全国的に桜が見頃を迎え暖かさも増してきたこの季節。
いよいよ3月30日にプロ野球が開幕します。
それは我らが広島カープの球団史上初…そして、読売以外の球団としても史上初となるリーグ3連覇を目指したシーズンでもあります。
既に本拠地球場の指定席は9月まで全て満席となり、今季も本拠地動員記録の更新は確実と、ファンからは凄まじいばかりの期待と熱気です。
また、ファンに限らずカープに対する前評判は良いかと思われます。
それは、各スポーツ新聞のスポーツ評論家のお歴々による「ありがたい事この上ない」順位予想にも現れていると言えるでしょう。
2年前までどいつもこいつもやれ最下位と予想していたくせに…。
まったくもって白々しいものです。
とは言うもののあの時、その予想が恐らく外れないと思って暗澹たる気持ちでシーズン開幕を迎えた私のような者もいるのだからお互いさまでしょうけれど…。
しかし、ご存知のとおりその期待の高さに反してオープン戦は2勝9敗2分と記録的な惨敗。
同じく考えられないような勝率でオープン戦を終えた阪神のおかげで最下位こそは免れましたが、11位という成績。
もっとも結局は大差をつけて優勝した昨年のオープン戦も11位でしたので「オープン戦の勝敗は関係ない」という意見もなかなかの説得力はあるかと思います。
しかし、それは今年も当てはまるでしょうか?
今日、発表された開幕ロースターを眺めて考えてみたいと思います。
【開幕戦に挑む広島カープのメンバー】3/29現在
・投手
大瀬良大地
クリス・ジョンソン△
アドゥワ・誠
ジェイ・ジャクソン
・捕手
・内野手
田中広輔△
安部友裕△
庄司隼人△
美間優槻
西川龍馬△
アレハンドロ・メヒア
・外野手
丸佳浩△
下水流昴
野間峻祥△
松山竜平△
※△は左投げもしくは左打ち
まず、最初に今季のオープン戦通じてほとんど低調な出来で「絶賛壊滅中」の先発陣から。
メンバーから見ると開幕投手が既に決定している野村祐輔に続いてクリス・ジョンソン、大瀬良大地の順番でまずはローテーションを回すと考えられます。
九里亜蓮の名前もありますが、まずは「本職」のミドルリリーフから始まってローテーションに関しては開幕カード以降の状況に応じてという事でしょうか?
九里の名前がここにあるという事は何とか開幕ローテーションは揃ったのか…というとそんな事はありません。
薮田和樹と岡田明丈はオープン戦終了後の2軍での「追試」で揃って7失点大炎上と惨憺たる有様でオープン戦から懸念された「のっけからローテーション崩壊」の危機を更に加速してしまいました。
九里にしてもさほど内容も結果もたいした事がなく、期待の星である高橋昴也もオープン戦ではやたらと期待値ばかりが大きくなっている印象。
他の投手に関してはまったくお話にならない事は今更、中村恭平のような投手が二軍で先発をしている時点でわかりきった事でしょう。
つまり、九里が開幕ロースターに名を連ねるという事は「どうしても数が足りないので」という後ろ向きな理由で薮田と岡田もローテーションに入れざるを得ないという事実を示しているという事。
そもそも、大瀬良にしても太鼓判を押せるほどのレベルではないのですから…。
それにしても、はっきり言って昨年終盤に綻びが見えたセクションであるにも関わらず、補強もトレードもしなかったチーム故の緊張感なさばかりが目立つ酷さです。
こうなってしまった以上は、一昨年前の戸田隆矢や、昨年の中村祐太のような1ヶ月~2ヶ月程度限定のパートタイム的に活躍する投手が何人見つかるかにかかってくると言えるでしょう。
昨年の薮田のように代役から主戦の座を掴む投手が現れるような奇跡は稀なのです。
昨年、さほど先発陣があまり長めのイニングを望める投手が少なかった事からフル回転となったリリーフ陣はどうでしょう?
先発に比べればいくらか数は揃っています。
一昨年昨年と登板数が膨れ上がっているにも関わらず、特に大きな故障もなく中崎翔太、ジェイ・ジャクソン、今村猛といった投手に加えてそれに次ぐ一岡竜司、中田廉がシーズン開幕を欠ける事なく迎えられた事がやはり大きいと言えるでしょう。
しかし、いずれもオープン戦では不安を内容・結果ともに不安を感じさせる投手も少なく、昨年の影響はあるようにも見えます。
このように負荷の高いセクションを上手く回すには新たな戦力の台頭が待たれるのですが…。
残念ながら、藤井皓哉、塹江敦哉をはじめオープン戦通じてアピールした投手は皆無でこれまた先発同様に緊張感のなさばかりが目立った印象。
3者連続被本塁打という、考えられないような投球を見せたアドゥワ誠のような実力的に1軍レベルとは言えない投手がロースターに名を連ねているのがその証と言えそうです。
当初、このセクションの課題は「接戦で起用出来る左腕を…」という話だったような気がしますが、あまりの低レベルさに忘れられてしまいましたね…。
先発陣が開幕前から既に崩壊の危機に瀕している以上は、昨年に続いて期待が上がってしまうのが打線。
オープン戦での注目は昨年、安部友裕と西川龍馬しか守れる選手がおらず元々手薄だった事に加えて、その安部の故障により大きな穴が空いた3塁だったかと思います。
ここに長距離砲としてアレハンドロ・メヒアと、ユーティリティ性を有する美間優槻が割って入る構図でオープン戦当初は盛り上がりました。
しかし、対戦相手が1軍レベルの投手が増えた中盤以降はいずれも勢いを失った形で、結局は病み上がりの安部を起用せざるを得ない状況です。
しかも、新井貴浩が故障によりおよそ14年ぶりに開幕スタメンから外れた影響で余計に手薄になってしまいました。
これまたベテランのブラッド・エルドレッドも年間通じて活躍は難しい事から1塁3塁はなかなか固定出来ないかもしれません。
とはいえ、田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の「タナキクマル」による12球団随一とも言えるセンターラインは健在。
丸以外はオープン戦での成績こそ奮いませんが、このレベルになるとそれはあまり気にする要素にはなり得ないでしょう。
これに加えて鈴木誠也がオープン戦通じて好調で松山竜平も無難な出来。
特に誠也は故障後の状況が思った以上に深刻で開幕が間に合うか微妙でしたので大きな驚きです。
こう見ると、上位打線だけ見れば強烈極まりないスカッドにはなっており1塁3塁の不安は勿論、上記の惨憺たる有様の先発陣への不安も吹き飛ばしてくれるという希望的観測も成り立ちはするレベルではあります。
しかし、一方で控えクラスは下水流昴、堂林翔太といずれも小粒感が否めず層が厚いとも言い難いのも確かでもあります。
駆け足で先発、中継ぎ、打線と見てきましたが…。
現状のスカッドを見た限りではやはり、不安だらけな投手陣を、それに比べると不安が大きくはない打線が援護するのを期待するという図式になってしまいます。
しかし、野球というスポーツにおいては「打線は水物」というのは誰もが知っている事実。
そうである以上は、「水物」に頼るだけの戦い方で開幕ダッシュを決めるのは難しいかと思います。
打線が凌いでいるうちに早いうちに先発陣を立て直すという事が出来れば良いのですが…それが出来なければ3連覇はおろか、下位への低迷もおおいにありえるでしょう。
もっとも、この私の不安がたんなる杞憂で終わって秋には3年連続で私が大恥をかく事を祈りたいものですが…果たして?