吹けよ風!打てよアレン!!

カープと趣味の日記

「孤高勇士嬢景清」(歌舞伎観劇記)

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令和元年11月某日

国立劇場

 

序 幕 鎌倉大倉御所の場

二幕目 南都東大寺大仏供養の場

三幕目 手越宿花菱屋の場

四幕目 日向嶋浜辺の場

             日向灘海上の場

 

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先週の青空が嘘のように雨が降りしきる週末。

久方ぶりに国立劇場を訪ねました。

国立劇場の公演記録を見返していつ以来かと調べてみたら2017年3月以来。

勿論、令和の御世に入ってからは初の国立劇場での歌舞伎観劇です。

いつもは歌舞伎座でも国立劇場でも天井桟敷の片隅で見ている私ですが、思い切って今日は一等席を取りました。

それだけ久しぶりの国立劇場での中村吉右衛門丈の舞台は楽しみでした。

開演まで少々時間があるうちに到着しましたが、早速チケットを発券しようと入場券売り場に行くとチケット発券機の仕様が変わっていました。

なんと今までのクレジットカードでの払い出しが出来なくなっているのです…。

後で調べたら今年の3月にリニューアルしたとの事。

偶然いつもは持ってこないQRコードを使って発券できましたが、番号やQRコードを入力するのが煩わしくてクレジットカードで発券していた私のようなズボラな人間は困惑してしまいました。

まあ、セキュリティ上で問題あるように思えましたから仕方ないのでしょうけれど…。

 

チケットも無事に発券出来て駐車場の方を見ると幾つか立て札が目に付きました。

「そういえばあの辺りの立て札は見たことないな」という事を思い出しました。

見ると平成24年3月に「熊谷陣屋」の熊谷信直を演じた故市川団十郎丈が植樹した「熊谷桜」とありました。

勿論、「一枝を折らば一指を伐るべし」なんて立て札はありません。

「熊谷陣屋」と言えば私が好きな演目の一つで、思えばこの公演が私の「熊谷陣屋」の初観劇でしたから大変感慨深いです。

と同時にこの公演にちなんでこんなイベントがあったのは5年経過して初めて知りました。

ちゃんと見てなかったんですね…。

 

その後も弁当を買ったりイヤホンガイドを借りたりしてフラフラしているうちに開演時間。

今回、観劇したのは「孤高勇士嬢景清」。

「大仏殿万代石楚」と「嬢景清八嶋日記」という悪七兵衛景清を主人公にした演目を組み合わせて松貫四こと中村吉右衛門丈が新たに再構成した演目です。

もっとも、「嬢景清八嶋日記」は「大仏殿万代石楚」を下敷きにして作られた演目だそうですから分割した話を新たに再構成したと考えて良いかもしれません。

主人公の悪七兵衛景清こと伊藤景清はこの舞台では2つの顔を見せます。

一つは二幕目の「南都東大寺大仏供養の場」に登場する荒々しく豪快な豪傑・景清。

もう一つは後半の「日向嶋浜辺の場」での自ら両目を潰して盲目となり復讐への執着心と娘への愛情に懊悩する人間・景清。

前者の景清は単身で源頼朝の元に乗り込み僧兵や三保谷を容易に蹴散らす超人的かつ不敵ではあります。

僧形からのぶっ返りに荒事めいた台詞回しとケレンに溢れたその姿はまさに巷間に語り継がれてきた英雄そのものです。

しかし、最後に小松内大臣重盛への忠義と頼朝への義理の板挟みにあい両目を潰すという不器用な形で折り合いをつけようとする姿は後者の景清の人間的な弱さに溢れた景清に通ずるものがありました。

頼朝から自身の復讐を果たさせる為に源氏の象徴である白旗を与えられそれを切り裂いた景清は史記の刺客列伝に登場する豫譲を彷彿させます。

豫譲は趙襄子の衣を切り裂いた後に死を選びましたが、景清は自身の目をくり抜いて復讐を捨てて生きるというより苦しい道を選んだという事なのでしょう。

一方で、四幕目の景清は盲目となり里人からの施しで何とか食いつなぐ弱々しい姿は哀れみを誘うばかり。

最初は拒んでいた娘を受け入れて、盲目になったその目で娘の顔を何とか見ようとする場面は、本当に切なくて思わず涙が出てきましたし、娘が自身の為に女郎屋へ身売りしたと聞いて半狂乱になる姿は「俊寛」の最後の場面を思い起こさせるような悲劇性を感じさせます。

