吹けよ風!打てよアレン!!

カープと趣味の日記

5/28(火) ○「『雨に濡れて舞う蝶』と…」(カープ2019)

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東京ヤクルトスワローズ7-8広島東洋カープ

9回戦(カープ4勝5敗)

明治神宮野球場

 

勝利投手 レグナルト3勝

敗戦投手 原2勝5敗

セーブ投手 中崎2勝5敗7セーブ

 

本塁打

(C)會澤5号①會澤6号①

(S)山田哲12号①村上13号②

 

打点

(C)會澤②鈴木①西川②田中広②バティスタ

(S)山田哲②村上②青木②中村①

 

投手

※数字は失点

(C)野村⑥-九里-レグナルト-一岡-フランスア①-中崎

(S)原⑦-久保-五十嵐-ハフ-近藤-マクガフ①-梅野

 

打線は2回に會澤の本塁打で追いつくと、3回4回に長短打で6得点を挙げる。

先発野村は大量援護も3回1/3 6失点でKOもレグナルトが2回無失点の好投。

中盤以降に追い上げを受けるも會澤の2本目の本塁打と継投で凌いでカード初戦を制す。

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中崎翔太が「例のごとく」ピンチを招いて9回裏一打同点という場面。

3塁側の内野席から外野レフトと内野の間辺りにどこからか真っ白い蝶が迷い込んできたのが見えました。

降りしきる雨に濡れて何度も地面に叩きつけられながらも舞おうとする蝶。

マウンドでの息が詰まるような場面も忘れて思わず見とれてしまいました。

まるで、大型連敗中という苦境に抗う相手チームの勇姿のようで…。

 

と妙に上から目線の嫌らしい文章で表現するまでもないですが、やはりたった5チームしかいない対戦相手。

いくら調子が最悪の状態でも簡単に勝つという事はありえないと改めて思い知らされます。

 

というより、むしろどちらが大型連敗中なのかよく分からない試合でした。

先発がさほど失点していない序盤にまとまった援護点を獲得するというミッションは今日も成功するという理想的な展開。

しかし、それは野村祐輔という一人の匹夫の無様な投球でめちゃくちゃにされてしまいました。

確かに村上宗隆の10代の選手とは思えない見事な一撃もありましたが、それ以前に逃げ回った挙げ句真ん中に投げて痛打を浴びるまるでプロ初登板の投手のようなおっかなびっくりの酷い投球にはうんざりさせられます。

本当に彼に白星が渡らなくて心から良かったと思えるぐらいです。

一応、主戦クラスのベテランが先発して火曜日からこれほどの消耗戦になった事は勿論、いたずらに試合を混乱させて観客を雨ざらしにして球場に「監禁」した罪は重いものがあります。

中盤以降は再三の好機を逃したうえに辛うじて會澤翼の見事な一発で貴重な追加点をあげるのが精一杯だった打線ですが、やはり序盤にあれだけ固め打ちしたにも関わらずこういう展開に持ち込まれると打てなくなるのは当然でしょう。

それもこれも全て一人の匹夫の成した事です。

はっきり言ってしばらくは彼の投球は球場では見たくありません。

 

試合が終わった後、雨が小康状態になったグランドに蝶の姿はありませんでした。

どこかへ舞い去ったのか、力尽きたのか…。

 

代わりにそそくさと内野スタンドに中崎翔太が近づいてきてボールを投げ入れて去っていきました。

調子の極端に悪いチームに対して不必要な「優しさ」を見せながらも、最後は冷酷に勝利を奪い取った今日の試合の象徴のような男だなと思えました。

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5/26(日) ○「確率的には…。」(カープ2019)

広島東洋カープ4-5読売ジャイアンツ

11回戦(カープ6勝4敗1分)

東京ドーム

 

勝利投手 澤村1勝1敗1セーブ

敗戦投手 フランスア4勝2敗

セーブ投手 中川1勝3セーブ

 

本塁打

(C)-

(G)岡本9号③ゲレーロ8号①

 

打点

(C)西川①鈴木①長野②

(G)岡本③ゲレーロ①重信①

 

投手

※数字は失点

(C) アドゥワ④-中村恭-菊池保-フランスア

(G)山口①-アダメス③-戸根-田原-澤村-中川

 

