到達したばかりでなく、壊滅的だった防御率も3点台まで持ち直しました。

QSが1度もなく防御率も7点台と結果も内容も悲惨極まりなく完全に疲労困憊でどう考えても一度はファームに落として調整するべきだった9月のような時期も無理にローテーションを守り続けた影響もある訳ですから、来季以降このまま躍進を続けられる保証はありません。

しかし、圧倒的な投球を続けた森下とは対象的に実績のない若い投手が初めて年間通してローテーションを守り続ける苦しみを、身を以て体現し続けたかのような彼の頑張りが今季最後の登板で輝きを見せたのは本当に良かったですし感動しました。

また、前回は溌剌とした宇草孔基とは対象的に終始疲れた表情を見せていたお立ち台も今日は心なしか余裕が感じられるようなのも何よりです。

まあ、なんか残り試合数を聞かれて普通に間違えて答えていましたけどね…。

 

一方、昨日の九里亜蓮、今日の遠藤と先発投手が2試合続けて完投するという素晴らしい結果と内容を残しただけに試合終盤まで試合にまったく参加しないも同然だった今日も打線の酷さは際立ちました。

特にここ最近4番に座っている西川龍馬の酷さは目を覆うばかりです。

4番に座って以降の5試合でチームは36得点を挙げていますが、自身の打点は今日挙げた、どう見ても併殺打にしか見えなかった内野ゴロの間のショボい1点のみで、ここ3試合に至っては安打すらなし。

圧倒的な本塁打数や打点数を誇る一方で打率はさほどでもない相手4番の岡本和真を見れば分かる通り、中軸に座る打者は本来なら試合の決定的な場面以外は「死んだふり」をしていても良いのですが、彼の場合はまったくの真逆なのです。

勿論、西川が打撃センス溢れる素晴らしい天才肌の選手であることに疑いの余地はありませんが…。

あの得点圏であるなしに関わらず、何でもかんでもバットを振り回す落ち着きのなさは、絶望的にクリーンナップには向いていないという事なのでしょう。

もっとも、3年前にあっさり4番にフィットして見せた鈴木誠也が異常すぎるだけなのかもしれませんが…。

11/03(火)△「土壇場同点の喜びよりも…」(カープ2020)

広島東洋カープ2-2読売ジャイアンツ

22回戦(カープ7勝12敗3分)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

本塁打

(C)菊池涼10号②

(G)-

 

打点

(C)菊池②

(G)丸①陽①

 

投手

※数字は自責点

(C)九里②-フランスア

(G)戸郷②-大竹

 

先発、九里は中盤に崩れて2失点も粘りの投球で9回を2失点で投げ抜く。

打線は8回で戸郷の前に散発5安打の拙攻で8回まで無得点。

最終回2死から菊池涼介の同点弾が飛び出すも以降は決めて無く引き分け。

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敗色濃厚の雰囲気の中で飛び出した菊池涼介の同点弾は2016年8月の四半世紀ぶりの優勝と3連覇への分岐点となった同カードで飛び出した自身の本塁打を彷彿させる大変劇的なものでありました。

一応、これで9回完投を果たした九里亜蓮の負けは消えただけでなく、森下暢仁と並んで新人王を有力候補である戸郷翔征の勝ちを消した形にもなり多くのファンが溜飲を下げたことでしょう。

しかし、そこに至るまでの打線は悲惨そのものでした。

相変わらずの怖さをまったく感じない3番目から5番目の打順の打者たちは併せて1安打という体たらく

29得点とそれまでの貧打が嘘のように大量得点で3連勝した先のドランゴンズ戦でも相手先発から奪った自責点は僅かに4でしたが、今日も苦手の戸郷相手にまったく歯が立ちませんでした。

また、上記の通り最終的には追いついて面目は保ったものの、今季、戸郷と対戦した試合全てでQSを達成される事となりました。

さらに言えば、疲れ切ったドラゴンズのそれとは対象的に質、量ともにリーグ随一のブルペンを誇る相手チームが、戸郷の一発逆転での新人王に望みをかけたかのようなやや無理がある続投をしなければあっさり完封負けを喫していた事は間違いないでしょう。

それだけでなく優勝がほぼ決まったシーズン後半で意図的にカープ戦で登板したなら新人王争いの経過は随分違ったものになったとすら思えます。

これだけ打てないとなると来季以降もいいカモにされるのは想像に難くありません。

 

何より1ヶ月以上もHQS以上を続ける力投を見せてキャリア最高ともいえる状態の九里亜蓮の二桁勝利への望みが絶たれた事は大変残念です。

願わくば、来週の最後の先発登板で勝利を挙げる事が出来たならば、その翌日の今季最終戦で5イニング目辺りだけ登板して無理やり二桁に乗せるなどの配慮が欲しいところですが…。

まあ、無神経なベンチやまったく頼りない打線では無理な話かもしれません。

 

確かに土壇場での同点は大変劇的で感動的ではありましたが…やはりその喜びより失われた結果の方にどうしても目がいってしまうのは仕方ない事。

それがシーズンで無様に敗れ去ったチームの消化試合というものです。