しかし、最終的には苦界に身を落としてでも孝行しようとする自身の娘の為に生きる事を決意する人間的な強さを見せますから、これもまた前者とは違う意味での「孤高勇士」という事なのでしょう。

同一人物ながらも非常に落差の大きい二人の景清を演じ分ける吉右衛門丈の至芸は素晴らしいものがありました。

特に、盲目になった後の景清は戦後になってようやく人形浄瑠璃に近い造形が出来るようになったという大変な難役。

見えるのに見えない者を演じるという苦労は並大抵ではないでしょうが、まったく違和感がないのは見事としか言いようがありません。

 

ちなみにこの舞台を見てふと気づいたのが、復讐というテーマがあるにも関わらず登場人物が一人も死なないうえに、源頼朝畠山重忠はともかく、梶原景時や女郎の肝煎と言っただいたいの舞台では悪人として描かれがちな人物たちですら玉依姫や糸滝の境遇に涙を流すような善人揃いである事。

ともすれば話のメリハリを付けにくいとも思えるこの趣向ですが、後からじっくり思い出すと合点がいきます。

復讐を捨てた景清にしろ、許嫁の仲章を失った玉依姫にしろ、劇的な死を選ぶのではなく苦しみながらも生きる事を選ぶという姿が際立っている以上は安易に登場人物の死を描くのはかえって無粋に感じます。

また、周囲が善人だらけなのは、そんあ良き人たちに囲まれても尚、復讐への執着心を捨てられない景清という人間の悲劇を際立たせているかのように思えてきます。

勿論、上記はいずれも私の勝手な解釈。

しかし、勇者であり弱者であり父でもあるという様々な姿を見せた景清同様に、色んな角度で考える事が出来る舞台と言えるかもしれません。

そんな事をあれこれ考えながら劇場を後にして帰る雨の道すがらもまた楽しいものです。

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9/27(金)●「不屈の『エリア38』」(カープ2019+赤松引退に寄せて)

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広島東洋カープ1-4中日ドラゴンズ

25回戦(カープ15勝10敗)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 小笠原3勝1敗

セーブ投手 岡田3勝2敗13セーブ

敗戦投手 ジョンソン11勝8敗

 

本塁打

(C)-

(D)堂上12号②

 

打点

(C)-

(D)平田①木下拓①堂上②

 

投手

※数字は失点

(C)ジョンソン④-床田-菊池保-フランスア

(D)小笠原①-ロドリゲス-R・マルティネス-福-岡田

 

先発ジョンソンは中盤まで好投も7回に力尽き4失点で降板。

打線は再三の好機に暴投による1得点しか奪えず。

致命的な采配ミスが響いて今季最終戦を落とし自力での3位以上が消滅。

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勝たなければ自力での3位以上の可能性が消滅する大事な試合。

5回裏の無死1塁3塁の好機で打率1割台の石原慶幸クリス・ジョンソンを打席に立たせるという考えられないような采配ミスが全てをぶち壊しました。

これまでの142試合の努力を全てドブに投げ捨てるかのような愚行を犯した緒方孝市以下、チームの首脳陣への怒りは3日経った今でも収まりません。

 

 

こんな酷い試合の後に引退セレモニーを行う事になった赤松真人には正直、同情と申し訳ない気持ちしかありませんでしたが…。

そのスピーチは聞いていて感動しないものはいないと断言できるぐらいに爽やかさと優しさに満ちていて散々な試合をその時だけは忘れさせてくれる見事なものでした。

2005年に地元関西の阪神タイガースに入団したにも関わらず、2007年にはFA移籍した新井貴浩人的補償カープへの移籍。

彼の引退スピーチにもあった「プロ野球はきらびやかな世界だと思っていたけどそうではなかった」という旨の言葉通り、本人が望まない移籍がカープの選手としてのスタートでした。