先発、アドゥワは初回に3ラン、4回にもソロを浴びて5回4失点。

打線は初回に先制も以降は山口を攻略出来ず6回まで1得点のみ。

7回に長野の適時打で同点に追いつくも8回にフランスアが打たれ接戦を落とし球団タイ記録の12連勝はならず。

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移籍以来のあまりの活躍の無さに自分の事を「スパイ」と呼んで自嘲した事がメディアで報じられていた長野久義が古巣相手に同点打を決まるという大変劇的な場面や、その他際どい判定もいくつかあったようですが最終的には僅差で敗れました。

上位チームとの対戦で終盤での同点という困難なミッションをこなしたうえに、直後に菊池保則を投入するという意図不明な起用があったにも関わらずそれも乗り切りましたが、最後は満を持して出したヘロニモ・フランスアが打たれてしまうというのは何とも皮肉な結末。

連勝を12も伸ばすという行為の難しさを感じると共に、先発が試合を作って打線が先発が投げている間に援護を重ねる事が出来ず、逆にそれを相手に許した展開になった場合の苦しさが改めて感じます。

先発のアデゥワ誠は初回こそ痛恨の被弾を喫して試合を作ることが出来ませんでしたが、与四球が1という数字からも分かる通りコースを狙いすぎて自滅という形ではなかったのでさほど落胆する事はないでしょう。

この球場自体が彼のような打たせて取る投手には不利に働く典型的な「ヒッターズパーク」なのですし。

次回以降の修正に期待しましょう。

 

一方、打線はまったく打ててない訳ではないものの、あと1、2本出れば一気に試合を終わらせられるという場面での足踏みが若干見えたようです。

やはり先発がそれなりの投球を見せている時に打ち、中盤以降はさっさと試合を終わらせるような追加点を挙げるという昨日のような展開をどれだけ多く積み重ねられるかという事でシーズンの結果は決まってしまうかと思います。

勿論、「そんな事が簡単に出来れば世話はない」という考えもあるかもしれません。

少なくとも今日のような試合展開をひっくり返す事を期待するよりかはいくらか確率的には達成しやすいかは容易でしょう。

とにかくここ10年で最悪とも言える開幕を乗り越えてコツコツ積み重ねれば上を目指せる位置まで戻れました。

あとはそれをどう活かすか期待したいものです。

5/25(土) ○「最高の助っ人に新たな勲章」(カープ2019)

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読売ジャイアンツ5-7広島東洋カープ

10回戦(カープ6勝3敗1分)

東京ドーム

 

勝利投手 ジョンソン4勝3敗

敗戦投手 メルセデス4勝3敗

セーブ投手 中崎2勝2敗6セーブ

 

本塁打

(C)菊池4号①バティスタ12号①

(G)ゲレーロ7号①山本1号①坂本16号②

 

打点

(C)菊池②ジョンソン①野間①バティスタ②西川①

(G)ゲレーロ①山本①中島①坂本②

 

投手

※数字は失点

(C)ジョンソン④-レグナルト①-中崎

(G)メルセデス⑤-田口①-戸根①-中川

 

先発、ジョンソンは7回まで1失点の好投も8回に捕まり4失点。

打線は、安部の併殺打の間に先制し菊池の本塁打、ジョンソン、野間の適時打などで中盤以降も追加点。

8回以降に猛反撃に合うも田中の好守などで凌いで3年ぶりの11連勝でカード勝ち越しを決める。

ジョンソンは来日50勝利を達成。

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今季、比較的安定した投球を見せる好投手であるクリストファー・メルセデスを相手に打線は決定的な一打を欠きながらも追加点を挙げ続け成功。

