2018年にリーグ三連覇を達成したのはもはや遠い昔の話。
「邯鄲の夢」の如く短い栄光から覚めてからの我らが広島カープは、ここ3年ほど惨めで虚しいシーズンに終始しており、完全に元の弱小チームに戻ってしまった事を否定するファンはもはやいないでしょう。
そんなカープですが、Aクラス争いの常連だったチームを引き継ぎながら3シーズンに渡ってチームを徹底的に痛めつけた挙句、Aクラスはおろか一度もシーズンで勝ち越しする事すらなく辞任した「球団史上最低の指揮官」こと佐々岡真司前監督の後を受けて監督に就任した新井貴浩新監督の下で明日よりカープは神宮球場での開幕戦より新シーズンに臨む事になります。
現役時代に絶大な人気を誇った12球団最年少の監督を戴いて再び栄光の時代を取り戻す…
そう願望するファンも少なくはないかもしれませんが…オープン戦では攻守ともに低調で最下位になるなどいきなり躓いた形で、現実の過酷さを思い知らされただけでした。
何度も書いていますがこういう昨年の成績が散々だったチームに対して「オープン戦と公式戦は別」などという言い訳は全くの見当違いも甚だしい事です。
実際にオープン戦で最下位のチームが優勝を果たした事例は2020年のスワローズなど例外はありますが、ほとんど皆無に近く大体がそのままシーズンに入っても低迷しています。
また、オープン戦通じて感じたのはあれだけかつての主力選手の衰えが目立つ一方で若手の活躍が全く見られなかった事。
明らかに世代交代に失敗してしまった事実を突きつけられただけで、余計に暗澹たる気持ちになってきますね…。
2023年開幕戦に臨むカープの登録メンバー
○投手
大瀬良大地
栗林良吏
黒原拓未△
床田寛樹△
ケムナ誠
島内颯太郎
アドゥワ誠
戸根千明△
玉村昇悟△
ニック・ターリー△
※△は左投げ
○捕手
会澤翼
坂倉将吾△
石原貴規
○内野手
上本崇司
田中広輔△
ライアン・マクブルーム
小園海斗△
韮澤裕也△
マット・デビットソン
○外野手
西川龍馬△
秋山翔吾△
野間峻祥△
松山竜平△
大盛穂△
田村俊介△
※△は左打ち
本日公示された開幕一軍メンバーをざっと眺めて見ましたが…。
まず、先発ローテーションについては昨年のチームの勝ち頭である森下暢仁が昨年受けた肘の手術の影響で結局、開幕には間に合わない事となりました。
1年目から森下に無意味に球数を投げさせ続けた前監督の采配が原因である事は明白で「球団史上最低の指揮官」が残した「負の遺産」は辞任してもなお大きな事が分かります。
こうした事態もあり昨年低迷したにも関わらず大瀬良大地が5年連続の開幕投手を務め、開幕ローテーションもその大瀬良に加えて、九里亜蓮、床田寛樹、遠藤敦志、ドリュー・アンダーソン、玉村昇悟が名を連ねる事になりそうです。
一見するとそれなりのメンバーには見えますが…大瀬良と九里はいずれも昨年は成績が低迷し続けて衰えを感じさせていますし、期待されながらなかなか飛躍のきっかけが掴めない遠藤と玉村の若手も年間通して活躍した経験がないだけに未知数の部分が多すぎます。
また、ビギナーズラックだった来日初先発試合を除けば日本の野球に全くフィットせず期待外れだったアンダーソンと、故障明けの床田寛樹に至ってはいずれもオープン戦の成績がボロボロで明らかに開幕ローテーションに名を連ねる資格があったとは思えないレベルです。
一応、これにオープン戦で先発して好投した新人の益田武尚が割って入れるかという事になるでしょうが…質量ともに上位を目指せる力があるとは到底思えません。
リリーフ陣に至ってはそれ以上に壊滅的で昨年セットアッパーを務めた矢崎拓也が故障により開幕に間に合わず、森浦大輔も明らかに消耗しており結局開幕一軍から外れる事となったうえに、コンデション不良でWBCから帰還した栗林良吏も万全とは到底言えない状況です。
オープン戦でそれなりの投球を見せたニック・ターリーをとりあえずセットアッパーに回す事は分かっていますが、それ以外の投手に至ってはどれも信頼と説得力に足る能力がある投手は皆無で試合終盤の継投はそのほとんどが出たとこ勝負となる事でしょう。
少なくとも上記の通り人数合わせができただけに過ぎない先発ローテーションを支えられるだけの活躍はまず望めない事は容易に想像できます。
