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カープと趣味の日記

未知の世界の片隅に(カープ2020年シーズン展望)

3ヶ月近くに渡る長きに渡った延期を得ていよいよ明日、我が広島カープの2020年シーズンが幕を明けます。

カープにとっては、4連覇はおろかプレーオフすら逃した昨年の雪辱を、佐々岡真司新監督を招聘したうえで果たすシーズンとなる…筈でした。

というのも今季に関しては現在のカープ…というよりプロスポーツ全体が置かれた厳しい状況を考えると順位などは二の次になってしまったからです。

この困難な状況を何とか切り抜けて開幕した末に待ち受けるのはプロ野球の歴史上初の無観客試合での開幕に加えて、延期分を取り戻すために加えた過密かつ、感染防止の観点からチームの移動を極力減らす為の東西で交互に集中開催する歪な日程。

特に後者に関してカープは完全に割を食った結果となり実に4節12試合までビジターで試合を行う長期ロードとなりました。

更に開幕節に予備日を設けた影響で雨天中止があった場合はこれに加えて開幕から9連戦となる可能性すらあります。

感染防止とシーズンの消化を最優先する必要がある以上はこの措置は当然かつ適切な判断ではありますが、レギュレーション上での公平性は担保出来ない状況になった影響はやはり大きいでしょう。

また、無事に開幕直後を切り抜けたといえども、11月のシーズン終了まで2連戦が一切存在しない過密日程ですから延長戦の短縮や選手登録枠の拡大などがあっても故障者の続出は避けられません。

 

更に重たくのしかかってくるのが選手やスタッフのコロナウイルス感染への恐怖。

幸いにもシーズン開幕を前にしたウイルス感染の有無を調べるPCR検査ではカープ含め全球団の選手・スタッフは陰性という結果が出たものの、長いシーズンで陽性者が出る可能性は否定できません。

また、練習試合期間中に無症状だったにも関わらず読売の選手の数人から陽性反応が出たように、前日の試合で大活躍した好調な選手がいきなり故障でもないのに長期欠場するという事態も起こりえます。

こういうとにかくシーズンを無事に完遂する事を目的とした事態にあっては、例年通りシーズン展望を考えることに無意味さと虚しさを感じます。

とはいえ、やはり公式な試合は試合でありシーズンはシーズンである以上は、あえてそれらの前提を無視して考えずにはいらないのもまた確かでもあります。

 

前置きが長くなりましたが、2020年の開幕メンバーからカープのシーズンを考えてみたいと思います。

 

 

2020年開幕戦に臨む広島東洋カープのメンバー

・投手

14 大瀬良 大地

16 今村 猛

18 森下 暢仁

21 中崎 翔太2

23 薮田 和樹

28 床田 寛樹

36 塹江 敦哉

39 菊池 保則

46 高橋 樹也

70 テイラー・スコット

97 ヘロニモ・フランスア

 

・投手

27 會澤 翼

31 石原 慶幸

61 坂倉 将吾

 

内野手

 0 上本 崇司

 2 田中 広輔

 4 小窪 哲也

 6 安部 友裕

 7 堂林 翔太

33 菊池 涼介

35 三好 匠

63 西川 龍馬

96 A.メヒア

 

・外野手

 1 鈴木 誠也

 5 長野 久義

10 J.ピレラ

37 野間 峻祥

50 高橋 大樹

 

まずは投手陣。

先発に関しては、上記のメンバーに加えて2節目からの先発が予想されるクリス・ジョンソン、九里亜蓮、遠藤淳志が名を連ねる事になるでしょう。

2年連続で開幕投手の大役を務める事になる大瀬良大地とクリス・ジョンソンに加えて床田寛樹、九里亜蓮が、比較的練習試合でも安定感を見せていたはいました。

一方で、練習試合では2試合連続で滅多打ちにあい、調整が失敗に終わったルーキー森下暢仁に先発の機会自体がなく少し長めのイニングを抑えたに過ぎない遠藤淳志と5番手以降はまともに試合を作れるとは思えないメンバーが並びます。