クリス・ジョンソンのバスターによる適時打や、得点圏で極端に弱い野間峻祥のバントヒットなどではない正真正銘の適時打など思わぬ形の得点が多かった印象です。

また、先発のクリス・ジョンソンも安定した投球を続けて7回まで無四球1失点と好投。

点差も6点差と開いて、あとはつつがなく試合を終えるだけだったのですが…ジョンソンが続投した8回以降に思わぬ落とし穴が待っていました。

8回2死からの亀井義行の大飛球を見た瞬間、衝撃的な大逆転負けを覚悟したのは恐らく私だけではないでしょう。

9回も9回で田中広輔の間一髪とも言える好捕がなければ非常に苦しい展開になっていたのは想像に難くありません。

というより、球場で見ていた私自身この2イニングでかなり精神を消耗した気分で試合終了の瞬間は喜びよりも疲労感が勝ってしばらく座席でうずくまってしまいました。

人によってはジョンソンを8回まで続投させた事や、8回であるにも関わらずヘロニモ・フランスアではなくカイル・レグナルトを投入した事に疑問を呈する方もいるかもしれません。

しかしながら、それは単なる結果論でしょう。

ジョンソンは球数90球程度で下位打線相手だったことや、昨日の一岡竜司の危険球退場の影響でフランスアがイニング跨ぎをしていた状況を考えると、まったくもって妥当な判断としか言いようがありません。

継投という戦術の難しさを改めて感じる次第です。

内容的に見れば大変厳しい薄氷の勝利となってしまいましたが、それでも勝てたのは投手野手ともに最後のギリギリの部分では良く耐えられたという事のように見えます。

10連勝というある程度大胆に振る舞える強みをしっかりと最後は活かしたという事なのかもしれません。

 

ところで、ジョンソンはこれで来日50勝に到達。

来日初登板で史上初の「準完全試合」での来日初勝利に、史上2人目の外国人投手の沢村賞受賞と数々の栄光に彩られた球団最強の助っ人左腕がまた勲章を手にしました。

最近のマウンドでは感情を露わにして自ら崩れる場面も増えてはいますが、元来は今日のヒーローインタビューでもバッテリーを組んでいる石原慶幸を「この50勝は石原の50勝」と讃えるような好人物。

更には初めてやってきた広島という異国の地方都市を知ろうと地元の人間でもあまり行かないスポットにも家族で訪問して自身のチームやそれを育んだ土地への興味とリスペクトも忘れない思慮深い人物でもあります。

思えば、私も彼のあの衝撃的な来日初登板の試合も現地観戦していました。

この最高の助っ人左腕であり最高のアスリートでもあるこのジョンソンという投手の節目に再び立ち会えた事。

それを私は改めて生涯誇りにしたいと思います。

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5/24(金) ○「理想的な展開が崩れても…」(カープ2019)

読売ジャイアンツ3-8広島東洋カープ

9回戦(カープ5勝3敗1分)

東京ドーム

 

勝利投手 床田5勝2敗

敗戦投手 ヤングマン3勝1敗

 

本塁打

(C)鈴木14号①バティスタ10号①バティスタ11号①西川2号①

(G)坂本勇14号①炭谷2号①坂本勇14号①

 

打点

(C)鈴木①バティスタ②會澤①野間①西川①

(G)坂本勇②炭谷①

 

投手

※数字は失点

(C)床田③-レグナルト-一岡-九里-フランスア-中崎

(G)ヤングマン④-田原-戸根①-桜井-アダメス②-高木①

 

先発、床田は5回3失点で降板もリリーフ陣が一岡の危険球退場を乗り切り無得点。

打線は、鈴木誠也バティスタのホームランで逆転すると終盤にも一発攻勢で8得点。

中盤のピンチを乗り切って突き放し2年ぶりの10連勝を飾る。

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一岡竜司の危険球退場により今季初の警告試合となった事を含めて、中盤までは非常にアップダウンの激しい試合でしたが最終的には5点差をつけて勝利する事が出来ました。

前回のカードではやや勢いに陰りが見られた印象があった打線ですが、今日を見る限りではそれは杞憂に終わったようです。

ここ最近は勢いを失いつつある床田寛樹の投球がいまいちだった序盤はそれを守り立てるように逆転に追加点と纏まった点差を与える事に成功。

また、床田がマウンドを早く降りてしまった以降も得点を重ね続けた事で度々相手に傾きかけた流れを容易に渡すこと無く9回まで辿り着き、前回の読売戦ではたいした援護も出来ず幼稚なエラーの積み重ねで床田の勝ち星を消した借りを返した形です。