一方、オープン戦では投手陣以上に低調なパフォーマンスに終始して最終戦などの一部試合以外ではほとんど存在しないも同然だった打線はどうでしょう。
まず、昨年との一番の大きな変更点はこれまで捕手と一塁手と三塁手と守りながら打線の中軸を務めるなど八面六臂の活躍を見せていた坂倉将吾が、今季は本人の強い希望を汲んで捕手に専念させる事となり、空いたポジションに新外国人のマット・デビットソンを据えた事でしょう。
しかし、これは明らかな悪手に見えます。
まず、衰えが隠せないとはいえ会澤翼が捕手を務める試合では坂倉をベンチスタートさせざるを得なくなり、少なくない試合でチームでもっとも優秀な打者を試合に出せない事態になる事が予想されます。
また、坂倉に代わって3塁を守る予定の新外国人デビットソンもオープン戦では低調なパフォーマンスが目立ち大きな期待は出来ないように思えますし、何より彼を含めても3塁の担い手自体が大変心もとないメンバーしかいません。
更にいえば、肝心要の坂倉の捕手としての能力が打撃に比べて高くもなければ魅力的でもない為、余計に守備を理由に彼を試合に出せない事態が増えていく可能性も考えられます。
本人がやりたいポジションと向いているポジションは別だと思うのですが…どうやら新井新監督の考えはそうではないようです。
坂倉がそのような状況ですから彼に代わって打線の主軸の期待がかかるのは、秋山翔吾や西川龍馬といった選手たちです。
とはいえ、秋山はともかく西川はまともにシーズン通して高いパフォーマンスを発揮した経験が少なくチームを引っ張るだけの魅力は感じられない選手に過ぎませんからそれなりの数字以上の活躍は期待出来ないでしょう。
ましてや野間峻祥や小園海斗に至っては現状の実力を鑑みれば主軸として考えるなど論外です。
また、昨年は上位チームに比べて大きく劣っていた長打力にしても若手が育ってない状況からライアン・マクブルームとデビットソン頼みで、その両外国人についてもオープン戦では揃って低調で頼りなさだけが目立ちます。
要するに坂倉が捕手に専念する事で打線に生じるであろう空白を埋める事は不可能に見えるという事です。
こういう状況ですとこれまで以上に若手の台頭にファンの期待もかかるものでしょうが…。
今季は開幕メンバーに韮澤裕也と田村俊介とフレッシュな若手が名を連ねてはいるものの、オープン戦通じて見ればこれほど低迷しているチームであるにも関わらずさほど若手の積極的な起用が見られませんでした。
どうも新井新監督は前任者と同じく今の勢いよりも数年前の数字で選手の起用を判断する傾向があるようです。
そうでないならオープン戦終盤に田中広輔や松山竜平などのとっくの昔に全盛期が過ぎたくたびれた選手をスタメンに加える事などあり得ないでしょう。
残念ですが、そうである以上は、結局開幕戦に名を連ねるのはいつもの代わり映えのしないメンバーであり、上記の若手二人についてもまともに起用されないまま開幕節で一軍から姿を消す可能性が高いと言わざるを得ません。
以上、今シーズンに臨むチームを眺めて見ましたが…考えれば考えるほど絶望的な結果と内容しか思いつきません。
とにかく攻守ともに選手の質・量ともに大きく他チームに劣ると共に監督以下の首脳陣の能力への不安が大きすぎるのです。
はっきり言わせて貰えれば、今季のカープについては順位を予想するよりもシーズンで何敗を喫して5位チームと何ゲーム差つけられるかを予想する方が遥かに現実的な考えとすら思えるぐらいです。
案の定、恒例の各スポーツ紙の評論家による順位予想でもカープの最下位予想が多くを占めているようですが、残念ながらそれは極めて妥当な考えと言えるでしょう。
低迷からの脱出どころから更なる暗黒期への入り口へ…。
シーズン開幕前からそんな予感すら漂います。
このチームを応援してからほとんどの時期が低迷期であった私のようなファンからすれば、それでも改めて現実から目を逸らさない覚悟を改めて固めた次第ですが…3連覇時代をきっかけにファンになった方や若いファンはこんな魅力の欠片もないチームの醜態に耐えて着いてきてくれるでしょうか?
コロナ禍がやっと落ち着き球場に歓声が返ってくる事を差し引いても私にはそれが気がかりです。