また、九里にしても本来の適性はミドルリリーフであり年間通してローテーションを守った経験はない投手。

核となる投手は3人以上確保されているものの、超過密日程の影響もあり早い段階でローテーションの再構築を迫られる可能性は十分に考えられるでしょう。

 

一方、3月のオープン戦から今月の練習試合まで壊滅的な結果と内容のリリーフ陣に至ってはまさに悲惨の一言。

とりあえず、僅差での終盤を任せる投手は菊池保則、ヘロニモ・フランスア、それに日本プロ野球史上初のアフリカ大陸出身の開幕1軍選手となったテイラー・スコットで取り繕いました。

しかし、いずれもまったくの未知数…というよりそれ以前にそもそも突出したものすらなく周囲の低レベルさから出た単なる妥協の産物としか言いようがない代物です。

それに次ぐメンバーも3連覇時の力投で完全に疲れ果てて以降、さほど調子が上向いたとは言い難い中崎翔太今村猛に加えて練習試合での内容・結果ともに到底1軍で投げさせて良いレベルではない薮田和樹に塹江敦哉、高橋樹也という酷い面子。

2軍に岡田明丈や一岡竜司中村恭平とある程度の実績を持った投手はいるものの、上記の程度の連中に蹴落とされている現状ですからすぐに1軍に戻って戦力になるという事はまずないでしょう。

3連覇時のカープは逆転勝利の大変多いチームとして名を馳せましたが、今季に関しては逆転負けがかなりの数に昇る事を覚悟しなければなりません。

 

次いで野手陣。

移籍の可能性が高かった菊池涼介會澤翼が揃って残留して大幅な戦力低下を防いだ一方で、不祥事によるサビエル・バティスタの退団により長打力が低下した印象を受けます。

それでも會澤を中心としてベテランと若手をバランスよく揃えた1軍メンバーに加えて中村奨成や磯村嘉孝が2軍に控える捕手陣や、鈴木誠也と西川龍馬を中心にした外野陣に関しては、ある程度のクォリティは保証されています。

一方で、昨年の田中広輔の故障による凄まじいばかりの不振がきっかけになり一気に噴出した内野陣の層の問題はかえって深刻化したかのようです。

センターラインは菊池と田中の「タナキク」のコンビが固めますがいずれも総合的に見ればかつてのような輝きが色あせつつある印象。

昨年、高卒新人としては球団史上初のシーズン4本塁打を放つなどファンに希望を抱かせた小園海斗の姿は1軍にはなく、打力ではまったくお話にならない上本崇司と三好匠ばかりか正直、内野手以前に選手としてもはや限界をとうに迎えた小窪哲也が名を連ねる始末です。

長らく低レベルなポジション争いが続く三塁手はアレハンドロ・メヒアがバティスタの穴を埋めようとするかのような打棒を見せてくれてはいるものの新外国人のホセ・ピレラともども守備に関しては壊滅的。

同じくどう考えても適性があるとは言い難い安倍友裕や堂林翔太が一塁を守る事を併せると内野守備でのエラー数は激増すると思われます。

そうなると、やはり上記のリリーフ陣の惨状ともども逆転負けが増える要因になり得るでしょう。

 

以上、結論から申し上げますとコロナ禍による日程の影響は勿論、肝心要の戦力という観点で見ても残念ながら、優勝は困難なばかりか最下位に転落する可能性の方が高い極めて厳しいシーズンになると言えます。

もっとも、今季に関してはチームの順位以上に危惧されるのが最初に申し上げた通りのシーズンが無事に完遂できるかという問題です。

例年より遥かに過酷なシーズンをチーム・ファンが一体となって何とか完走する…。

これこそが優勝以上のチームとそれを応援する私達の目標と思って見届けるしかないでしょう。

勿論、クリス・ジョンソンの契約が満了しFA権獲得後に速やかに広島を出ていく事が予想される鈴木誠也がいるシーズンをこんな形で無駄にするのは断腸の思いです。

しかし、それ以上に大切な事がこのシーズンに関してはあると割り切るしかありません。

野球を含めた文化や経済、生活様式と、もはや「かつてのような未来」ではなくなってしまったこの未知の世界の片隅で…。