看板直撃弾を含む驚愕の長打を見せたサビエル・バティスタを始め3番から5番だけで4本のホームランを放った事が勿論大きいですが、一番のポイントは7回表の野間峻祥の2死3塁からのセーフティスクイズかと思えます。

野間といえば、これまで極端に低い得点圏打率とやはり低めの出塁率も相まって、得点圏では途端に何も出来なくなる選手に過ぎないという印象を持つファンは少なくなかったと思えますが、今回は遮二無二得点を取りに行く姿勢を見せた事が良い結果に繋がりました。

この得点が無ければ、結果的にたった2球で抑えたとはいえ、一岡退場後の九里亜蓮ヘロニモ・フランスアの投球にどう影響が出ていたか分かったものではなかったのですから尚更です。

決して勝負強いとは言い難い選手が打てないなら打てないなりになんとかする。

打線の繋がりとは決して派手な長打だけでもたらされるものではないという恒例だったかと思います。

それこそが、このもはや現代野球に耐えられないほどの狭隘で欠陥まみれのグランドを持つ東京ドームでの試合らしいホームランが無闇に飛び交い先発が思うように試合が作れないまま理想的な展開が崩れた試合を無理やり引き戻せた理由なのでしょう。

5/22(水) ○「崩れない強さの影で」(カープ2019)

広島東洋カープ3-1中日ドラゴンズ

11回戦(カープ8勝3敗)

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島

 

勝利投手 大瀬良4勝2敗

敗戦投手 ロメロ3勝3敗

 

本塁打

(C)會澤4号

(D)-

 

打点

(C)會澤②

(D)高橋①

 

投手

※数字は失点

(C)大瀬良①

(D)ロメロ③-田島-谷元-福

 

先発、大瀬良は9回を無四球8奪三振1失点の好投。

打線は相手チームのエラーで先制も以降は會澤の2ランによる得点のみ。

大瀬良が自己最多タイとなる今季3度目の完投勝利を挙げチームも今季初の9連勝。

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先月、負け越しが「8」にまで膨れ上がったチームが遂に勝ち越し「8」と数字が完全に逆転する事となりました。

おまけに読売が敗れた為に、2位とのゲーム差も1.5と広がるという驚きの事態。

こうも鮮やかに逆転出来れば地元の新聞社も自身の公共性を投げ打って、「4月に文句言っていた人は今何を思う」などと悪趣味な縦読みを記事に紛れ込ませるぐらいに浮かれる気持ちになってしまったのも分かる気もするというものです。

 

先発の大瀬良大地は、監督が不慮の出来事で急遽欠場(監督代行は高信二)する事となった事態を感じさせなかのような、初回から落ち着いた投球を披露。

6回1死までパーフェクトに抑えながらも、7回に失点したのは残念でしたがそれでも最終的には無四球4安打8奪三振ながら僅か91球での完投勝利は素晴らしい限り。

4安打8奪三振で91球という事はほとんどボール球を放ることなくストライクゾーンで勝負出来る力強いボールが投げられていたという事です。

また、前回の登板で生来の立ち上がりの悪さが出て4失点と精彩をやや欠いただけに、これだけ上手く立ち直った形で躓きながらも引きずる事なく修正する強さと上手さが出てきたと言えるでしょう。

容易に崩れない強さを手にして、既に自己記録であるシーズンでの3完投に開幕から2ヶ月で並んだこの右腕の次回登板が待ち遠しいとすら思えます。

 

そんな大瀬良を少なからず守備では支えたものの打撃においてはやや勢いに陰りが見られ始めたのが野手陣。

9安打とまったく打てていない訳ではないですが、得点は相手のエラーと會澤翼本塁打による3得点のみで適時打はなし。

特に6回は鈴木誠也が走塁ミスを見せるなど全体的に見れば拙攻のきらいが多々見られました。

昨日先発した大野雄大や、今日対戦したエニー・ロメロは確かに優秀な投手ではありますから簡単に得点は出来ないのは仕方ないことです。

しかし、そんな彼らがマウンドに降りた後も、粛々と試合を進めてしまい一気に試合を決められなかった姿には不安を感じます。

特に、野間峻祥と共に打撃ではまったく試合に参加していないも同然だった田中広輔

2試合連続安打中とはいえ打順が7番に繰り上がったのは不可解以外の何物でもなく、9番に座った大瀬良の方がよっぽど良い打棒を見せてくれていました。

そもそも、このペースでフルイニング出場に拘泥するようでは目出度く「今世紀初の規定打席の打率1割台でシーズンを終えた選手」が誕生してしまうのですが、本人もベンチもフロントも本当にそれで良いと思っているのでしょうか?