しかし、FA制度による選手の度重なる移籍の度に絶望的な気持ちに苛まれ制度を呪い移籍した選手を恨む事しか出来なかった我々にとって人的補償でやってきた彼の移籍直後の働きはどれだけ希望を与えた事でしょうか。

プロ初&移籍後初の本塁打に続いて史上初の事例となったプロ入り1号2号が2試合連続先頭打者本塁打という快挙。

2010年シーズンに飛び出しカープファンはおろか、世界中の野球ファンを驚愕させたあのスーパーキャッチをはじめとする「エリア38」と称賛された驚くべき外野守備。

2016年の史上初のコリジョンルールによるサヨナラ安打を放ち、チームが25年ぶりの優勝へのきっかけになる12連勝への貢献。

セレモニーで上映されたこれらの記録以外でも、彼が移籍してきてからの11年で私個人でも思い出はつきません。

上記のプロ初&移籍後初の本塁打を東京ドームの狭い立ち見スペースで他のカープファンと押し合いへしあい観戦していた時に目撃出来た事は今でも忘れがたい思い出です。

2010年は赤松とダルビッシュ有の大ファンだった母にチケットをプレゼントして観戦しに行って貰った試合でダルビッシュ前田健太のお互い無失点での投げ合いに決着をつけるというあまりに出来すぎな母への最高のプレゼントとなった彼のサヨナラ打の方が上記のスーパーキャッチよりも個人的には印象に残っています。

また、2016年に幸運にもカープの25年ぶりの優勝の瞬間を東京ドームの3階席から見届ける機会がありましたが、最終回に自身を結果的には阪神から「追い出した原因」であった新井と共に守備につく彼の姿は本当に本当に感動的でした。

上記のようにFAという制度を呪い選手を恨む事しか出来なかった我々にとってあれがどれだけ象徴的な光景だったか!!

 

そんな喜びを見せてくれた2016年シーズンのオフに彼が病に冒されたと聞いた時には衝撃的でした。

確か、その日はファッションブランドのサマンサタバサとカープのコラボ店舗が何故か都内の表参道にオープンしたと聞いて冷やかしに行った帰りでしたがあまりの事態に呆然として全て吹き飛んでしまいました。

その後は、知られている通り、プロ野球選手としては前代未聞の胃の摘出手術に転移を経ての辛く長い抗がん剤治療。

2017年の2連覇時に甲子園に姿を見せた彼の痩せた体を見た時は優勝の喜びの一方でショックでもありました。

治療を経てからは2018年に2軍戦への復帰しましたが胃を摘出し、小学生程度の栄養摂取しか出来ない体でプロ野球選手として耐えられる肉体を維持するのは治療と同じぐらいに辛い事だったかと思います。

最大の目標であった1軍復帰が自身の引退試合となったのは本人と同じく私も残念ではあります。

しかし、最終的には背広姿ではなくユニフォーム姿でグランドに立ち、ファンに最後のプレーを見せてくれただけでも彼の不屈の闘志とあきらめない気持ちを見る事は出来ました。

 

上記の通り、ドラフト6位からFAでの人的補償での移籍、その後のスタメンを決して確約された訳ではないチームの起用方針に闘病生活と、彼の現役生活は決して華やかさに満ちたものではありませんでした。

しかし、それでも最後は「応援は力になる」とファンや周囲の人間に感謝を伝え、自身以上に病に苦しむ人達を激励する言葉を爽やかな笑顔と共に残せたその姿は尊敬に値するものなのは言うまでもありません。

同学年のカープファンとして彼を応援出来た事を私は誇りにしたいと思います。

 

今だ見せろ

果敢な姿を赤い星を捉え

そこで君が輝け

 

不屈のエリア38

赤松真人

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9/23(月)○「暗闇の中で光った星」(カープ2019+永川引退によせて)

広島東洋カープ4×-3中日ドラゴンズ

24回戦(カープ15勝9敗)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 ヘルウェグ1勝

敗戦投手 R・マルティネス1勝4敗8セーブ

 

