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カープと趣味の日記

球団史上最悪の1週間に思う(カープ2021)

これまで低調な試合やプレーを見るにつけて「最悪」「最低」というフレーズをやたらとこの場において使ってきた私ですが、今後は控える必要があるかもしれません。

 

菊池涼介、小園海斗、正随優弥の3選手のコロナウイルスへの陽性が判明したのが5月17日。

その後、東京への遠征を経て帰広した矢先に今度は5月20日鈴木誠也長野久義、羽月隆太郎、大盛穂、石原貴規が、5月23日には投手陣からも九里亜蓮の陽性がそれぞれ判明し、更には森下暢仁と高橋昴也が濃厚接触者判定を受けて登録を抹消となりました。

その他、朝山東洋打撃コーチを始めコーチ・スタッフも含めると実に12名にのぼる陽性者を出す事となり保健所からも「市内のスポーツ団体からクラスター発生」と正式に公表され、事実上チーム活動は停止となり、その間のタイガース及びライオンズとの計5試合が中止となるというコロナウイルス蔓延以降では我が国プロスポーツ界最悪の事態に至りました。

競技とはまったく関係のない事態により様々な面で大きな損害を被る事となった以上、この1週間は単なる比喩ではない「球団史上最悪の事態」と言って良いかと思います。

何より、更に恐ろしいのはウイルスの潜伏期間の長さなどもあり、これで被害が止まるかどうかがわからないという事でしょう。

勿論、打線の中軸と先発ローテーションの大半がチームから消えてしまった事への不安はありますが、それ以前にこのままシーズンを続ける事が出来るかというところまで追いつめられてしまった事は本当に残念です。

 

もっとも、この恐るべきウイルスへの感染自体はいかに予防に努めたところで完全に防ぎようがないのは既に周知の事実でしたし、これまで一人も国内での感染者を出していなかった事からもわかる通りカープ球団は政府や自治体の指示に従い、NPBや他球団とも協議を重ねて対策を講じてきましたから、今回の事態で誰一人責められるべきではないのは言うまでもないでしょう。

そもそも、一個人や一企業の努力如何で対策を講じられるならこの恐るべきウイルスがこれだけ世界中に瞬く間に広がる事などあり得ないのですから…。

また、今回の試合中止の措置に関して「中止の判断が遅い」との意見も散見されましたが、これについても我が国スポーツ界でも未曽有の事態であり保健所を始めとする関係機関との調整が必要であった事や、開催可否の判断自体も球団ではなくNPBにあった事などを鑑みると、カープ球団を過度に非難するのはあまりに公平さを欠く考えと言わざるを得ません。

更に言えば、今回の事態を受けて動員に関して販売分のチケットは有効とする事で16500人が上限とした事への批判が改めて散見されるのは残念です。

以前にも書きましたが動員に関するルールは政府や自治体やNPBからの方針の範囲で進められている事には変わりませんし、チームにおけるクラスターの発生と観客動員を維持している事の科学的、客観的に考えての因果関係はない以上、これもまた謂れのない誹謗に過ぎませんし何よりも、保障も一切ない状況で自ら球団存続を困難に陥らせる事などプロ野球に限らず世の中のいかなる経営者も甘受できるものではありません。

そうである以上は法令や取り決めの中で許された範囲で対策を行いつつ試合開催を粛々と進めていくのは当たり前の事でしょう。

これも以前に言いましたが企業や個人に関わらずウイルスへの対策の方法は居住地や立場など様々な事情があるのですから、出来る範囲の事に差異が生じるのもまた当然の事です。

そう考えるとこの人類史上未曽有のウイルスを共に克服するにあたって大切なのはその対策の差異を理由に非難や憎しみをぶつけあう事ではなくお互いの出来る範囲を尊重しあう理性と寛容さではないでしょうか?

私は改めて、今回及び今後の球団の対応について支持を表明すると共に、今回の件で過度な非難を浴びせる方やそれを支持されている方々にはどうか今一度自身の冷静かつ理性的に物事を捉えて寛容さを発露される事を期待したいと思います。

 

とはいえ球団の対応について「全面的に」と強調しなかったのは些末ながら不満がない事もないからです。

それは球団や佐々岡監督を始めとする関係者がマスコミからの取材を通して「謝りすぎ」な事。

上記でも書いた通りコンプライアンス違反の末でのクラスター発生でもなく、法令も取り決めも遵守したうえでの不幸な事態である以上、過度な謝罪は痛くもない腹を「悪意ある人たち」に探られるだけでなく、心ならずもウイルスに感染し今も苦しんでいる患者やそれを取り巻く方々に誤ったメッセージを送ることになりかねません。

相手チームやファンへの気遣いは勿論、美徳であり大切な事ですが、感染自体が完全に防げない以上は選手たちも含めて世界中に存在する感染者はウイルスの被害者です。

従って、それらの人々に対するハラスメントを助長するに等しい言動は厳に慎むべきかと思います。

 

未だに予断を許さない状況であれこれ書き散らしましたが…。

九里亜蓮の感染判明以降は選手、スタッフ全員への連日の検査で全員陰性が確認され続けており、5月27日のライオンズ戦より8日ぶりの試合開催となる運びにはなりました。

これには一先ず安堵すると共に、改めて私は私の愛するチームを守りたいという気持ちを新たにした次第です。

同時に私は「ファンとはこうあるべきだ」と自論を並べて自身の価値観を押し付ける事やそういう事をする人間は大嫌いなのですが、今回ばかりは多くのファンも同じ気持ちであって欲しいと心から願います。