甚だ疑問です。

 

そういう訳ですから、今日は大瀬良の素晴らしい活躍が主役である一方で、影でこのような潜在的な不安を幾つか覗かせた試合でもあったように思えます。

従って、それを指摘するのならまだしもファンと一緒になって浮かれた挙げ句に悪趣味な趣向を記事に紛れ込ませた某新聞社が嘲笑を混じりに投げつけた質問に対して、「4月に文句を言っていた人」の一人としてはこう答えたいと思います。

 

「次の連敗はどこで始まってしまうのかいつも不安に思っています」と。

5/21(火) ○「理屈では片付かない事実」(カープ2019)

広島東洋カープ3-2中日ドラゴンズ

10回戦(カープ7勝3敗)

三次きんさいスタジアム

 

勝利投手 3勝2敗

敗戦投手 大野雄3勝3敗

セーブ投手 中崎2勝2敗5セーブ

 

本塁打

(C)-

(D)福田7号①

 

打点

(C)菊池②松山①

(D)福田①高橋①

 

投手

※数字は失点

(C)野村-フランスア-中崎②

(D)大野雄②-岡田①-小熊

 

先発、野村は苦しい立ち上がりを凌ぐと7回3安打無失点の好投。

打線は5回に菊池の適時打で2点先制も以降は繋がりに欠け9回押し出しによる1得点のみ。

最終回に中崎が2失点を喫するも辛くも凌いで今季2度目の8連勝。

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最後の最後で中崎翔太がやらかして全ての印象を持っていってしまった感もしますが、何はともあれ今季2度目の8連勝で単独首位浮上となりました。

開幕以降全ての対戦カードで負け越しを続け、4月の半ばまでに一時は4勝12敗という惨憺たる戦績で「ここ10年で最悪」とも言える状態だったチームがここまで上がるとは想像すらできませんでした。

と同時に思い出すのは高校生ぐらいの今以上に狂信的にカープを応援していた頃の自分。

既に優勝からは遠ざかり、急速に凋落が進みつつあったカープを前にして、あの頃の私は負け越しが10近くになっても「今日から15連勝ぐらいすれば何とかなるさ」と楽観的な事をうそぶいてはクラスメイトから失笑をかっていたものでしたが…。

分別を知って優勝を味わっていい大人になった頃になって実際にあの頃自分が言っていたような事態が目の前で置きてしまった形です。

ですが、やはり感動や郷愁よりも困惑がやはり勝りますね…。

 

前回の8連勝が先発陣の奮闘によるところが大きかったのに比べて今回の8連勝は先発陣がやや勢いに陰りが見えた一方で、打線の力によるところが大きいような印象をもちます。

その要因の一人と言えるのが8連勝をチームが飾って以降に、試合を作る事すらままならず、衰えを露呈し先発陣の足を引っ張り続けた野村祐輔

今日に試合に関しても彼や彼のファンには申し訳ないですが、連勝を止める先発は恐らくは野村だろうと私は予想していました。

しかし、今日の野村は序盤こそは苦しんだものの終わってみれば3回以降はパーフェクトで「定時」と呼ばれる6回すら飛び越える好投でした。

打線の援護に恵まれないにも関わらず、彼が久しぶりの「残業」を行う事が出来たのは、無四球と奪三振「1」という数字を見れば分かる打たせて取るらしい投球が出来ていた事に他なりません。

最近の不安定な投球を見ている限り、ここでまた息を吹き返すかは分かりませんが、次回も何とか「定時」ぐらいは守って欲しいものです。

 

一方、そんな野村の好投を台無しにしかけたのが大野雄大の前に先制点を取るのが精一杯だった打線、そして最後に観客の帰りを阻むかのような破滅的な投球を見せた中崎。

特に中崎は、今季も1.44と複数年活躍しているクローザーとしては信じがたい数字を残すWHIPに加えて5.94という微妙極まりない奪三振率もあいまって、「セイバーメトリクス的な考えを世界で一番侮辱している野球選手」と改めて呼んで良いでしょう。