本塁打

(C)-

(D)ビシエド18号②

 

打点

(C)長野②松山①會澤①

(D)福田①ビシエド

 

投手

※数字は失点

(C)永川-大瀬良①-菊池保-フランスア②-ヘルウェグ

(D)大野雄③-福-岡田-R・マルティネス①

 

引退登板の永川の後に登板した大瀬良は6回1/3を1失点。

打線は初回に長野の適時打で先制も以降は8回の2得点のみ。

最終回にフランスアが被弾し追いつかれた延長10回裏に會澤の適時打が飛び出し、球団記録のシーズン12回目のサヨナラ勝ちで連敗を止める。

カープは年間勝率5割以上が確定。

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今日の試合をもって引退する永川勝浩はなんと14年ぶりの先発マウンド。

この報を聞いた時にそもそも永川が先発を務めた事がある事を覚えているファンはどれぐらいいたでしょうか。

そもそも、最近カープを応援し始めたファンだと彼がセーブの球団記録を保持している事すら知らない人も少なくないかも知れません。

積み重ねた165セーブで最後にセーブを上げたのは5年前。

チームがリーグ3連覇を果たし、栄華を極める中で2018年こそは一時的にブルペンを支えたものの、2017年は1軍未登板など、決して輝いたとは言い難かった彼のキャリア中盤以降を考えるとそれも無理からぬ事かと思います。

そう考えると、やはり彼の17年間のプロ野球選手としての歩みを振り返ると、彼がもっとも輝いていたのは新球場移転後よりも、薄暗く鉄と汗の匂いが充満したあの陰鬱な旧市民球場時代での活躍でしょう。

優勝はおろかAクラスすら遠い彼方に消えていたあの「暗闇の時代」

大卒1年目の彼にいきなりクローザーの大役が任されていた時点で当時のカープブルペンがいかに悲惨でプロ野球チームの体を成していなかったかが伺われるというもの。

そんな中で新人最多の25セーブを挙げるという快挙を見せた彼の姿は当時、内容も結果も散々な試合ばかりを見せられて閑古鳥が鳴くガラガラの外野席でほとんど凍え死にそうになっていた私達にどれだけ勇気を与えてくれた事か。

 

一方で、彼ほど毀誉褒貶の激しい投手は球団史上でも稀かと思われます。

クローザーとしては壊滅的なWHIPに裏付けられた「永川劇場」という揶揄などその代表格でしょう。

例えば、今では球場の名物となっているピンチの際に投手に贈られる激励の拍手と歓声。

永川がクローザーを努めていた時代では、彼が1球目でボール球を投げただけで場内からため息と野次が飛び交うのが恒例でした。

実際、永川の長いキャリアを球場で眺めていた私も彼の印象に残った登板を上げろと言われると散々な場面をまずは思い浮かべてしまいます。

プロ2年目で先発した試合で5回持たずにノックアウトされた事…。

5点差を追いつかれて土壇場で勝ち越したのにその裏に彼があっさり打たれて逆転サヨナラ負けして怒ったファンがグランドに物を投げ込んで騒ぎになった事…。

500試合登板の試合において大量失点でノックアウトされてベンチに戻る途中で記念の花束を貰ってしまい場内から失笑を買った事…。

こんなろくでも無いことを最初に思い出す訳ですから、自分でも心底意地悪なファンだなと思えます。

しかし、逆に言えば抑えた場面以上に打たれた場面を思い出させるという事は、それだけ「抑えて当然」というプレッシャーを常に受け続けてきた17年間でもあったという事かもしれません。

一方で、2試合連続で逆転サヨナラ負けの喫した直後の登板で見事に1点差を守りきった2007年のドラゴンズ戦や、やはり6点差を大逆転されて敗れた翌日に苦しみながらもセーブを挙げた2009年のタイガース戦とポツポツと良い思い出も蘇ってもきます。

何より彼が凡庸な投手ならば165セーブや500試合以上の登板もあり得ない訳ですから、やはり総合的に見れば素晴らしい投手であったという事に疑いの余地はありません。

 

