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カープと趣味の日記

「30年目の栄冠」(サンフレッチェ広島 2022年ルヴァン杯優勝に寄せて)

2022/10/22(土)

2022年ルヴァンカップ勝戦

セレッソ大阪1-2サンフレッチェ広島

得点者:加藤陸次樹(後半8分)、ピエロス・ソティリウ(後半51分)、ピエロス・ソティリウ(後半56分)

 

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サンフレッチェ広島Jリーグカップの決勝戦を、しかも国立競技場で戦うと聞いたのは先月の話。

普段は熱心なサポーターとは言い難い私も広島出身者の端くれとして応援に駆け付ける事にしました。

実家がエディオンスタジアムから大変遠い事もあり本拠地での観戦は数えるぐらいしかない不心得なにわかサポーターの私ですが関東での試合はこれまでも出来るだけ応援に行くようにはしてきたつもりではあります。

その中でもいわゆる日本サッカー3大タイトルのカップ戦の決勝戦はこれまでヤマザキナビスコカップという名前だった時代の2010年を皮切りに2012年、2015年、そして先週の天皇杯決勝と足を運んでいたものですが…結果はご存じの通りいずれも敗北しています。

それもその筈、サンフレッチェ広島自体が前身チームであるマツダサッカークラブのそのまた前身の東洋工業サッカー部時代から天皇杯リーグカップというカップ戦には大変弱い事は有名でエキシビションマッチ的な意味合いが大きいスーパーカップ(現・富士フィルムスーパーカップ)を除けばいわゆるオリジナル10の中で唯一カップ戦無冠となっているチームです。

先週もJ2のヴァンフォーレ甲府PK戦の末に敗れたばかりで非常に気落ちしていましたが…とにかく外苑前で降りて途中で六大学野球を開催中の神宮球場を横目に国立競技場へ向かいます。

ところで夜は「日本シリーズ」というのが開催されるらしいですが何の事でしょうかね?

 

普段は神宮球場帰りに横目で見る事しかない国立競技場も近づいてみるとかなりの大きさで、思想信条の理由から昨季のオリンピックは開会式も含めて1秒たりとも見ていない私ですが…さすがにワクワクしてきました。

イマイチ分かりにくい場所にあるゲートからゴール裏3階席にエスカレーターで移動していきます。

普段、歩いている神宮球場前の道路を上から見下ろすのは何とも不思議な気持ちにはなります。

ところで今日のゴール裏席は声出し応援が許可されていますので声を出して試合を観戦するのはこれが3年ぶり。

及ばずながら私もうろ覚えなチャントでエールを贈ります。

マスクしながら声を出すとやはりちょっと息苦しいですが、これで出来なかった声援を送ると言う行為が再び出来た事は大きな喜びです。

サッカーに限らず来期以降は他のスポーツでも出来るようになれば良いと祈らざるを得ません。

ちなみに3年ぶりの声出し応援で最初に発したチャントは前日に水頭症の為、急逝した元サンフレッチェ広島所属の工藤壮人に対するものでした。

3度の優勝を果たした直後に低迷し、一時降格の可能性もあった時期に在籍した選手として私も印象に残っていますが…まだ32歳で現役選手のままでの急逝は大変ショックでしたし今でも信じられない気持ちしかありません。

 

工藤への両チーム黙祷の後に開始された試合は、前回同様にボールポゼッションでは相手を上回りながらなかなか決定的な好機が作れない重苦しい展開。

後半開始早々には主将である佐々木翔の致命的なパスミスから失点を許し、ますます重苦しい展開のまま試合も終盤まで進んでしまいました。

しかし、相手チームのDFであるマテイ・ヨニッチの不可解な退場劇から流れが変わると相手DFのハンドでPKを獲得。

試合終盤でのPKといえば先週の試合でも延長後半でのPKを満田誠が外すという悲劇を目の当たりにしていただけにやはり後ろを向いていたナッシム・ベンカリファと同様に私も目を閉じてしまっていましたが…ピエロス・ソティリウが冷静に決めてくれました。

更に数的有利と勢いで攻勢をかけて迎えた5分後には時間的にラストチャンスと思えた満田のCKをピエロス・ソティリウが見事に合わせて逆転。

この二つのゴールでピエロス・ソティリウは日本サッカー史上初めてカップ戦決勝戦でゴールとMVP獲得を記録したキプロス国籍選手ともなりました。

後半アディショナルタイムのしかもカップ戦での逆転劇といえば1999年のマンチェスターユナイテッドバイエルンミュンヘンの「バルセロナの奇跡」がありますが、それを彷彿とさせるような劇的な展開と言えるでしょう。

試合は直後に終了しましたが、近くの席にいた中年のサポーターの方は泣いていましたし、私も涙が溢れました。

サンフレッチェ広島は前身のJFLカップも含めてもこれが初の栄冠。

同時に長らく続いたカップ戦への呪縛が解かれた瞬間でもあり、これに立ち会えたのは広島で生まれ育った者として大きな誇りです。

また、試合後にゴール裏まで工藤のユニフォームと共に優勝カップが掲げた選手たちと共に恐らくもっともサンフレッチェで有名なチャントであろう「広島ナイト」を歌った光景は生涯忘れる事がないであろう感激です。

 

改めておめでとう。

そしてありがとう。

サンフレッチェ広島

 

グランデヴィオラ!!広島!!

 

ところで、さきほども書いた通り私がこの試合で確保したチケットは3階席。

正直、さすがに声出し応援する人は少ないだろうとは思っていたのですが…全くそんな事はなくほとんどのサポーターが試合中立ち上がってチャントを歌っていました。

広島駅に近く利便性に優れるマツダスタジアムと異なり、不便極まりないエディオンスタジアムではなかなか動員数で苦しんでいるサンフレッチェですが、遥々広島からやってきたサポーターに私のような関東在住者も加えて熱心なサポーターで埋め尽くされたその熱意はまるでホームスタジアムのようであった事は特筆しておきたいです。

それに似合う器さえあればサンフレッチェはやはりカープに負けないぐらいに人気を獲得できるチームなのです。

つくづく2024年の新スタジアム建設が待たれます。