もっとも、彼の投球に内容を求めるのは無意味な事というのは4年前から分かっている事でしょう。

このチームがうっかり首位まで上り詰めてしまった事と同様に彼のようなクローザーの存在もまた理屈では片付かない事実という事なのです

ですから、文句言いながらでも彼が投げ終わった後に最終的にチームが勝っている事を我々は信じて祈るしかありません。

胃薬でも片手に持って。

5/19(日) ○「改元挟んだ復讐劇」(カープ2019)

阪神タイガース1-5広島東洋カープ

9回戦(カープ5勝4敗)

阪神甲子園球場

 

勝利投手 アドゥワ2勝1敗

敗戦投手 秋山2勝2敗

 

本塁打

(C)-

(T)-

 

打点

(C)鈴木②菊池②バティスタ

(T)中谷①

 

投手

※数字は失点

(C)アドゥワ-一岡-菊池保①

(T)秋山⑤-谷川-島本-浜地

 

先発、アドゥワは7回無失点の好投で試合を作る。

打線は、初回に鈴木誠也の適時打で先制すると序盤に打線が繋がり5得点。

アドゥワの要所を締める投球に打線が応えて7連勝。

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唐突ですが、この試合が始まる直前に東京ドーム内にある野球体育博物館というところにいました。

その日はちょうどMr.Childrenのライブがドームで開催されていたそうでプロ野球開催時を凌ぐくらいの人出だったのですが、博物館は当然の如く閑古鳥。

NPBという組織の金儲けの下手くそぶりを垣間見るような光景ですが、まあそれは置いておくとして…展示品の中に令和元年5月1日に開催されたプロ野球6試合のウイニングボールというものが勝利した投手のサイン入りで飾ってありました。

ご存知のとおり、そこには我らがカープの選手がサインしたボールは存在しません。

はっきり言って平成最後と令和最後の試合が散々だった我々にとって嫌味ったらしい不快な展示でしかないのですが…そんな代物を私が見ていた数分後に始まった試合でそのうちの「平成最後の敗戦投手」であったアドゥワ誠が見事な復讐劇を果たしてくれました。

対戦相手がタイガースで場所も甲子園球場というのも勿論ですが、相手先発ですら前回と同じく秋山拓巳という試合でしたから、そこでこのような形での勝利は何とも爽快です。

そのアドゥワは、初回から低めにボールを集めて凡打を誘う投球がハマって7回を4安打無失点で抑える好投で、何より驚くべきなのは奪三振がなんと「0」という内容。

いわゆる「打たせて取る」なんて言葉は空振りを取れるようなボールがない投手の言い訳に見えてしまう側面もある訳ですが、ここまで極端な数字で出ると逆に圧巻です。

丁寧に投げる一方でしっかりとストライクゾーンで勝負出来るボールが投げられているという事なのかと思います。

 

とはいえ、あの投球スタイルでは僅差の展開だとふとしたきっかけで崩れてしまう可能性が高いと思えてしまうのも確かです。

その点、打線はプロ入り7年で僅か7本しか安打を放っていない上本崇司をスタメンに据えるという相手を侮辱したような選手起用や、そのアドゥワが2打席連続で犠打を失敗するという事態があったにも関わらず序盤から纏まった援護点でアドゥワを落ち着かせました。

得点はいずれもこのチームで得点圏打率上位となる菊池涼介、サビエル・バティスタ鈴木誠也の上位打線。

バティスタが3番に定着した事で、開幕以降で打線を支えてきた菊池と鈴木が分断されなくなった事の効果が最大限に活かせた内容と結果かと思えます。

 

これであとはバティスタ以上に得点圏で落ち着きのない西川龍馬を現状は据えている5番が何とかなれば良いのですが…。

 

それにしても今週はこれで5戦全勝かつ、連勝自体も「7」。

しかも、大瀬良大地や床田寛樹という4月にチームを引っ張ってきてくれた先発投手が軒並み調子を落とした状況でこのような結果が得られたのは素晴らしい事です。

個の力に極端に依存しない戦い方が出来ているのかもしれません。