世界的な新型コロナウイルス蔓延に伴い、今季のオープン戦終了直後に無期限で延期されていたプロ野球が6月19日に開幕との方針がNPBによって決定されました。
選手の感染防止の為の試合のレギュレーション変更や無観客開催の段階的解除の方針など詰めるべき議論は無数に存在しますが、まずは目指すべき目標が決まったのは喜ばしい事です。
思えば、ウイルス蔓延が世界的な問題となって以降、カープやプロ野球のみならず、世界中でありとあらゆるプロアマ問わないスポーツ関連の興行や行事が延期や中止を余儀なくされ歌も踊りも歓声も失われて久しい状況が続いています。
それは第二次世界大戦以降では最悪とも呼べる世界的なスポーツ文化の危機をもたらし、多くのプロスポーツ興行が経済的な危機に立たされたという事を意味しますし、プロ野球自身も観客動員が増加傾向で史上最高とも呼べる活況を呈していたなかで突如として真っ暗なトンネルに放り込まれてしまったとも言えます。
また、無数の無効になったチケットの山を眺めながら、愛すべきチームや選手たちが社会から「不要不急な存在である」と名指しされたかのような-これはスポーツに限った話ではありませんが…-現実への無力感と焦燥感に打ちひしがれたのは恐らくは私だけではない筈です。
このように物心共に深く傷ついたカープとプロ野球ですから、当然6月19日開幕で全てが好転するとは到底思えません。
むしろ、感染防止の関係上、公平なレギュレーションでの開催は困難でしょうし、一度はチームを解散してしまった関係上、選手のコンディションに不安があります。
また、何よりもシーズン終了を待たずにウイルス蔓延の第二波が来る可能性は十分にあるのです。
そう考えますと、私達カープファンにとっては今季のシーズンは優勝などよりも、選手や関係者が無事に全日程をつつがなく消化してくれる事が目標であり真の勝利であると言えるかとすら思えます。
とにかく今は開幕出来そうという一筋の希望が出てきただけでも満足するしかありません。
私が言うまでもありませんが、現在の我が国は東日本大震災に続く「3度目の敗戦」とも呼べるウイルス蔓延に伴う経済的、文化的な危機が続いています。
恐らくはこれからも単純なウイルスによる死者と共に経済的な理由等で多くの人が命を落とす事になるでしょうし、国際機関、政府、それに社会や文明に対する不信感はもはや払拭することは不可能な状況なまで深刻化しています。
そんな誰も望まなかった絶望的な世界がやってきてしまった状況で、先駆けて再開への道を探るカープとプロ野球。
そうである以上は正直、「プロ野球が世の中を照らす灯りとなると信じて」などと呑気な期待を持つのは難しいですが、その手腕に私も期待と注目を続けると同時に自身に何が出来るかを改めて考えていきたいと思います。
同じくこの悲惨極まりない世界に生きる事になった者として…。