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カープと趣味の日記

『上辺だけの数字、下手くそな走塁』(2022年カープを振り返る-野手編-)

先週、今季カープの投手成績を振り返って見てあまりに悲惨な数字のオンパレードで前監督への怒りを改めて爆発させてしまいましたが…。

今回は気を取り直して野手の成績について振り返って見たいと思います。

投手陣、特に先発陣がその充実ぶりで開幕前からそこそこ評価が高かったのとは対照的に打線に関しては大黒柱だった鈴木誠也がメジャー移籍で抜けた事もあり大変厳しいものではありました。

しかも、そんな状況にも関わらず球団の主な補強はライアン・マクブルームの獲得ぐらいでドラフト6位入団の新人に過ぎない末包昇大がオープン戦初戦で四番を務めるなどその悲惨さは目を覆うばかりでした。

そんな野手陣ではありますがシーズンが終了して残した数字を振り返って見れば健闘したようには見えます。

 

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打率:.257(1位)

得点:552(2位)

本塁打:91本(4位)

長打率:364(4位)

OPS:.673(4位)

盗塁:26(6位)

犠打:119(3位)

失策:73(3位)

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まず、打率.257は3割打者が一人も存在しなかったにも関わらず意外にも1位で総得点に関してもスワローズに次いでリーグ2位の数字を残しました。

これはスワローズが村上宗隆のような圧倒的な個の力を発揮した選手こそはいないものの坂倉将吾、ライアン・マクブルームを始めとしてまずまずの数字を残せた選手がいた事、

野間峻祥や途中加入の秋山翔吾が後半戦から打線を牽引した時期があった事などが大きかったかと思います。

また、上本崇司のようにこれまでのキャリアを遥かに凌ぐ意外過ぎる大活躍を見せたベテランの存在も忘れられません。

しかしながら、今季のこのチームが得点力600点越えという驚異的なスワローズと比すまでもなく、リーグ屈指の攻撃力を誇ったという印象は私には正直ありません。

その理由として考えられるのはリーグ4位に過ぎない長打率(.364)の低さと本塁打(91本)の少なさから分かる通り全体的な長打の少なさでしょう。

今季のカープのオフェンス面でやり玉に挙げられるのは球団史上ワーストを記録した盗塁数(26)の少なさですが、それ以上にこの長打の少なさの方が問題に見えます。

実際、上記で挙げた今季に数字と共にファンに多くの印象を残した選手はいずれも長距離砲とは言い難い選手ばかりで、振り返っても試合全体通して単打ばかりが目立つ場面が多かった印象もありましたが…それは数字で見ても明らかだと思います。

 

また、長打を増やすと言う事が出来ないのなら走塁で補うというのは当然の事ですが、今季はそれが全く出来ませんでした。

それを示しているのは上記の盗塁数に加えてリーグワースト1位だった併殺打の数(112)で、これを見るにつけてこのチームが如何に今季走塁に消極的だった事が分かります。

加えて試合序盤に牽制死が連発したり、中村奨成の転倒があったりと非常に印象に残った走塁ミスも多く残りました。

つまり、打率・得点と上辺だけの数字は良くともその実は得点効率の悪さが目立ったという事です。

それはリーグでも3番目に多い失策数(73)も合わさって、分かりやすく言えば「単純に野球が下手だった」と言うべきのもので、リーグ3位だった犠打数(119)などむしろ焼け石に水だったとすら思えます。

 

これらの悲惨な数字が残った原因は、大きな期待を受けてヘッドコーチに招聘されながら守備も走塁もまともに出来ないチームを作り上げる結果になった河田雄祐コーチの不明によるもの。

河田コーチは歴代ワーストの盗塁数という球団史に残る汚名を残して詰め腹を切る形で今季退団とはなりましたが、同じく走塁が壊滅的だった昨年の時点で球団が解任を決断するべきことだったのは明白です。

であるにも関わらず、守備走塁コーチとヘッドコーチを兼任させるなどという意味不明な人事でお茶を濁したフロントの責任を地元メディアはもっと追及されるべきだと思います。

また、上記の通り中身が伴わない上辺の数字だけで判断して朝山東洋迎祐一郎両コーチも留任となった事もやはり納得がいきません。

誰も責任を取らない状況で来季を迎えるのですから、この得点効率の悪さの解消を望むのは困難かと思えます。

 

ここまで今季のカープの戦いぶりを数字も交えて眺めて見ましたが…投手陣は勿論、野手陣という面でも新井貴浩新監督が抱えた負の遺産は大きいと言えるでしょう。

しかし、地元出身の人気選手が監督として戻って来た事で「限りなく最下位に近い5位」という悲惨な結果と数字も忘れて浮かれている地元メディアの姿からはそのような危機感は一切感じられません。

これを見るにつけて私は、ますます暗澹たる気持ちになるのです。