先の見えない旧市民球場末期の暗闇の中にあって歓声以上の批判も受けながらも光る星の如く新球場の時代へと繋いだ永川。

それは3連覇という偉業を成し遂げたチームを目にして「勝つことの難しさ」を兎角忘れがちな私達に対する貴重な「証言者」でもあると言えるかもしれません。

そんな彼が引退セレモニーでファンに残したのは「最高のファン」という言葉。

あれだけため息と野次と罵声を浴びせられながら、最後にこういう事が言えるというのはなんと素晴らしい事でしょう。

本当にありがとう。

「県北の星」永川勝浩よ。

9/21(土)●「夜の時代の予行演習」(カープ2019)

阪神タイガース4-2広島東洋カープ

25回戦(カープ12勝13敗)

阪神甲子園球場

 

勝利投手 西9勝8敗

敗戦投手 菊池保1勝3敗

セーブ投手 藤川4勝1敗13セーブ

 

本塁打

(C)菊池13号①

(T)北条5号②

 

打点

(C)菊池①石原①

(T)北条②

 

投手

※数字は失点

(C)ジョンソン②-菊池保②

(T)西②-藤川

 

先発、ジョンソンは5回まで無失点も6回に暴投で2失点を喫し降板。

打線は、初回に菊池の本塁打で先制し石原のスクイズで追加点も以降は沈黙。

8回に菊池保が失点し2試合連続逆転負けで4連敗を喫し同カード年間負け越しが決まる。

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「もはやこのチームにはまともに試合を遂行する力すら残っていない」

そう感じさせるには十分な試合でした。

改めて最後に残った目標であり最低限のノルマであった3位以上の確保は絶望的な状況となりました。

 

先発、クリス・ジョンソンは5回まで素晴らしい投球を見せながら1イニング2暴投で失点というあり得ない失態を最後の最後で見せて降板したのは残念です。

とはいえ、この左腕の孤軍奮闘がなければこんなチームは早い段階でBクラスが確定していた訳ですから責められるものでもありません。

むしろ、問題はその後の展開。

前回の今村猛にしろ、今日の菊池保則にしろ1流でもなければコンデションが万全でもないレベルの投手を同点の場で2イニングも投げさせなければならない事態。

もはやブルペンの層と質はプロ野球チームの体をなしていないとすら思えてきます。

何故なら、こうなると相手チームとしては取り敢えず序盤を凌いで終盤接戦に持ち込めば楽勝という事なのですから。

 

一方、打線は好投手で苦手な西勇輝が相手とはいえ序盤の2得点だけで仕事をした気になっているのはこれまた残念な事です。

所詮は、7点差も守れないような投手しかいない投手陣のチームにあって序盤から効果的に加点が出来ないのは致命的です。

 

こうして攻守で足の引っ張り合いに終止する醜い試合しか見せられなくなったカープ

これだけ全体的に低調だとこれは一時的な不振などではなく、来季以降も継続して続くのは容易に想像できます。

結局のところ、今日も含めた残り3試合はカープファンにとってそういう攻守共に見るべき場面がなく単純に相手に負ける為だけに試合を重ねていたかつての「夜の時代」の再来において、なおも我慢して応援していく為の予行演習に過ぎないとすら思えます。

まあ、試合やったのは昼間ですけれど…。

9/19(木)●「許しがたい夜」(カープ2019)

横浜DeNAベイスターズ11×-8広島東洋カープ

25回戦(カープ11勝13敗1分)

横浜スタジアム

 

勝利投手 三嶋5勝3敗

敗戦投手 今村3勝1敗1セーブ

 

本塁打

(C)鈴木28号①長野5号③會澤12号①

(De)ソト41号③梶谷5号④ソト42号③

 

打点

(C)會澤③メヒア①鈴木①長野③

(De)ソト⑥梶谷⑤

 

投手

※数字は失点

(C)床田⑤-九里②-ヘルウェグ-菊池保①-フランスア-今村③

(De)今永⑦-武藤-斎藤-国吉①-エスコバー-山崎-三嶋

 

