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カープと趣味の日記

「参加する事にだけ意義がある」(カープ2023年CS展望)

両リーグ共に最後の最後で2位と3位が確定するという劇的な幕切れで全日程を終えた今季のプロ野球のレギュラーシーズン。

阪神との最終戦にも敗れて自力で順位を確定できる機会をことごとく逸してしまう形でシーズンを終えてしまったカープでしたが…その3日後にベイスターズが最終戦を僅差で落とした事で辛うじてリーグ2位を確保する事ができました。

カープがリーグ2位でシーズンを終えるのは実に28年ぶりの7回目の事で頻度としてはなんと優勝よりも珍しい記録。

更に、その歴史を紐解くと初めて2位になったシーズンも創設から42年もの歳月が経過した1981年で既に3度のリーグ優勝と2度の日本一に輝いた後でしたから、球団史のうえでもかなり縁遠い順位でシーズンを終えたという事にもなります。

当然ながらCSファーストステージを本拠地で迎えるのも球団史上初で3連覇以降は低迷が続いていただけに地元やファンの盛り上がりはかなりのものでチケットは発売から僅か数分で売り切れてしまいました。

指導者経験のない新人監督と乏しい戦力でシーズン前はぶっちぎりで最下位候補筆頭だったチームがリーグ3連覇以来ともなる盛り上がりを呼び込むと共に莫大な臨時収入をもたらしてくれたのですから、カープ球団も松田家もさぞ笑いが止まらない事でしょう。

とはいえ、冷静にチームを眺めてみるとCSの突破はほぼ0に近いうえに初戦での敗退の可能性も濃厚という現実が垣間見えてしまうのも確かです。

 

まず、主力がことごとく故障で抜けてしまったうえにも関わらず、シーズン中にまともな補強も外国人選手の補充すらなかった末にシーズン終盤は絶望的な拙攻とため息の山を築いて見せた打線。

まともな成績を残せた選手が打率リーグ2位に輝いた西川龍馬ぐらいでその西川にしても今季も故障に苦しみ最後の試合で何とか規定打席に到達出来た程度。

本塁打や打点に関しては誰一人タイトル争いにかすりもしないばかりか、シーズン終盤の試合を見てもまともに打線も固定できず4番には「永遠の中堅」こと堂林翔太を据えるなど奇策に最後の最後まで頼らざるをえませんでした。

レギュラーシーズン終了間際に上記の西川に加えて秋山翔吾菊池涼介が故障から復帰したのに続いて、野間峻祥もどうにかCS初戦に間に合いそうと明るい話題はない事はないのですが…。

それでも打点王の牧秀悟や首位打者の宮崎敏郎など優秀な打者を多数擁するベイスターズ打線には明らかに見劣りしますし、それ以前にただでさえ苦手な左腕…それも東克樹、今永昇太と球界を代表する左腕を相手チームがぶつけてくる以上は、まともに得点を取る姿を想像する事すら難しいと思えます。

 

一方で、最後まで低迷した打線とは対照的に、この下馬評を覆す躍進の原動力となった投手陣にはレギュラーシーズンに続いてこの短期決戦で期待がかかりますが、こちらはどうでしょうか?

シーズン終盤のスカスカの日程に助けられたもののほとんどまともにローテションが機能していなかった先発陣は初戦に床田寛樹を立てて、以降は森下暢仁、九里亜蓮と続く見込みですが、そのいずれも直近の登板では敗戦を喫した形でシーズンを終えているうえに、9月以降は勝ち星そのものから遠ざかっている期間が続いている事からも分かる通り明らかな疲れが見えます。

短期決戦においてもとにかく先制点を取られない事がレギュラーシーズン以上に重大にはなるのですが、上記のようにこれだけ頼りない打線では援護点を望めない状況で耐え続けるのは至難の業でしょう。

 

一方、短期決戦となると僅差のリードやビハンドで1点も取られてはならない展開が続く事が予想されるブルペンは、何とか復活なった栗林良吏や球団記録となるホールポイント数で最優秀中継ぎに輝いた島内颯太郎に、栗林の代役を務め切った矢崎拓也と粒ぞろいな投手が揃い、打線や先発陣に比べるとやや相手チームより充実はしているようには見えます。

しかし、そのブルペンにしても島内や矢崎は明らかな投げすぎで終盤は精彩を欠く部分が多々見られた事から引き続きコンディションに不安を抱えますし正直、あれだけ疲労困憊の状況で2週間程度のインターバルでパフォーマンスが蘇るとは到底考えにくいです。

 

上記のようにざっと考えて見ましたが、現状のカープはCS突破以前の問題で阪神に挑む前に初戦でストレート負け…いや、打線の酷さを考えると史上初めて無得点でCSを敗退するチームとなっても何ら不思議ではありません。

先ほどから何故、戦力の比較対象が優勝した阪神ではなく3位のベイスターズでしかないのかというのもそういう理由です。

もっとも、これに関しては致し方ないでしょう。

そもそもシーズン中に全く補強の一つもせず監督や選手の援護を一切拒否するといういい加減な姿勢からも分かる通り、松田家を筆頭にしたカープという球団にとってはCSとは突破を目指すものではなく参加する事だけが目標というコンペティションなのですから。

むしろ、3位以上を確定させた時点でカープというチームのシーズンは事実上終わったと考えた方が良いでしょう。

 

もっとも、下位に転落したドラゴンズやスワローズよりも遥かに乏しい戦力で見事に戦い抜き、28年ぶりの2位という順位でシーズンを終えられた新井監督をはじめチームの頑張りは大いに評価されて然るべきという事実に何ら変わりはありません。

ですから、このCSでは願わくば選手たちには気負わず気楽に…まるでアイススケートでいうところのエキシビションのようにこの舞台を楽しんでプレーして欲しいと願うばかりです。