先発、床田は5回まで無失点の投球も6回に一挙5失点で暗転しリリーフ陣も崩壊。

打線は鈴木、長野、會澤が併せて8打点の活躍も終盤は好機を逃す。

7点リードを守れず延長の末のサヨナラ負けで優勝の可能性が完全に消滅。

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優勝の可能性は3ヶ月以上前から事実上消滅していたも同然ですから優勝の可能性が完全無くなった事に関してはどうでもいいです。

というよりそんな事以前に、試合内容的にはもはや弁解の余地もない今季最低最悪の試合をやってしまった事が問題でしょう。

試合前半こそは今季まったく勝てなかった今永昇太相手に打線が意外にも7得点と先行し、先発の床田寛樹も5回終わって4安打無失点でプロ入り初の完封勝利も視野に入っていましたが…。

ここまで打線の無援護と相次ぐブルペンの救援失敗でQSの数の半分以下の勝ち星しか挙げられなかったこの左腕は、最後の最後でとんでもない「意趣返し」をしでかしてくれました。

 

床田の「意趣返し」以降の顛末はあまり書きたくないので省きますが…。

一体どこの世界に7点先制しておきながら最終的に3点差で負けるようなプロ野球チームが存在するのでしょうか?

しかもプレーオフ出場権がかかった落とせない大事な試合で。

雨天中止の予備日にも関わらず球場に馳せ参じた大勢のファンの前で。

 

こんな試合結果を見て綺麗事を吐くなんて気遣いは無用でしょう。

私自身も許せない気持ちしかありません。

 

「何とか上位の確保だけでも」とは思って見てきましたがもう今季のカープにはうんざりです。

こんな上位の資格もないようなチームは残り3試合でシーズンを終わって結構だとすら思えます。

9/16(月) ●「冬の予感」(カープ2019)

広島東洋カープ4-6東京ヤクルトスワローズ

25回戦(カープ13勝12敗)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 高橋4勝6敗

敗戦投手 大瀬良11勝9敗

セーブ投手 マクガフ6勝3敗11セーブ

 

本塁打

(C)メヒア7号①

(S)廣岡9号①村上34号①35号①中山5号②

 

打点

(C)松山②メヒア①磯村①

(S)廣岡①山田哲①村上②中山②

 

投手

※数字は失点

(C)大瀬良⑤-今村-中村恭①-ヘルウェグ-菊池保

(S)高橋③-梅野-ハフ-マクガフ①

 

先発大瀬良は3本塁打を浴びる乱調で6回5失点で試合を作れず。

打線は初回に先制も以降は中盤まで沈黙し反撃も及ばず。

序盤から圧倒される展開に終始惨敗でカード2連敗。

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相手チームは既に4位以下が確定し紛うことなき消化試合。

一方で、こちらは優勝を逃し2位すら事実上絶望的な状況にあるものの3位に確保については有利な位置にいる状況。

しかし、試合が始まってみればどちらが3位を狙える立場のチームか分からないくらいにモチベーションに差が見られました。

必勝を託され先発した大瀬良大地はチームの勝ち頭らしからぬ酷い投球に終止した挙げ句、試合をぶち壊しました。

また、打線も相変わらずの事実上試合が決まった頃に帳尻合わせの如く追いつかない程度の反撃をするだけの体たらくで、更にいえばベンチも明日試合がない状況を考えればリリーフを潤沢に使える状況であるにも関わらず無意味に大瀬良を引っ張って試合を手放しました。

まだ日本一の可能性は残っているにも関わらず、はっきり言ってチーム全体から目的意識すら感じられない消化試合以下の内容と結果としか言いようがありません。

これでは、2位以上は当然のこと3位以上の確保すら危ういでしょうし、また仮に3位を死守したとしてもそこから先を望むのも難しいようにすら思えます。

球史に残る3連覇という偉業を成し遂げた燃え尽き症候群がここに来てやってきたかのようで、選手たちからは「早くシーズンを終えたい」という気持ちしか伝わってきません。

残り4試合となったレギュラーシーズンですが最後の最後で愛するチームが、こんな腑抜けの集団と化したのは本当に悲しい。

 

残念ですが、私達に待っているのは「長い冬」だとすら思えます。

9/15(日)●「ブラッド・エルドレッド記念日」(カープ2019)

広島東洋カープ7-8東京ヤクルトスワローズ

24回戦(カープ13勝11敗)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 田川1勝1敗

敗戦投手 塹江1敗

セーブ投手 マクガフ6勝3敗10セーブ

 

本塁打

(C)磯村4号②

(S)雄平12号②廣岡7号②8号③

 

打点

(C)坂倉①松山②磯村③堂林①

(S)雄平②廣岡⑤バレンティン

 

投手

※数字は失点

(C)塹江④-中田①-レグナルト③-ケムナ-遠藤

(S)田川①-ハフ-石山④-梅野-マクガフ②

 

先発、塹江は2回以降打ち込まれ3回1/3を4失点でノックアウト。

打線は6回まで1失点に抑えられ磯村の3打点の活躍で中盤以降に反撃も及ばず。

序盤の大量失点が響いて惨敗し、カード初戦を落とす。

7回にケムナがプロ初登板を記録。

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この日は試合終了後に今季限りの現役引退の表明とカープ球団の駐米スカウト就任を発表したブラッド・エルドレッドの引退セレモニーが開かれるとあって多くのファンの注目が集まる試合となりました。

試合前には鈴木誠也による場内アナウンスというおまけ付きで本人が打撃練習に登場したり、5回終了時にはもはや彼のシンボルマークにすらなった「ママチャリ」に乗って家族と共に登場するなど今季最高の入場者数となったマツダスタジアムは大いに盛り上がりました。

昨年の退団直後から私も含めて多くのファンが彼に感謝を伝える機会を欲していただけにそれが最高の形で実現した事は本当に喜ばしい事。

 

しかし、「セレモニーの前座」ことカープの試合は散々なもの。

今季初先発となった塹江敦哉は初回こそは良い立ち上がりだったものの2回から早々に馬脚を露わして4回途中でノックアウト。

3年前の優勝決定の試合の翌日に1死も取れずに天文学的な防御率を残したあの試合以来の先発でしたが、内容結果共に何の進歩も成果も感じられず逆に今季終了後の契約については一考を要する事となっただけでした。

また、打線についても最終回に一時8点のリードで1点差まで詰め寄ったものの、中盤までの酷い攻撃を考えるとたんなる帳尻合わせ程度にしか思えません。

そもそも、上記のとおり試合を作ることすら困難な実績の皆無な投手が先発する試合でこんな試合運びをすれば敗れるのは必然とすら言えます。

 

カープというチームはこういう特別な雰囲気の試合をえてして散々なものにするのは良くある事ですが、今回もそうなってしまったのは大変残念。

しかし、その後のエルドレッドのセレモニーの感動は揺らぐことはありません。

公私に渡って支えてくれた球団通訳への感謝に始まり、両親、家族、球団、スタッフ、チームメイト、ファンへ飾ることのない素直な言葉で真っ直ぐに感謝の気持ちを伝えれるのはまさに生真面目な彼だからこそ。

成績だけでいえば入団して1年ほどで帰国して不思議ではない決して順風満帆とは言い難かった来日当初から、投手に優先的に外国人枠を割り当てる必要があったチーム事情故に必ずしも常時1軍にいられなかった時期も少なくはなかった彼のカープでの7年。

舞台が超満員の球場でも由宇のような山奥でも決して変わらなかった野球に対する真摯で真面目な姿勢は本当に称賛以外の言葉が出てきません。

「広島を愛し広島に愛された男」の称号は決して数字だけでは無いことは私がわざわざここで書くまでもなくカープファン全ての共通項です。

自身がどれだけ打っても勝ちに直結する事が少なかった暗中模索の時代から3連覇の栄光までチームの中核にあって支えてくれた男の最後の輝き。

私も多くのファンと同じく決して忘れはしないでしょう。

 

ありがとうビッグカントリー

ありがとうブラッド・エルドレッド